いがみの権太の野球日記・笛猫茶番9月30日

平成二十二年九月三十日
 阪神が破れ、中日ドラゴンズにとうとう、マジック1が点灯した。
 所は、甲子園。三、四、五回と各1点をあげ、3―1と有利に試合を進めてきた阪神が、九回表になって抑えの切り札・藤川球が横浜・村田に逆転3ランを打たれ、4―3で破れた。藤川投手が打たれる姿をBSで見ながら、ボクはなぜか、戦場で仁王立ちになった戦国武将が全身血だるまになって倒れてゆく、そんな図をみたのである。
むろん、甲子園に詰めかけた阪神ファンは、村田の本塁打に沈黙した。

 きのう倒れ、ひと足早く息絶えた巨人に続き、きょうの阪神と“戦場”はまさに血の海と化し、阪神はなおも、ざんばら髪となって最期の抵抗をしようとしている。今夜、阪神がまた負ければ、その瞬間、ドラゴンズの2006年いらいのセ・リーグ優勝が決まる。逆に阪神がきょう勝てば、あすの最終戦で自らの手でヤクルトに勝つ。勝ってリーグ優勝を果たすことになる。いずれにせよ、今シーズンの大一番が始まろうとしている。

 甲子園では、試合終了後、阪神・矢野耀大(やのあきひろ)捕手の引退セレモニーが開かれた。
 矢野選手が監督、選手、スタッフなどに礼を述べ、「ここまで来れたのも、うちのヤツとふたりの娘のおかげです」と家族を称えたあと、全観衆に向かって「これも、ファンのみなさまの支えがあればこそ。感謝、感謝、感謝です」とあいさつする姿には胸が熱くなった。感謝、感謝、感謝なのだ、と。「感謝」とは、こういう時に生きる言葉である。長い間、お疲れさまでした。

『ねぇ~』   こすも・ここ
 

       『なぁに』  シロ

 【笛猫茶番日常の劇】このところのオトン、Mにどう呼ばれているのか。知ってますか。教えてあげようか。それは、ネ。芥川賞受賞作として先ごろ知られた赤染晶子さんの小説「乙女の密告」に出てくるアンゲリカ人形を猫かわいがりするバッハマン教授なのだってサ。なぜかって。オトンったら。寝ても醒めても「こすも・ここ」「こすも・ここ」とアタイの名を呼びどおしで猫かわいがりしてるから、なんだってよ。「乙女の密告」を読まれたヒトなら、みなピーンとくるはずです。読んでないヒトは、ぜひ読んでください。アタイがオトンの世界の中でどんな地位を占めているか、が一読で分かります。
 きょうは、Mがいつもオトンに向かって「バッハマンみたい」「そおーら、またバッハマンさんだ」と言うので、そのわけについて説明させていただきました。Mは、アタイにヤキモチでもやいてるのかしら。

 ここで、ひとつだけ言わせてもらいましょうか。アンゲルカ人形は何もしゃべりません。でも、アタイは動きもすれば、声も出し、オトンやM、おニイに甘える意識もあります。アンゲルカと同じにされるだ、なんて。たまったものじゃ、ありません。

☆あの池内淳子さんが二十六日に肺せんガンで亡くなっていた。七十六歳。いまの時代では、少し早い気がする。ボクがずっとあこがれていた女優のなかの女優だけに寂しい。「涙が止まりません」と親友の黒柳徹子さん。

 中国河北省で軍事管理区域に侵入したとして、準大手ゼネコン「フジタ」の日本人社員四人が国家安全機関の取り調べを受けている事件で、北京の日本大使館は三十日午前、身柄を拘束されていたフジタ社員四人のうち三人が解放されたことを確認した。
 大リーグ・マリナーズのイチロー選手が208安打、今シーズンは、どこまで伸びるか。

平成二十二年九月二十九日
 何度もくどいが、ドラゴンズの試合は来月一日までない。大相撲でいえば、毎日、一日一日が明けるごとに「見えない土俵」の立合いの仕切りを仕切っている。そうした心境である。一日一日、刻一刻と試合が近づくに従い、心身とも昂揚してくる。きのうよりは今日、きょうよりは明日の方が、といった具合なのだ。二日夜のナゴヤドームでのドラゴンズでは踏み込みよく、最高の立合いをして一気にヤクルトを押し出してほしい。

 今夜の巨人、阪神戦は阪神が能見、久保田、藤川球の必勝リレーで3―1で勝った。中日は、これを見守るのみぞ、だった。両者が星をつぶしあってくれれば、くれるほどドラゴンズのセ・リーグ優勝は、ぐいぐいと近づくのである。いずれにせよ、この日、阪神に敗れた巨人の四連覇は完全消滅し、中日の2位以上が確定した。

 午後零時四十五分、ボクの携帯が鳴った。
 ファンクラブの母、安江サンからで開くと「こんにちは、今岩田投手を、(岩田投手の)お母さんとお見送りして、帰るところ、元気に旅立ちました。デッキからユニホームを振ってやりました。報告まで」という内容だった。
 そうか、ドラゴンズが誇る右腕・岩田慎司投手(二十三歳)はベネズエラのウインター・リーグに派遣されるのだった(28日付、中日スポーツに、ことしは選手の派遣先が、これまでのドミニカ共和国からベネズエラに変わり岩田投手が派遣されることになり、二十九日に出発する、などと詳しく書かれている)。
 「そうだったのか。君はもう日本には居ないのか」

 ボクはあわてて「お疲れさま。ボクも岩田投手は大好きです」とだけ、メールを打ち返した。そうか。あの朴訥な岩田がベネズエラに行ってしまったんだ。それにしても、ご家族は、さぞかし寂しいに違いない。でも、彼のことだ。きっと、たくましくなって帰ってくるだろう。岩田投手のファンは、彼もよく知る女子大生のNさんはじめ、東京のドラ博士・X氏など大勢いる。ボクも含めて、なんだか、クライマックスと日本シリーズを前に、大切な人を奪われてしまったような、そんな錯覚さえ感じる。

 【笛猫茶番日常の劇】このところは、日に日に秋が深まってきています。お母さんのMは、この二、三日の間に、すっかり家の中の冬支度を整えてしまいました。居間にはカーペットが敷かれ、少し速いかと思いますが、各部屋には電気ストーブなども配備されました。アタイはオトンの足元、掘り炬燵の下で座り、時折動く足を見ています。

 秋が晴れると、決まって思い出すのがMがつくり新聞にも載った名作ふたつです。ここに書き記しておきます。
♪秋空に未来永劫と書いてみし
♪マンジュシャゲ人恋ふごとに朱深く
 ついでながら、Mの本で有名なのは「ひとりあやとり」(日本俳句叢書2、伊神舞子著、近代文藝社刊)=一九九五年十月十日発行=で~す。皆さん、読んでくださいね。

☆「厳しい練習にも感謝 川相さんに恩返し 若竜」「川相2軍監督感謝と無念の退団 プロ意識植えつけた」「選手の成長見届けられず心残り 中日在籍7年」(29日付中日スポーツ3面)=『追記』川相さん、情熱を込められてのファンサービス向上、みんな分かっています。ありがとう(いがみの権太より)
 「ジョンウン氏 後継決定」「北朝鮮、党指導部に 中央軍事副委員長・新設ナンバー2」(29日付、中日夕刊1面トップ)。1984年のロサンゼルス五輪男子柔道無差別級決勝で、日本代表・山下泰裕選手が痛めた右足を攻めずに敗れたエジプトのモハメド・ラシュワンさん(五十四歳)の名を冠した「ラシュワン・スポーツマンシップ賞」がエジプトで創設された。

平成二十二年九月二十八日
 きょうは甲子園で巨人―阪神戦が行われたが、7―5で巨人が勝った。
 これまで2位阪神とは2ゲーム差、3位巨人とは2・5ゲーム差、さらに阪神にはマジック8が点灯しているだけに、ドラゴンズにとっては、今夜の試合で阪神が負けてくれた方が、今後より優勝に近づくことになる。だから、きょうの試合結果により、2位が巨人、3位阪神、阪神のマジックは8のまま変わらずで、ドラゴンズはセ・リーグ優勝に一歩近づいたといってよい。

 それはそうと、本日付、中日スポーツ1面で今季、最も活躍した中日の選手に贈られる「第29回ドラゴンズ・クラウン賞」(中日スポーツ主催、愛知トヨタ協賛)の最優秀選手賞に和田和浩外野手(三十八歳)が選ばれた、と報道されている。和田の今季成績は打率3割3分9厘、37本塁打、93打点のチーム三冠王で誰が聞いても異論の無い結果といえよう。
 ほかに、優秀選手賞に森野将彦、岩瀬仁紀、高橋聡文、浅尾拓也の各選手が、特別賞には堂上直倫選手が選ばれた。なるほど、の人選だ。

 一方で、中日・川相昌広2軍監督と風岡尚幸内野守備走塁コーチが今季限りで退団する、との報道もある。川相監督といえば、この一年、ファンサービス向上に大変な力を注いでこられたお方だけに、この人事を不思議に思ったファンも多いに違いない。なぜなのか。

 【笛猫茶番日常の劇】岡崎でへんな、おじさん先生(男性教諭)がいたかと思ったら、今度は犬山市の名古屋経済大付属市邨幼稚園のスクールバス運転手(五十二歳)が園児を乗せて運行中、ドレミの歌になぞらえて「ドは毒殺のド」などと不適切な替え歌を歌っていたことが分かり、人間社会の程度の悪さが指摘されています。
 アタイたち猫の世界では、とても考えられないことだ、とあらためて人間を見ることさえが、いやになってしまいます。でも、イガミ家の人々にかぎって、そんなことはない、と信じてはいますが…。ニンゲンに対する不信感が深まったことだけは疑いのない事実なのです。
 あ~あ、ニンゲンたちって。なんて嘆かわしいのでしょう。

 この運転手、夕刊によれば、今月十四日の朝、園児たちを乗せてバスを運行していた際、運転席近くに座っていた園児がドレミの歌を歌ったのにつられ、「ドは毒殺のド、レは霊きゅう車のレ、ミは皆殺しのミ」などと子どものころに歌っていた替え歌をうたった、そうです。
 運転手のおじさんは、たまたま翌日の新聞報道で岡崎市内の小学校で殺人事件を題材にした算数の問題が出されたことが報道されたことから、不適切だった、と反省し、園児たちに今後は歌わないことを約束、園児にも歌わないように、と求めたというのです。

 ところで岡崎の殺人事件を題材にした算数の問題は、こうです。
 「子供が18人います。1日に3人ずつ殺すと何日で全員を殺せるでしょう? 」
 岡崎市教育委員会では、この教諭を口頭で厳重注意し、担任をはずしたそうです。
 この忌まわしい“殺人事件”をとらえ読売新聞は十六日付編集手帳で『命屋(いのちや)』という同紙こどもの詩欄に載った小学三年生男児の作品を紹介していました。次のような詩です。
 ―「命屋」さんがあればいいね/でも/命を買い替えられたら/みんな 一生けん命/生きないかもね/そしたら/つまらない人生になるね
 紹介したあと、この記事は、「人生」や「命」といった大人でもときに持て余す重たいテーマに、こういう洞察のできる年ごろである。その記事を読み返しながら、ため息をひとつ、ついてみる、と続けます。……

 少し教訓めいた話になってしまいました。それもこれも、今夜、オトンがアタイにドレミ毒殺事件と子供殺人事件について聞いてきたので、答えたまでです。

 暗い話ばかりでアタイ、気がめいってしまいます。
 だったら、みなさん「おしなりくん」知っていますか。日本一の高さ634メートルに向かって伸び続ける東京スカイツリー(別名・ムサシ、東京都墨田区)の足元の町で生まれた、ゆるキャラくんの名前なんです。この「おしなりくん」、地元五つの商店街などでつくる「押上・業平橋地区活性化協議会」が誕生させました。だから、業平橋の由来になった在原業平をモチーフにタワー型の烏帽子までかぶっているんだってヨ。

☆北朝鮮の朝鮮中央通信によると、朝鮮人民軍の最高司令官・金正日(キムジョンイル)総書記が二十七日、総書記の後継者に内定している三男ジョウウン氏らに大将の軍事称号を与える命令を出した。北朝鮮の報道に同氏の名前が登場したのは、これが初めて。
 「前特捜部長ら逮捕へ」「大阪地検証拠改ざん 犯人隠避の疑い」「最高検 故意認識、複数証言」(28日付、中日新聞夕刊)

平成二十二年九月二十七日
 十月二日にナゴヤドームで行われる最終戦(対ヤクルト)まで、ドラゴンズの試合はない。残る一試合を前に選手たちは、どんな気持ちでいるのか。一ファンであるボクは、ドラゴンズの試合がここ当分ない、のでナンダカ胸のなかに大きな空洞ができてしまったような、そんな気持ちである。

 勢い、目は大リーグにいってしまう。豊山出身のイチロー選手(マリナーズ)は相変わらずの活躍ぶりで、きょうの夕刊共同電によれば、レイズ戦で4打数2安打、6試合連続安打で、両リーグトップの安打数を205に伸ばし、チームも連敗を3で止め、6―2で勝った。

 そのイチローだが、守備も「攻め」のプレー、という夕刊の囲み記事に動かされた。よく言われる「攻撃は最大の防御なり」というヤツだが、記事は「右翼定位置のイチローが突然大きく両手を広げた。三回無死一塁での守備、アップトンが打ち上げた平凡な飛球。『あれをやるということはフェイク(だまし)でしょう。(本当に)見えないなら僕はしない』。試合後に明かしたのは、イチローなりの頭脳プレーだ。
 ドーム球場のトロピカーナ・フィールドは天井が白く、高く上がったボールを見失いやすい。その“特質”を利用して一塁走者をおびき出し、捕球後に素早く一塁に送球すれば、併殺も狙えるプレーだった。……」とある。なるほど、と思ったのである。

 このほかにも「今月23日、トロントでブルージェイズのホセ・バティスタの今季50号本塁打を見た。イチローが10年連続200号安打に達したその試合である。」で始まるスポーツライター・樋口浩一さんの署名記事も「渡り鳥成長 50本塁打」の見出しの通り、2000年のドラフトでパイレーツに20順目指名を受けて入団後の、バティスタの苦闘と努力の選手生活に触れる内容で読み応えがあった。

 【笛猫茶番日常の劇】お父さん、このところ寝不足なの。だから、アタイとしては、今夜はここらで開放し、寝させてあげたい。アタイよく知ってんだから。オトンが昔から、どんなに、お寝(ね)ブタさんだったか、を。オトンの母親、満九十歳の大ママが、いつも口癖で言う言葉教えてあげようか。それはこんなものなの。
 「あのねえー、たかちゃん(オトンの別名)たらねえ。ちいさいころかな、夕食を食べると、すぐアゴを食卓の上に乗せたまま、グウグウー、スヤスヤと寝てしまったものなの。満州から引き揚げ船で日本に帰ってきたときも、わずか生後十三日目の旅立ちで船の中では大勢のこどもたちが次々と死んで逝ったのに、この子だけはグウグウ、スヤスヤと幸せそうな顔をして寝ていてくれた。
 だから、手間がかからず、今にも死にそうだったおニイちゃん(現・貧乏弁護士)が助かった。今あるのも、たかちゃんのおかげなんだから。この子は、歩みはのろくとも将来、きつとスゴイ人間になるのよ。かあさんは、今でもそう信じてるの」だってサ。
 オトンも、どうやら大ママのこの言を信じている節があり「オレなんて。まだまだヒヨッコ。これからなんだよ」が口癖なのだから。「これからこそ、が俺の人生、勝負のとき、なんだって」サ。そう言われれば、かつてオトンの同僚がよく言ってた。
 「ガミさんは、殺しても死なない人」だってよ。そろそろ寝なくっちゃあ。あっ、もう夜明けか。

☆「武富士、更生法申請へ」「過払い金返還 重荷に 負債4300億円」(27日付、中日夕刊)。たばこ税増税に伴い、十月一日にたばこの販売価格が上がることになった。

平成二十二年九月二十六日
 今シーズンの最終戦(十月二日)を前に今夜、神宮では対ヤクルト戦が行われた。

 ボクはこの日は東京新宿の京王プラザホテルであった国際ペン大会記念パーティーの席で各国の文学者らと歓談。途中、熱烈ドラゴンズファンで知られる前日本ペンクラブ事務局長の秋尾暢宏さんらとパーティーの合間に「勝ってほしい」ただその一念から、ケータイ・ドラゴンズ情報でチェックすること三回。雨で中断の場面を、阿刀田高会長と画面で一緒に覗いたりした。が、最終的には、3ー1。ドラゴンズの先発・中田賢投手が、ヤクルトのよしのり(由規)に、してやられた。これに尽きる。

 この日、敵ながらアッパレだったのは、ヤクルトの1番青木が一回裏の、しょっぱな、から先頭打者ホームランの13号弾を放ち、なんと彼本人としては二回目、史上初の連続二百本安打を達成したことである。おめでとう。

 いずれにせよ、ドラゴンズの残る試合はクライマックスをのぞいて来月二日にナゴヤドームで開かれる対ヤクルト戦だけである。この夜は巨人も3ー2で横浜に破れ、阪神にマジック8が点灯した。あとは、ここまできたチーム力をそのまま出して勝ち、運も天に任せてリーグ優勝をしてもらうことを待つ、だけである。

 パ・リーグは就任二年目の秋山幸二監督率いるソフトバンクがダイエー時代の2003年以来、七年ぶりのリーグ優勝を果たした。南海時代の十度、ダイエー時代の三度と合わせて通算十四度目のリーグ制覇となった。

 【笛猫茶番日常の劇】日曜日です。
 お父さん、朝早くから町内の古知野神社の掃除とか、に出かけていきました。それからこんどは東京へ。環境と文学「いま、何を書くか」をテーマとした国際ペンと日本ペンクラブ主催の国際ペン東京大会2010が早稲田大学を会場に開かれているためです。既に二十三日から繰り広げられている数々の催しのうち、きょうは開会式と基調講演があったので、その基調講演を聴いたあと、新宿の京王プラザホテルであった、海外から訪れた国際ペン仲間との記念パーティーにも出たのです。

 お母さんのMの方も名古屋市中区、大須観音近くの七ツ寺共同スタジオで開かれた「ポエトリー・リーディングの夕べ」(あいちトリエンナーレ実行委員会共催)に出かけました。この夕べでは、馬場駿吉さんの詩の朗読に合わせ、バイオリニストの来島里奈さんらが即興の曲を演奏する=ほかにギターも=というもので、Mは随分前から楽しみにしていたのです。
 ほんとうは、オトンと一緒に行きたかったのですが、オトンは国際ペンに行かねばならず、それぞれが別行動の日曜日となったのです。

 それにしても、オトンはこの日、東京で多くの日本ペンクラブ仲間と会い、語り合ってきて満足そうでした。なかでも華人系作家として初のノーベル文学賞を受賞した作家・高行健さん(パリ在住)の基調講演には、とても感動したそうです。人間としての「文学のありよう」を改めて考えさせられたんだってサ。

☆横綱白鵬が四場所連続で全勝優勝。連勝も六十二に伸ばした。勝利のあとのインタビューに答え、白鵬は「自分には“運”というものがあった。この運は努力した人間にだけしか来ないもので、神さまが与えてくれた。お客さまが増えるよう、これからも頑張りたい」と述べた。

 海女漁の盛んな三重県志摩市で二十五日、国内九地区と韓国の海女約五十人が集まり、海女サミットが開かれた。日韓の海女さんが今後も交流を続け、海女文化の伝統を守っていくことなどを宣言した。漁船衝突事件で日本政府が中国側の謝罪要求を拒否。名古屋市中村区のキャバクラ放火で入院中だった愛知県知立市の男性(二十七歳)が、亡くなった。

平成二十二年九月二十五日
 土曜日のデーゲーム。ドラゴンズは横浜スタジアムで横浜と戦い、打撃戦に。終盤2点差まで追い上げられヒヤリとする場面もあったが、このところ当たりが戻ってきたブランコ、和田両選手のホームラン攻勢などで前半、大量リードしていたこともあり、9―7でなんとか勝利をものにした。五回裏1死でこの日の先発山本昌投手と交代し窮地を救ったネルソンが4勝目を、岩瀬が42セーブ目をあげた。
結局、石橋をたたいて渡る継投策が効を奏したきょうの1勝で、トンネルの向こう側の光りが一段と大きくなった、と感じたのはボクだけだろうか。おそらく、ファンのみなさまの多くが安堵したに違いない。

この日は浅尾投手が今季47ホールド目を記録し、シーズン最多ホールドのプロ野球記録を達成、岩瀬投手も二年連続四度目となる最多セーブ(42)を確定させた。何もかもが記録尽くしである。

 もはや、ここまできたら、誰が悪いとか、これがいい、という問題ではない。中日ドラゴンズのファンなら、ドラゴンズファミリーなら、みなイイのだ。良い仲間たちばかりだ。ここで、過去の怨念なぞ振り返りたくもない。
 逆に、互いの立場を大いに主張しながら時には衝突はしても結局のところ、球団、ドーム、ファンクラブ、一般のファン…のみんなが手をつないできたからこそ、ここまでこれた。もしも、過去のこだわりとか、そうしたものがあったのなら、この際、ぜ~んぶ、そっくり洗い流して、日本一達成に心を一つに合わせる日が目前に迫ってきている。

 きょうは昼過ぎに、ファンクラブのお母さんとしても知られる安江都々子さん(七十九歳)から「こんにちは、今鳴尾浜球場です。(カメラマンの)F君、私が名づけたプリンスに、やっと会えました。きょうは阪神の矢野さん(捕手)の引退試合です。矢野ちゃんと話が出来て良かったで~す、……」といったメールが入った。
 F君とは、新聞社の写真部員でかつて、よくナゴヤ球場で安江さんにお世話になった、若きカメラマンである。
 安江さんがプリンスがきた、プリンスがきたーといってかわいがるので、それこそ当時は彼にとって“母親”のような存在だった。それでも、サラリーマンは辛いもの。その後プリンス君は無情にも大阪に転勤とあいなった。というわけで、きょうは鳴尾浜球場で再会、安江さんが手づくりでこしらえてきた昼食を食べながら、久しぶりに話が弾んだ、とのことです。

 あらためてお母さんに電話しメールに対する礼を述べると、彼女いわく「矢野さんもドラゴンズ時代から知った仲。20年の選手生活とのお別れは寂しいでしょうが、これからは指導者として頑張ってほしい」との声が跳ね返ってきた。彼女は「こうして鳴尾浜まで来られたのも、公式ファンクラブ仲間のおかげ。けさなどIさんが午前五時前に車で家まで、わざわざ迎えにきてくれました」とも付け加えた。

 それにしても、安江さんのタフさには驚くばかりだ。
 ことしはじめ腰と背骨の大手術をしたばかりなのに、今シーズンもナゴヤ球場での2軍戦は杖を手に全試合を観戦。おまけに、山口の由宇、北神戸……と各地の地方球場まで足を伸ばす姿は、知る人ぞしる、まさに女傑母さんでもある。ボクは「あまり、無理しないように」と言って受話器を置いた。

 【笛猫茶番日常の劇】きょうはお父さん、珍しく一日おウチにいたので、なんとなくうれしかった。でも、相も変わらず忙しそうで途中、外出も何度か。一日中、何かをやりどおし、って。感じ。
 なんでも、あす大須観音の七ツ寺共同スタジオでアタイの大好きなバイオリニストのお姉さん・来島里奈さんが「ポエトリー・リーディングの夕べ(往還のための朗読会)」に出演される、というので、その場所へ行くにはどうしたらよいのか、を電話で知人に丁寧に教えるなどしていました。

 それから、あすはいよいよ国際ペン東京大会2010の歓迎パーティーが東京・新宿の京王プラザホテルであるため、そちらの方の準備でもあちこちペンクラブ仲間に電話していたみたい。ドラゴンズも順調に勝ち進んでおり、なんだかんだと気ぜわしそうです。ここで、ひと休みしなければ。オトン、ぽっくり逝っちゃっても知らないよ~だ。

 ほかにもオカンと約束している「地球一周の船旅」のDVDを見て、あれこれ検討するなぞ、目まぐるしい、たら。ありゃしない。それでも、ピースボートのDVDは「十五分で簡潔にまとめられた内容で大変、ためになった」のだってサ。現在、執筆中である小説も書かなきゃいけないし。ドラが優勝すれば、ますます仕事は増えそうだし。あ~あ、喜んでよいのか、悲しんでよいのか。アタイには分からない。オトンが、ますます遠い存在になってしまう。

☆菅直人首相が、二十四日午後(日本時間二十五日未明)、国連総会で一般討論演説を行い、唯一の被爆国として核兵器のない世界実現に向け「国際社会の先頭に立つ」と決意表明。中国外務省は二十五日、尖閣諸島(中国名・釣魚島)付近で発生した漁船衝突事件に関連し日本の拘束は違法だとして、謝罪と賠償を求める声明を発表した。

平成二十二年九月二十四日
 きょうは、ドラゴンズの試合はなし。なんだかホッとする一方で張りがない。人間、勝手なものだ。
 そうしたなか、唯一の楽しみとなると、ドラゴンズのニュースを満載した中日スポーツである。なかでボクがいつも楽しみにしている囲み記事「ドラ番記者」に目がいった。
 それによると、担当記者は「ナゴヤドームではとにかく強い今年の中日。この日までの地方も含むホーム戦績は53勝17敗1分の勝率7割5分7厘。これが球団史上過去最高かと調べてみると、もっとすごい年があったんです」という。
 記事によれば、もっとすごい成績を残したのが、1954年の53勝15敗2分、勝率7割7分9厘。球団史上初のリーグ優勝&日本一に輝き、エース・杉下茂、主軸打者・西沢道夫らが活躍した年だ。これって。内弁慶が際立つ年のドラゴンズは優勝する、てことか。

 それはそうと、けさの中日スポーツ5面のわいわい広場。昨夜の敗戦投手・吉見続投に対する疑問など手厳しい声が目立ったが「うなだれるな吉見」の見出しにふと、視線がとまった。声は、名古屋市港区の四十二歳の会社員からのもので、次のような内容だった。
 「吉見投手に前から言いたいことがある。ホームランを打たれる度にひざに手をついてうなだれるのはやめてほしい。中田もチェンもそんなことはしない。マウンドでは弱いところを見せず堂々としていてほしい。エースだから。キミがガックリすれば野手もガックリする」

 すごく分かる。でも、このポーズにはある面で吉見らしさが出ている。

 【笛猫茶番日常の劇】
 坂本冬美のうたう「能登はいらんかいね」に起こされ、お父さんは今かふしてヨロヨロと起きだし、一階の自室デスクに向かった。そして書き出した。NHKのラヂオ深夜便のしわざである。
 朦朧とした意識。その前には、かつてかわいがられた日本海が広がり、能登の海鳥が空をスイスイと泳いでいる。午前三時過ぎ、オトンは、やおらベッドから立ち上がった。書かなければ。書いておかねば。日々の作家活動は、まさに自分に課せられた天命なのだ。自分に向かって書くのだ、と言い聞かせる。いつものように。ただ自分が生きてきた証明を残す。そのことだけのために、だ……。

 ドラゴンズが優勝することだって。自分に向かって書くことが、人間社会の道行きを書く証明になるのだ。
 きょうは、私の目の前を死んだはずの人間が歩いている光景に、何ども出くあした。これはどうしたことなのか。それとも、私自身、死後の世界を旅しているのか。不思議だ。

 ―きょうのお父さん、相変わらずで職場でドラゴンズが優勝した時に備えた原稿の出稿を終えるや、上前津の横笛の師匠宅へ。ここでお稽古をしたのですが、「きょうのイガミさんの笛の音には、すごく情感がこもっておりステキだったよ。ふく技術とか、そうしたもの以前の感情のようなものが出ていて、それが人々の心を打つ。哀感みたいなものが伝わってきた」とほめられたんだってサ。
 そこで、アタイがオトンになぜ、そんな哀愁をおびた音が出たかと聞くと、オトンはある人との別れに思いをはせ、吹いたのだって。だから「イガミさん、なんて情感がこもった音なの。何かあったのでは」と師匠の心までを、動かしたみたい。
 ここでオトンは師匠にこう言ったのです。
 「その通り。でも、それ以上、(あるお方と別れた、などと事の次第のいきさつを)僕が話してしまうと、笛の音どころか、すべてのものが消え去ってしまうので、言えません」と。
 何度も言いますが、オトンはそんなアタイにとっては、世界でただひとりの大切な、ご主人なのです。

 それからね。ちょっとイイ話といえば、Mがけさ出がけにオトンに向かい、ポツリと話したこと。あらまし次の通りだったよ。
 「あのねえ。きのうの夜八時ごろ、だったかしら。能登の七尾の年のいった男の方から突然、電話が入り『町の扉』を読んで感動し、涙があふれ出てとまらなかった。嬉しくて仕方なかったので、お宅まで電話させていただいた。ありがとう、と言っておいてほしいのだってよ」
 そんなにまで言われると、なんだかアタイまでが恐縮してしまう。『町の扉―一匹(いっぴき)記者現場を生きる』は、オトンが自ら歩いてきた家族もろともの地方記者の生活を描いた実録ルポルタージュで~す。電話をかけてきてくださったこうした方は過去、他にも数人あり、そのつど受話器の向こうの声が涙声になってしまったことはアタイもオトンの横で聞いていたので、よく分かります。オトンは幸せ者、新聞記者冥利に尽きる、とはこのことですよね。

☆世界のイチロー=米大リーガー、マリナーズ。三十六歳=が自身の大リーグ記録をさらに伸ばす10年連続200安打をトロント・ロジャーズセンターでのブルージェイズ戦で達成した。おめでとう、ありがとう、イチローさん!

 「中国取り調べ 四人20日に拘束」「フジタ社員『助けて』とメール」(24日付、中日新聞夕刊)。その後、今夜になり、先に尖閣諸島領海内で海上保安庁の巡視船に体当たりした、として日本側に逮捕されていた中国漁船船長が沖縄・那覇地検の判断で処分保留で釈放されることになった、とのニュースが飛び込んできた。
 厚生労働省の文書偽造事件を巡る押収資料改ざん事件で最高検は二十三日、前大阪地検特捜部長らから事情聴取した。

平成二十二年九月二十三日
 きょうは阪神にしてやられた。今シーズン最後の対阪神戦が今夜、ナゴヤドームであり、ドラゴンズ・吉見投手、阪神・能見投手がそれぞれ先発、ドラゴンズは6―1で阪神に負けた。

 それでも、ボクの心の中は至って冷静だ。これまで頑張ってきたのだから、今夜ぐらいは大目に見てやらなければ、というか、なんだか、ここまできて、負けてホッとした、一休みのようなところもある。デ、きょうはこまごまとした点には触れないでおこう。それよりも眠りたいというのが、今のボクの本音である。

 いまのチーム全体の力。そして落合監督のもと、一丸となった選手一人ひとりのそれこそ熱き心と戦力を思えば、リーグ優勝はやがて転がり込むにちがいない。いや、そうなると信じたい。
 そして。十万人以上に及ぶ中日ドラゴンズ公式ファンクラブ会員一人ひとりの応援、「われらドラゴンズファミリー」を合言葉に日々、あくなき努力を積み重ねている事務局スタッフらの存在も忘れることは出来ない。

 この日、ナゴヤドーム内で試合前、八月の中日スポーツ月間MVP(最優秀選手賞)に輝いたマサさん(山本昌投手)に対する表彰式があり、プレゼンターの母子に立ち会ったが、晴れのプレゼンターに選ばれた小学五年男児とその母親は「夢が、かないました」と大喜びだった。
 トロフィーと賞金をマサさんに渡したあとは、来ていたファンクラブ特典のユニホームとTシャツにサインまでしてもらえ、ふたりとも感激。「私のようなものにまで、こんなにステキな賞をいただけ、うれしく思います」と謙そんするマサさんを前に、同世代のお母さんは「マサさんの野球に対するひたむきな姿勢と、チャレンジ精神がすごくステキです」と話していた。

 きょうは、阪神が中日に勝ち、巨人が横浜に負けたため、阪神が再び二位に。一位・中日との差は二・五である。いまの状況から分析すると残りゲームは中日が三、阪神十、巨人八試合である。中日が三連敗しても阪神が七勝、巨人も六勝して初めてほぼ同率で並ぶ。
 ただ、巨人、阪神のいずれか、が最後の土壇場で連勝してくることもなしとはいえない。そのためにもドラゴンズには残る三試合を全勝で突っ走ってほしい。

 大リーグの方は、マリナーズのイチローが十年連続200本安打達成まで残り十一試合で「あと2本」まで迫った。

『ねぇ~』   こすも・ここ
 

       『なぁに』  シロ

 【笛猫茶番日常の劇】きょうはお彼岸。時折、吹く“かぜ”も、一段と肌にやさしく秋らしくなりました。
 でも夜はいっとき雨が降り、アタイたちの家から満月を仰ぎ見ることはできません。オトンは、けさ、いつもより三十分ほど遅く家を出て、夜遅く帰り「おい、元気でいたか。オトンはいま、やることがいっぱいあるんだ」だってサ。
 オトンには珍しく「あ~あ、疲れた」「でも、すこしだけ、C子さんに会ったから、良しとするか」と言って寝てしまい、未明の午前三時になり起き出し、再び心配そうに見守るアタイの前でこうして原稿を書いています。かわいそうだねっ。お父さん! ったら。

 でも、それはそうと、C子さんって。一体だれのことかしら。浮気性のオトンのことだから。またまた好きな女でも出来、密会でもしてきたのかな。アタイにはわかりませ~ん。ただ、秘密が多ければ多いほど、そのニンゲンは魅力的だ、がオトンの持論です。そういうヤツほどいい記事を書く。
 男も女も、人のプライバシーまでのぞいてパカパカぽこぽこと、よくしゃべるニンゲンは軽くて嫌いだーというのがオトンの哲学でもあります。(ただし不正は論外。高貴な秘密とは違い、自分勝手な隠し事に過ぎない。これは、どこまでも暴かなければいけない)。

 もしかしたら、きょうのオトンの秘密は、中日スポーツのイケメン兄さんだけが、知っているのかも、ネ。
 アタイも毎日毎日、一向に新聞記者魂の抜けないオトンのお守り役、この年になりもう、ホトホト疲れ果てました。でも内緒にしてよね。この話、口は災いのもとなんだってサ。ネコニャン。アタイも疲れたよ。

☆天守包む中秋の名月 名古屋城(23日付、中日新聞の朝刊から、写真がとってもいい)

 尾張徳川家ゆかりの名器・幻の琵琶“白菊”が150年ぶりに里帰りし、来月二日に開幕する徳川美術館の特別展で「尾張徳川家からの献上品」として、初めて公開される。「生活保護 半年で10万人増 6月集計 55年ぶり190万人超す」(23日付、中日朝刊)

平成二十二年九月二十二日
 今夜のナゴヤドーム。中日は山井投手、阪神は久保投手と、ともに一歩も譲らない首位決戦にふさわしい1点を争う投手戦になった。最後は九回裏、1死満塁から阪神の抑えの切り札・藤川球投手に対して代打堂上剛裕が気迫のバッティングを見せ、1ゴロが阪神ブラゼルの本塁・捕手への悪送球を誘って、藤井がホームイン。ドラゴンズが、とうとうサヨナラ勝ちをしたのである。
 ここで強調しておきたいのは落合監督の次のような言葉である。
 「決めたのは(相手チームの)ブラゼル。エラーですよ。堂上剛裕ではない」
 要は、ここにきてエラーは許されない、ということだ。

 ドラゴンズのサヨナラ勝ちは、球団史上最多となる今シーズン十二回目。山井に次ぐ二番手の浅尾は12勝目。阪神は8イニング無失点の久保の援護を出来なかった。また、中継ぎエースとして開幕から大車輪の浅尾の登板数は、これで「70」になり、61年に権藤博がマークした球団記録「69」を1上回った。

 そう言えば、権藤のあの登板の多さは、当時「権藤、権藤、雨、権藤」という流行語まで生まれ、あのころ少年だったボクの頭に少しだけ残っている。が、まさか、こうした形で浅尾が破るとは、一体全体、誰が予測しただろうか。これにより、ドラゴンズはあす、阪神に勝てばいよいよマジックが点灯する。

 ところでクライマックスシリーズ出場を昨日決定済みの中日は、試合の消化が一番早くて残る試合数は4、対する阪神が11、巨人が9となった。専門家の分析によれば、中日が2勝2敗でいった場合、阪神が10勝1敗、巨人も8勝1敗でやっと同率になる、とのことで中日の優位は動かない。いずれにせよ、あすドラゴンズが勝てば、マジックが点灯する。それこそ、われらのドラゴンズはリーグ優勝まで、あとひと息に迫った。

 米大リーグ・マリナーズのイチローはブルージェイズ戦に「1番・右翼」で出場し、4打数4安打1四球の大当たりで十年連続200安打にあと3本に迫った。ドラゴンズも、グランパスも、イチローも…、このところ尾張名古屋勢の活躍が目立つ。

 【笛猫茶番日常の劇】今夜は、旧暦の八月十五日の十五夜さん、いわゆる中秋の名月で~す。
 というのに、せっかくの名月の夜でありながら、雷まじりの猛烈な雨にいっとき、急襲されました。おニイはちょうど、駅からの帰り道に当たり、ずぶ濡れになってしまい、降雨のさなかの帰宅となったそうです。豪雨のなか、雷まで鳴り、ピカッピカッと、暗い夜道を光りの矢までが降り注いだそうです。Mに言わせれば、野性味の残っている妹・シロはどこかに雲隠れしてしまい、わが家は大変だったのです。

 それでも、お父さんが帰宅するころには雨もやみ、夜空には中秋の名月が仰げたそうです。自然って。ホントに不思議なのだから。それはそうと、フロッピーディスク改ざんに関わる大阪地検特捜部主任検事・前田恒彦容疑者(四十三歳)の不祥事が波紋を広げているそうです。

 というのは、最高検のその後の調べで、前田容疑者は、ことし二月に既にフロッピーディスクの記録の書き換えを当時の上司である大坪弘道特捜部長(現京都地検次席検事)に漏らしていた、というのです。これをとらえ、オトンの友人でもあるノンフィクション作家・吉岡忍さんはNHKテレビで「組織ぐるみの隠蔽工作といってよい。この際、組織の土壌をきちんと検証すべきです」と断罪、オカンのMも「みんな罪を負っかぶせて逃げているんだ」と厳しい見解です。

 なんだか、むずかしい話になっちゃって。読者のみなさん! ごめんなさいね。でも、オトンが今一番憂いていることを代弁しておく必要がある、アタイはそう思っていまの社会悪について少しだけ語ってみたのです。

☆厚生労働省の文書偽造事件で無罪が確定し同省官房付で復職した村木厚子さんが二十二日、逮捕から一年三カ月ぶりに東京・霞が関の同省に登庁した。中京大の元職員が教材費などの名目で学生から受け取った二億四千万円を着服していたことを北川薫学長が明らかにした。

 国連総会出席のため訪米中の中国・温家宝首相が尖閣諸島(中国名・釣魚島)沖の漁船衝突事件に触れ「日本側が自分の考えを押し通すならば、中国側はさらなる行動を取る」と新たな報復措置を示唆、拘置中の中国人船長の即時無条件釈放を強く要求した。来年二月の愛知県知事選に向け、民主党県議団は二十一日の県議団総会で御園慎一郎・愛知東邦大学教授(五十七歳)の擁立を決めた。

平成二十二年九月二十一日
 いよいよ、ドラゴンズのセ・リーグ優勝が秒読み段階に入ってきた。
 ホームに強い内弁慶のドラゴンズは、今夜ナゴヤドームで二位の阪神と直接対決、3―0で快勝した。ドラゴンズは、やはり強い。これで阪神とのゲーム差は2・5差に広がった。先発のチェンは8イニング無失点で13勝目。9回裏には浅尾、岩瀬の継投で閉めた。この日は野本が四回に先制の中犠飛、六回には左前適時打で2打点と地道な活躍が光った。

 午後十一時過ぎ。傍らのボクの携帯電話が、何かを急き立てるような音をブーブーとたてた。思わず手に取ると、案の定、ドラ☆パ・メルマガからの情報連絡である。「見たか虎! 優勝するのはオレたちだ!! 阪神との最終決戦第1Rを完封で制したドラゴンズ。」といった景気のいい内容だった。

 そればかりか、同じころ、今度は、東京は調布市に住まれる熱烈ドラゴンズファンの一人で自ら落合信者を名乗る会社員のHさんから、こんな嬉しいメールまでいただいたのである。
 「こんばんは! チェンと野本の活躍で、見事勝利。負けたら阪神にマジックがつくところでした。夕べは残念な結果でしたが、本(「プロ野球実況できなかったスゴイ話」)をお書きになられた松本アナウンサー(ニッポン放送・スポーツアナウンサー、松本秀夫さん)と初めてお会いすることもできました。まさに、『声は人なり』という、温かくて素晴らしい方でした。野球をきっかけに多くの出会いがあります。明日も、明後日も、中日の勝利を祈り、優勝を信じます! 」というもので、いよいよ優勝モードに入ってきたのである。
 この本、実はボクもつい最近、読ませていただきましたが、球界の秘話にも触れられており、なかなかの力作でしたよ。

 【笛猫茶番日常の劇】きょうのお父さん。早朝から一日中、大車輪でした。
 あさ、午前5時44分江南発の中部国際空港行き全座席指定席の特急に飛び乗ってセントレアへ。ここでカトマンズに飛び立つ女性を、他の親友と一緒に見送ったあとは、トンボ帰りして今度はお母さんの待つ江南厚生病院へ。担当医から、八月三十一日に行ったMRIの検査結果をふたりで聞いてきたんだってサ。幸い、大手術をしたあとの脳の部位からの新たな腫瘍は出ていなかったそうでアタイもシロも、ほっとしたのです。
 さすがに病院から帰ったMとオトン。しばらくは疲れからか、死んだように寝てしまいました。オカンのことはアタイたちも心配していただけに特に問題はなし、と聞かされアタイもシロもほっとしたのであります。

 ところで、俳句に詳しいオカンいわく「こすもとシロ、おぼえておいてね。あす二十二日が名月、二十三日は満月だよ」だってサ。でね、おまえたちも空を見上げて月をよく味わうのだよ、といわれました。ニンゲンの社会は奥が深いったら、ありゃしない。

☆厚生労働省の村木厚子元局長(五十四歳)に、無罪判決が言い渡された文書偽造事件で、大阪地検特捜部の前田恒彦主任検事(四十三歳)が元係長上村勉被告(四十一歳)から証拠品として押収したフロッピーデスクの更新日時を改ざんしていたことが分かった。検察の信用ここまで堕ちたりか、か。最高検は今夜、前田主任検事を逮捕した。

平成二十二年九月二十日
 ドラゴンズは、ヤクルトに負けた。4―3。ヤクルトは強い。きょうは、そこそこ見られるプロ野球らしい試合だった。紙一重の1点が取れず、苦しみぬいたドラゴンズを見るにつけ、いよいよリーグ優勝を意識し緊張したチームの顔が見て取れる。これも通らなければならない道だ。毎度ながら仕方のないことではあろうが。

 実を言うと、めったにテレビ中継など見ないボクが、今夜に限っては三重テレビを観戦しながら、ただヒタスラにドラゴンズの勝ちを祈り続けた。心のモードが上がり続けるなか、試合は進んだが、あいにく今夜の愛猫こすも・ここは睡眠不足からか、私の傍らでグーグーと鼾をかいて寝ており「きょうは、負けるかもしれない」と思ったのである。

 結果は、せり負けである。三回に荒木の2ラン、四回には堂上直倫のソロで優位に進める一方で、ネルソンが五回途中までに4失点と逆転を許し、打線は先発中沢に変わる救援後5投手に無失点に抑えられた。
 逃げ切りの救援だけを見ていると、なんだか、どちらがドラゴンズなのか、と錯覚するほどだった。でも、あしたという日がある。あと、少しだ。みんなでこのヤマを超えてほしく思う。
 東京で、名古屋で、京都、大阪で。岡山、熊本、沖縄、秋田……、そして仙台、札幌、旭川でも、と全国各地のファンが落合監督が胴上げされる、そのときを待っているのである。

 今夜は、七回表。午後八時二十五分過ぎ。森野が打席に立った時に、テレビ画面に瞬間的ではあるが、観客席で応援する落合監督夫人・信子さんのにこやかな表情が映し出された。頼りがいのある表情で「これなら大丈夫。心配ない」と心底、うれしく思った。

 【笛猫茶番日常の劇】アタイがこのところ深夜未明にかけて、大声で続けて泣くのでお母さんのMったら、眠れないみたい。ほんとにごめんなさい。アタイなりにオトンを起こす使命感に燃えているのですが、とうとうオトンに叱られてしまいました。
 オトンは「ここ!」とアタイを呼ぶと、口に人差し指をあてて「シーッ」と言うと「あっちへ行っているように」と何度も何度も、そのしぐさを繰り返すのです。そして「これでは、オカンが眠れないじゃないか」と何度も注意されました。寂しいけれど、病み上がりのMの体調を思い、これからは出来るだけ、なくのを少なくしようと決めました。でも、毎日のことなので、それが出来るかどうか、ちょっと心配です。正直、自信はありません。

 きょうは、敬老の日でお休み。というわけで、オトンはMに誘われるまま、名古屋の伏見ミリオンに行ってきたそうです。「オカンの嫁入り」という映画を観に、です。映画が始まる前に入った明治二年創業のおすし屋さんで長寿を願った「重陽敬老」という新しい創作おすしが売られていたので買って、Mとオトンの両方のお母さんちに届けました。このおすし、『重陽』の三要素である「菊」と「栗」「山椒」にこだわられてつくられていました。映画のあとは、大須に立ち寄り、ふたりで七つ寺共同スタジオの在りかを確かめて、帰ってきたんだとサ。

☆尖閣諸島近くで中国漁船が日本の海上保安庁の巡視船に衝突、日本側が公務執行妨害容疑で中国人船長を逮捕、十日間の拘置延長をした件で、中国外務省は対日閣僚交流を停止すると発表。

 「敬老の日」に合わせて総務省が発表した推計だと、十五日現在の六十五歳以上の高齢者は前年に比べて四十六万人増え二千九百四十四万人、総人口に占める割合は0・4ポイント増の23・1パーセントとなり、いずれも過去最高を更新した。また八十歳以上は八百二十六万人と初めて八百万人を突破した。イチローが十年連続200安打まで残り7本。

平成二十二年九月十九日
 今夜のヤクルト戦。ケータイのドラゴンズ情報でチェックし、中田賢投手が先発だと知った瞬間、なぜかきょうはヤクルトに勝つ、といった確信めいたものがひらめいた。なぜだろう。コントロールの定まらなかった、いっときの暴れ馬・中田投手が、今シーズンは試合を重ねるにつれ、これ名馬に変わりつつある、そんな気配をボク自身が先日の試合を見て感じ取っていたからかも知れない。

 そして。今夜の神宮は、今季3敗と抑えられてきたヤクルトの天敵・村中投手に三回と五回に和田がソロホームラン、36号2ランと連続本塁打を浴びせて加点。八回にヤクルト青木の1発で2点こそ入れられたものの、最後は4点差の6―2で完勝した。中田は8イニング2失点で7勝目。村中は6イニング4失点で10勝9敗となったのである。ちなみに巨人対阪神戦は巨人が阪神に6―4で勝ち、二位阪神とのゲーム差は2・5になった。

 これからは一気にリーグ優勝を決めるまでは、負けられない日が続きそうだ。落合監督の談話どおり「ここまできて、(これからは)楽な試合はない」。まさに気のおけない厳しい試合がつづくのである。

『ねぇ~』   こすも・ここ
 

       『なぁに』  シロ

 【笛猫茶番日常の劇】日曜日です。きょうのオトン。久しぶりにお母さん、すなわちMのアッシー君だったみたい。スーパーに行き、近くの大ママ宅にも顔を出してきたそうです。それでも、それ以外の時間は自室で、ずっと小説の執筆に追われ、休みとはいえ、相変わらず分刻みの時が過ぎていきました。

 夜、たまたまテレビで全国の温泉旅館美人女将による「のど自慢」を目にしたオトン曰く「和倉温泉が出てないじゃないか」だってサ。オトンは、かつて能登半島の七尾支局長を七年も務め、和倉温泉にはことのほか、思い入れが強い人だけに、なじみの女将が出てくるのでは、と期待していたようです。

 「俺が能登に居たころは、和倉は全国の温泉でも日本一の温泉、加賀屋も日本一の旅館を何年も続けていたんだ」。こんなオトンの嘆き節に、M曰く「いまは、あのころの和倉のようなキンキラキンの時代は終わったのだから。特徴のあるお宿でないと、生きていけないんだから」だってサ。
 それでもオトンは不満そうで「能登には和倉はじめ、能登島、輪島などにも魅力的なお宿がいっぱいある。どうして能登の宿が出てこないのか」と一日中、ご立腹だったんだから。困った人ですね。

☆大リーグ・マリナーズのイチロー選手が日米通算3500安打を達成した。民主党愛知県議団が来年二月に行われる知事選で元総務省官房審議官の御園慎一郎氏(五十七歳)を擁立する見通しとなった。俳優の小林桂樹さんが十六日、東京・港区の病院で心不全のため死去した。八十六歳だった。懐かしの俳優たちが次々と亡くなっていく。横綱白鵬の連勝続く。きょうも旭天鵬を破って55連勝。Mが応援する黒海サンも安美錦を破り6勝2敗と、好調だ。

平成二十二年九月十八日
 今夜のドラゴンズは、神宮球場。先発はいぶし銀の四十五歳投手の山本マサ。相手は、今シーズン唯一、7勝11敗と負けているヤクルトだった。それだけに、ここで勝ち、一気にリーグ優勝に突っ走ってほしい、ところではあったが…。

 それはそうと、今夜は五回に鬼の形相となり、駆け足でグラウンドに飛び出した落合監督が審判員への暴言で退場処分を受けたのが気にかかる。今季の退場は八月二十四日の巨人戦に続いて二度目だが、どんな暴言だったのか。その具体的内容が知りたい。

 抗議したのは、畠山の右翼戦へのライナーに藤井が飛びついて落球した場面。フェアと判定した一塁塁審の石山審判員は「フェアかファウルか見解を聞かせてくれ、ということだったのでライン上でグラブに触れたのでフェアだと説明したが、暴言があったので退場処分にした。監督の名誉もあるので(具体的なやりとりの内容)については、話せません」という。ここでボクは思う。どんな暴言だったのか、話してくれたら、それも監督を評価する材料になるのに、と。

 世の中、そうそう思い通りにはいかない。
 ちと、オーバーな表現かもしれないが。“途端(とたん)の苦しみ”さながらに、先発館山投手を打ち崩すことが出来ず、敗れた。ヤクルトは強い。さすが、ここはプロ野球だ。ヤクルトは最後の意地で向かってきている。館山は6イニング1失点で、三年連続の二ケタ勝ち星となる十勝目。マサは六回途中、4失点で降板し、今季初の黒星で5勝1敗となった。ドラゴンズは二回表、ブランコの二年連続となる30号ホームランで先制しながらも、その後、飯原、畠山、青木らのヤクルト打線に打ち崩された。

 ここにきて、少しだけの足踏みとなったが、そこは投手王国と昇竜打線のドラゴンズ戦士たちだ。きっと、ペナントを取ってくれるものと今やファンの誰もが思っている。きょうは、きょう。そしてあしたはあしたの風が吹く。たまには負けてもよいではないか。神宮で東京のヤクルトファンが大喜びする。これはナゴヤドームでドラファンが喜ぶのと、同じことだ。

 【笛猫茶番日常の劇】きょうもアタイは、お父さんと一緒。引っつきマンみたい。といっても深夜から未明にかけての執筆中だけで、書いている間じゅう、傍らに座り、たまに目をあき、オトンの表情を盗んだりしている。アタイは、こんなお父さんが大好きです。
 猛暑残暑だった夏もいよいよ過ぎ、いまは秋のかぜと月がとっても美しい。外をあるけば、道の端々からスズムシなど秋の虫の鳴く声が聞こえてきます。だんだんと、日が進むにつれ、寂しさも募ってきます。アタイは、もう一度、オトンを見上げたあと、目を瞑りました。時折、オトンがアタイの方に視線を向けたときには、目を開けて口だけをあけ、甘えるようなしぐさをします。
 何も言わないが、視線を交わすだけで互いにうなづきあう。こういうのを、心が通じ合っている、いうのでしょうね。

☆北京の日本大使館前で尖閣諸島(中国名・釣魚島)の領有権を主張する中国人約二百人が抗議活動を行った。この日は満州事変の発端となった柳条湖事件から、まる七十九年目を迎える。三洋電機が二〇一二年をめどに群馬県と岐阜県(安八町)にある半導体工場を閉鎖する。両工場の計約千人の従業員は、生産を集約する新潟県の工場に移るという。

 横綱白鵬が東京・両国国技館の大相撲秋場所で、稀勢の里に勝って五十四連勝。二十二年前の横綱千代の富士の五十三連勝をとうとう追い越した。「ここまできたら、抜かれてほしいですね」とは、元横綱千代の富士・九重親方の談である。

平成二十二年九月十七日
 今シーズンのペナントレースもいよいよ、第四コーナーを回って、最後の大詰めに入った。きょうのプロ野球は、お休みだが(ただしウエスタン・リーグは、ナゴヤ球場で広島戦があった)、ドラゴンズの残り試合は、あと9試合のみ。あすからは、また負けられない日が続く。

 試合がない日でもあるので、中日新聞のスポーツ面できのうの広島戦をしっかり読み解いていく。まず見出しは。
 「エース対決吉見苦杯」「竜連勝ストップ」「マエケン153球完投 14勝、3冠視野」「虎逆転久保13勝」「マートン191安打 球団タイ」「拙守巨人3位転落」……

 なかでも吉岡雅幸記者の球心「2暴投、失策…痛い失点 四回」のピリカラ記事がいい。抜粋すると、こうだ。
―(5―3という)得点の動きを見れば接戦でも、ベストを出し尽くしたとは言い難い内容。柱となるべき吉見がふがいない形で失点すれば、白星が遠のくのも必然だった。「ここまで来たら調子どうこうじゃなく、勝たないといけない。情けない」。「勢いに乗っているチームを止めないようにしたい」という誓いを果たせなかった借りは、優勝争いの佳境となる次回のマウンドで返すしかない。

 記事はこのほか「安易に甘い球は投げられない相手を厳しく攻めた結果でも、捕手が届かないようではピンチを広げるだけ。投手としては許されない初歩的ミスが、チームに与えた動揺は計り知れない」と技術面にも触れ、まさに記者の吐息が聞こえてくる、そんな記事である。だが、ボクはここで思うのだ。
 どんなに記事がステキでも、そこは勝たなければいけない。勝利は、どんな記事をも上回るのである。いまはセ・リーグ優勝をするためにも、負けは許されない。

 一方、大リーグの方はエンゼルスの松井秀がインディアンス戦に「4番・指名打者」で出場し、七回に今季20号の右中間ソロ本塁打を放つなど5打数2安打1打点で、連続試合安打を9に伸ばしたが、チームは延長十一回、2―3でサヨナラ負けした。
 松井の大リーグ20本塁打は2年連続五度目。七回の一撃で今季78打点とし、プロ野球で歴代五位の落合博満(現中日ドラゴンズ監督)の1564打点に日米通算で並んだ。それでも、松井は「数字で並んだからといって、特別な感情はない」と話し、巨人2年目の時から打撃を伝授してくれた三冠王3度の大先輩は数字では計り知れないほど大きい存在であることを伺わせた。
 もう一人、前人未到の十年連続200安打にあと11本、日米通算3500安打に3本としているイチローのマリナーズは試合がなかった。

 【笛猫茶番日常の劇】今夜は、何も話すことない。オトンがアタイたちのおかげで、きょうもこうしてなんだか知らないけれど、ただ黙々と睡眠時間を削ってパソコンに向かっているのを見ると、なんだか可哀想な気持ちがしてしまうの。
 そう言いながら、オトンを毎日午前三時か四時ごろに「書かなくちゃあ」とニャンニャン、ニャニャンとやかましく起こしている張本人がアタイなんだから。でも、起こした以上、アタイにも責任があるのだから。こうしてオトンの横に寄り添って座り、オトンのすべてを見守っているんです。
 あっ、そうそう。Mが見たい映画があるんだってサ。
 それはね。「オカンの嫁入り」「悪人」…。ほかにも2、3本見たいそうで~す。オトンには、さっそく伝えておいたよ。

 秋かぜが吹き始めたきょうこのごろ。オトンは、このところ、なんだか寂しそうです。それで視線を交わすと「こすも・ここ、俺の今の気持ちだから覚えておくように」と『オレは寂しいんだ』と、フランク永井さんの歌の一節をうたいながら教えられたのが、次の詩です。(むろん、オトン作の別れのうた、だよ。)

♪君はゆく君はゆく どこへゆくのか
 君はゆく君はゆく カトマンズへゆく

     ーたったこれだけの詩です。

☆菅直人改造内閣が発足、仙石由人官房長官が閣僚名簿を発表した。主なところは、総務に前鳥取県知事で慶応大学教授の片山善博氏、経済財政に海江田万里氏、国家戦略に玄葉光一郎氏、外務に前原誠司氏、国土交通に馬淵澄夫氏、公安消費者少子化に岡崎トミ子氏といったところか。菅さんは改造後の記者会見で「412人内閣」と「有言実行内閣」を強調し、若手を育て政治を変える、と明言。その言やよし、で大いに期待しよう。

  大相撲の横綱白鵬(二十五歳)=モンゴル出身、宮城野部屋=が東京・両国国技館で行われた秋場所六日目結びの一番で平幕の琴奨菊をはたき込みで下し一月の初場所十四日目からの連勝を「53」に伸ばし、千代の富士(現九重親方)が一九八八年につくった昭和以降二位の記録に並んだ。一位は、戦前に活躍した双葉山の69連勝である。

 東京地裁が元俳優押尾学被告に対する裁判員裁判で懲役二年六月の実刑を言い渡した(求刑は懲役六年)。保護責任者遺棄罪を適用、「致死」は認めず。

平成二十二年九月十六日
 今夜のマツダスタジアム。ドラゴンズは吉見、広島は前田健太両エースの投げあいとなり、ドラゴンズは5―3で敗れた。前田は今シーズン五度目の完投でリーグトップの14勝目、広島の連敗を5で食い止めた。吉見は7イニング4失点で12勝8敗となった。
 また、ドラゴンズの連勝も1引き分けを挟んだ6で止まった。光りといえば、このところ当たりが止まっていた和田が三回、前田投手から42打席ぶりの本塁打を打ったといったところか。
 おかしなもので、このところのドラゴンズの破竹の勢いに負けて少しだけ肩の荷が取れた、ボクには、そんな気持ちがするのだ。ひと休みして、またこれから勝ち星を重ねればいい。
 
 ところで中日スポーツ制定の八月のファーム月間賞に月間4試合に登板し2勝0敗、防御率1・00の好成績をあげた岩田慎司投手が選ばれ、きょうナゴヤ球場に隣接する屋内練習場で中西英夫中日スポーツ総局長から金一封が贈られた。岩田投手は、ボク自身、その人間性ゆえ個人的に応援しており、うれしい限りである。

 【笛猫茶番日常の劇】きょうは、朝からすごい雨降りでお父さん、家からバスの停留所まで行くのに、傘をさしていても相当濡れたみたい。オトンは雨が大好きなニンゲンなのに。あめ、あめ、降れ、降れ、もっとふれ。蛇の目でうれしい……ーなんて気持ちではなかったみたい。
 つい、この間までは猛暑残暑に襲われていたのに、こんどは「暑さになんか負けるものか。俺たちがいるんだぞ。俺たちを忘れたのか」と雨たちの逆襲に遭った、ようでオトンはそれでも、たまにはいいと割り切っている。

 雨のなかを歩きながら、夥しい雨のひと粒ひと粒、ひとひら、ひとひらの中にニンゲンたちの知らない極上の世界がある。もしかしたら「俺たちが、そうした雨のひと滴のなかで生かされているのかもしれない。温暖化だ。やれ、地球環境の破壊だ」とニンゲンどもが喚いたところで、この宇宙という、とてつもなく大きく限りなく広い無限世界に言わせれば「地球環境の保全ですら、無駄な抵抗にすぎないのではないか」と。そんな気持ちがして仕方がないのだってサ。

 オトンったら。毎日、この欄を書き続けると公言した以上、やめるわけにもいかない。ある面、ときにはボーッとしていたいでしょうが、結局のところアタイに深夜未明に起こされて、こうして奴隷の如く書かされている。目をこすりながらパソコンに向かう、なんだかかわいそう。でも、オトンの鬼気迫る顔を見ていると、今日も見えない拷問というヤツに立ち向かっている、そんな気がするのです。たくましい。
 でもサ。生きていく、ことって。誰もが、こうした何もない道を歩いてひとつ一つ、その人なりの人生を切り開いてゆくことではないのか、な。

 時には、それが厳しく、辛い、かなしい道で、挫折することだってあるだろう。挫折したら恥を承知でもう一度、立ち上がってみる。それが人生なのだ。立ちあがらないと、負けてしまう。アタイもオトンもMも、おニイも。シロだって。みんな、そうした道を歩いている。そのお手本が「きょうは勝った」「いや、なんであんな負け方をするんだ」と時には、非難ごうごうともなるプロ野球、すなわちドラゴンズの戦士たちなのかもしれない。

 なんだか哲学めいた話になってしまい、ごめん。オトンは今夜、ある前途有望な感覚がとても鋭いお方とお酒をくみ交わしながら、そんな思いを新たにしたのだそうです。そこでオトンの頭に浮かんだのが、挫折からの脱出論で、帰宅後、オトンはアタイに向かって、こう言いました。(話が急に飛んじゃってごめんなさいね)。
 「Aさん、勇気をもつて早く職場に戻ってきなよ。みんなが、待ってる。じゃないと権力というか、そんな得体の知れないお化けたちに負けちゃうよ。俺は決して見舞いになんかはいかないからな。だって、信じてるから。Aさんのことを。負けたらアカン。これまでの功績は一体全体、何だったんだ。あなたの勇猛果敢な努力があればこそ、ここまで辿り着いたのに…」だってサ。

 Aさん。もしも、あなたがこの文を目にすることがあったのなら、恥も外聞もかなぐり捨てて、もう一度、仁王立ちになって大きな舞台に出てきてほしい! (おそらく、この箇所は一般の読者には、何の意味か、はさっぱり分からない、かも知れない。でも、分かる人には分かるのだ。やがて、この事実、常識はずれの真相をボクの筆で明かす日が来るかも知れないそうです)。
 ニンゲンたちよ、アタイやシロみたいにずぶとく生きていかなきゃあ。まけたらアカン。病院に逃げて籠ってしまっては、アカンってば。

☆「神田知事 4選不出馬」「万博など成果 後進に道」「愛知知事選 多選批判も考慮」(16日付、中日新聞夕刊から)。いかにも、彼らしい。神田さんはボクが新聞社の一宮主管支局長在任時に、一宮市長から県知事に転進。潔い引き際は、なるほどだ。ユニーで一緒に餅つきした日のことが忘れられない。

 菅直人首相は十六日、退任する民主党の枝野幸男幹事長の後任に岡田克也外相の起用を決めた。なかなか面白い、大いに期待できる人事である。