一匹文士、伊神権太がゆく人生そぞろ歩き(2022年4月~)
2022年4月30日
先日、NHKラジオの深夜便でたまたま森山さんなる方の話を耳にしたが=といっても、私が知る森山さんは彼のお父さんだと思う=、高さ12㍍、重さ20㌧、車輪の直径が2㍍とニッポンイチ大きいデカ山の石川県七尾市内での三両の各町内での曳き回しと七尾湾に面した府中波止場での集結で知られ、能登の人びとの自慢でもある石川県七尾市の青柏祭(国の重要無形民俗文化財、ユネスコの無形文化遺産)が、ことしは3年ぶりに行われるという。
能登半島は、このデカ山を皮切りに、これから石崎奉燈祭、七尾港まつりなど祭り半島・能登に一変。これからはどこもかしこも祭り、祭りで彩られ、まさに祭り一色と化すだけに、地元の人々の思いは、いかばかりだろう。思えば、かつて七尾に在任中、私は毎年、当時支局があった魚町の終い山にまで付き合い、一連のデカ山が終わるつど、事故もなく終わったことに胸をなでおろし、近くの神社に手を合わせたものである。その祭りがコロナ禍でこのところは毎年中止となっていたが、いよいよ三年ぶりに始まるというのである。いや、人形番宅での人形見などは既に始まっているはずだ。
(4月29日)
金曜日。大型連休初日。昭和の日だ。そして昨日28日は日本が戦後、主権を回復した1952年のサンフランシスコ平和条約発効から丸70年の日でもある(日本から切り離され米軍統治下に置かれた沖縄では〝屈辱の日〟とも呼ばれる)。また本日付で2022年の春の叙勲受章者が発表され、最高位の桐花大綬章には伊吹文明元衆院議長(84)が選ばれ、俳優の桃井かおりさん(71)らには旭日小授章が贈られる。ことしの受賞者は、桐花大綬章1人、旭日章919人、瑞宝章3114人で合わせて4034人。
朝。久しぶりにのんびり寝ているとNHKラジオから【美輪明宏の金色の時間 平和を語る】なるものが耳に心地よく流れ、飛び込んできた。あの長崎出身の美輪明宏さんの声である。耳を傾ける。
「きょうは昭和の日なのですね。愛。美しい心があれば、戦争なんて起きません」と語りかけた美輪さんは「昭和12年の曲です。私が大好きな曲なのですよ」と説明し、<裏町人生>を流したのである。
♩暗い浮世のこの裏町を 暗く冷たいこもれ陽を なまじかけるな薄情け 夢も侘しい 夜の花……
私はただ黙って、上原敏と結城道子の声に聴き入った。なかなか終息しないコロナ禍にロシア兵侵攻によるウクライナ危機。今の暗い世相が、どこか大戦前の日本の重苦しい空気といおうか。吐息によく似ている。そんな気がしたのである。人の世は、どんなにあがいたところで、どうにもならないものなのか。それでも人間たちは生きてゆかねばならない。
以前のようにたつ江が傍らにいてくれたなら。この歌を聴きながら、共にアアダこうだと話し合うことが出来たのに、と。そう思う。きょうは代わりにシロちゃんが、耳をピンと立て一緒に耳を傾けてくれたのである。
かわいいシロは、いつだっておかあさんの代わり。最近では私を好きになったのか。いつも私が原稿を執筆しているデスクの下にいることが多い。
いつも私の足元でチョコンと座って見上げる俳句猫シロちゃん(本名は、オーロラレインボー)
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いまは29日の午前11時過ぎ。外は雨が降り続いている。シロは外出をあきらめ、こんどは二階寝室の一角にいる。そこには、亡きおかあさんの遺影があり、息子の手による供花が室内をいつも明るくしている。
亡きおかあさんの遺影は、いつだって華麗な花々で美しく飾られている
新聞はロシアのプーチン大統領に触れ、同大統領が27日、ウクライナ情勢に関連し「ロシアが戦略的な脅威を受けたと認識した場合、我々の反撃は電光石火で電撃的な対抗措置を取り、迅速なものになる。ロシアは他国にない兵器を保有している。必要なら使う」と核兵器使用も辞さないと述べた点につき【プーチン氏 核使用警告 ウクライナ軍事支援けん制】と報じている。
ほかに、けさのニュースを中日新聞の見出しで追うなら。【GW行楽と警戒 3年ぶり行動制限なし】【不明女児 似た靴発見 山梨・山中捜索 メーカーが一致】【日銀緩和維持一時131円台 金利差拡大予想、円安加速】【3人発見 死者14人に 知床事故半島東の海上 運航基準守らず強行か 国交省、安全対策検討へ】【(11月1日に愛知県長久手市内の愛・地球博記念公園内で開業する)ジブリパーク 入園料金決まる】【屋外で気兼ねなく乾杯 名鉄百貨店本店でビアガーデン開始】【信長ゆかりの「久昌寺」9日から解体 路地横にお堂設置 本尊など安置へ 江南】といったところか。
(4月28日)
木曜日だ。
私、すなわち俺が動くということは、おまえが動くということ/俺が話せば、おまえが話している/食べれば、おまえが食べている/美味しいと思えば、おまえもそう思っている/おまえが好きだった<みかんの花咲く丘>を聴けば、おまえも一緒に聴いている
ほんとに。あんなにかわいくて(私だけが、そう思っているかもしれないが。笑い)、ステキだった彼女がいなくなってしまうだなんて/従順で文句ひとつ言うでなく/清らかで…… そんなおまえのこと/忘れはしない。
スーパーに向かう途次。私は、またしてもおまえのことばかりを思っている。おまえの存在の大きさを今さらながら痛感している。
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朝。仏前でわたくしと一緒におかあさんにお参りしたあと、愛猫シロはいつものように何かをふっきるような表情でお外へ。この散歩は彼女なりの、このところの日課である。「くれぐれも気をつけて。おかあさんによろしくネ」「ウン。わかったよ」というのが、ふたりの会話だ。そして。シロちゃんは、いつだってだ。かつてのおかあさんそのままに、日に日に美しく妖艶になっていく。朝起きると、2階窓辺に座って黙って下界の景色を見まもる。その姿が、とてもいじらしく、まるでおとぎの国の女神のようにも映る。
新聞は、けさも北海道・知床半島沖の観光船「KAZU Ⅰ(カズワン)」=19㌧=の遭難事故で「判断間違っていた」「土下座の後のらりくらり」などと社長の謝罪を報道。【「愛を形に」婚姻届けに願い プロポーズ予定 カップルの親族】の記事には多くの人が胸打たれたに違いない。
そしてロシアのプーチン大統領と国連のグテレス事務総長がモスクワで会談した件では【プーチン氏会談 国連、停戦道筋見えず】などと報じている。会談後の国連の声明によれば、ロシア軍が包囲するウクライナ南東部マリウポリでの民間人退避に国連や赤十字国際委員会が関与することで原則合意。グテレス氏が意欲を示していた停戦に関しては声明では触れられなかった、としている。停戦までには、まだまだ道のりは遠いと言ってよさそうだ。
(4月27日)
水曜日。早朝、雨の中での指定場所への不燃ゴミ出し、そして古新聞の回収をしてもらうべく自宅前への設置と結構、バタバタした。これまでなら、大半は亡きたつ江がやってくれ、私はただ運転手役に徹しておればよかったのだけれども。相棒がこの世から去ってしまった以上、私がやらざるをえないのである。
幸い、日々の供花は今やわが家の〝花の師範〟といっても良いシステムエンジニアの息子が忙しい仕事の合間を縫って日々、帰宅後の買い物、洗濯にあわせ、あれやこれやと配慮してやってくれている。このため、元々何もやらず何もかもがおかあさん任せだった、ぐうたらオヤジ=とても、ほめられたことではなく恥ずべきことなのだが=の私としては、正直言ってとても助かっているのである。
おかあさんの一番弟子で「白」の俳号を持つ俳句猫で白狐のシロちゃんは、こうした日々の私たちの光景をただ黙ってみているが、どうやら、そのつどおかあさんに「おにいちゃんのおかげで、花がまた新しく変わったよ。オトン、相変わらず何にもやらないのだから」などと報告しているような。そんな気配というか、気がするのである。シロはホントに賢く、下界で過ごす私たちと天空にいるおかあさんとの間の橋わたしをしてくれているようだ。シロよ。シロ、シロ。シロちゃん。いつもありがとう、といった舞の声が聴こえてくるようでもある。
さて、私たちが住むこの地上だが、このところは春の陽気というより、もはや夏の気配が日に日に迫っている。その証拠に、ここ2、3日前からは風呂から出たあと息子が冷房をかけたりしているので、きょうは私も真似をして今シーズン初の冷房を少しの間だけ、かけてみたのである。
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本日27日付の中日新聞夕刊によれば、ロシア国営の天然ガス大手ガスプロムがポーランドとブルガリアに対し、27日からガス供給を停止する、と通知。ロシア政府は、ウクライナ侵攻で対ロ制裁を科した国々を「非友好国」に指定し、ガス代金をルーブル建てで支払うよう求めてきたが、ポーランドなどに拒否され対抗措置に踏み切ったとみられる。実際にガス供給が停止されれば、ウクライナ侵攻後初となり、こんごロシア産ガスに依存する欧州での混乱が懸念されるという。
26日の朝鮮中央通信によれば、北朝鮮の朝鮮人民革命軍創建90年に合わせた軍事パレードが25日夜平壌の金日成(キムイルソン)広場で開かれた。金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党総書記が演説し、朝鮮半島有事の際には核兵器の使用も辞さない強い意志を表明。同日付の党機関紙「労働新聞」は、3月に発射実験に成功したとされる大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星17」など大量の兵器の写真を掲載した。また金氏はこの日、核兵器の基本的な使命は戦争の抑圧だとしながらも「いかなる勢力であれ、わが国家の根本利益を侵奪しようとするなら、核戦力は第二の使命を決行せざるを得ない」と強調し、核兵器を先制しようする可能性も示唆した。
2022年4月25日
月曜日である。まず何よりも。明治、大正、昭和、平成から令和まで5つの時代を生き抜き、世界最高齢に認定されている田中カ子(たなか・かね)さんが19日、老衰で亡くなった。福岡市や遺族があきらかにした。119歳だった。福岡県出身。
田中さんは1903年(明治36年)生まれ。2019年3月、ギネスワールドレコーズ社から男女を通じ「尊命中の世界最高齢」に認定され、20年9月には確認できる国内の歴代最高齢記録を更新。田中さんが死去したことで、国内最高齢は大阪府柏原市の巽(たつみ)フサさん(115歳)になった。
田中さんは、9人きょうだいの7人目として誕生し19歳で結婚。夫や長男が出征するなか、女手ひとつでうどん店を切り盛りし、戦後は夫と餅屋を営んだという。
フランス大統領選の決選投票が24日、即日開票され、現職のエマニュエル・マクロン氏(44)が極右政党「国民連合」のマリーヌ・ルペン党首(53)を下して再選された。任期は5年。中日新聞の本日付け夕刊によれば、仏国民は急進的な社会変革よりも欧州連合(EU)中核国としての継続性を選んだ形だが暫定得票率は約59%対41%で約66%対34%だった2017年の前回選挙より差が縮まったという。
乗客106人と運転士Ⅰ人が死亡し、562人が重軽傷を負った2005年の尼崎JR脱線事故が25日、発生17年を迎え事故を起こしたJR西日本はこの日、兵庫県尼崎市の現場に整備した「祈りの杜(もり)」で追悼慰霊式を営んだ。
そして、もうひとつ。きょう25日は伝説のロック歌手といわれ「十五の夜」「卒業」などで知られカリスマ的な人気を誇った、あのシンガー・ソングライター尾崎豊さんが26歳で亡くなり、丸30年がたつ。中日新聞夕刊では【尾崎の音色は死なず 没後30年 若者の代弁者今もなお 半田いとこの思い】【「弱さに訴える力がある」 名古屋在住元マネジャー】と、毎日新聞夕刊でも特集ワイドで【尾崎没後30年 長男裕哉さんの思い 「人間らしさ」歌い継ぐ 心の本音すくいあげたカリスマ】と扱っていたが、どちらも、なかなか読ませたと思う。
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さて。4月にしては少し暑すぎる。
それでも、この青い空のなか、<かぜ>と一緒にかわいいおまえ、たつ江(舞)の魂は【無】となって浮かんでいるのだ。そうに違いない。私はそう思って、ハンドルを手にスピードをあげた。かつて〝おときさん(加藤登紀子さん)〟のコンサートで能登半島の突端、珠洲市にまで舞(たつ江)とふたりで出かけた時のことが思い出される。
きょうは月曜日だ。けさの新聞、テレビは、やはり北海道・知床半島沖オホーツクの海で浸水し、子ども2人を含む乗客24人と乗員2人が行方不明となったままの観光船「KAZU I(かずわん)」の遭難その後について、どこも大きく報道していた。【観光船発見の10人死亡 沈没か16人依然不明 知床 岐阜など乗客名簿に】(25日付中日)といった見出しが痛ましい。(そのご救助された3歳の女児も含め男女11人全員の死亡が確認された)。
知床半島沖での観光船沈没が1面を占めた25日付各紙
きのうは1日中、雨、雨だったので外出を待ちかねていたのか。きょうのシロちゃん。朝早くから、いずこかへと出かけていった。「車にはねられないように。くれぐれも気をつけるのだよ」と私。シロは「分かった」とでも言いたそうな顔で勇んで外に、と出ていったのである。そのシロちゃん、いつものように昼過ぎには帰宅。今は、おかあさんの部屋で神妙な顔をして仏前に供える花々を守ってくれている。いつも、ありがとう。
きょうは大口町のドン・キホーテUNY大口店へ。店内で食事をすませ、夕食弁当ふたつを買い、帰りに道すがら、いつも視界に入り常々気になっていた【カラオケ喫茶 平成】なる店に思い切って入ってみた。コーラをお願いし、一曲200円也で思い切って<能登の海鳥>と<恋の犬山>を歌って引きあげたが男性店主の人柄ばかりかステージなど歌う環境がとてもよく、気に入ったのでこれからは歌いたくなったら寄ってみよう、と思った。<能登の海鳥>を歌いながら、かつて舞(たつ江)と過ごした七尾の日々が思い出され、涙を押さえようがなかったのである。
(4月24日)
朝から雨、雨、雨の日である。
朝刊各紙1面トップはどこも、きのう北海道知床半島付近の海上を航行中の遊覧船「KAZU Ⅰ(カズ ワン)」=19㌧=からあった118番通報の続報で【知床観光船26人安否不明 「浸水」と救助要請、遭難か】【知床遊覧船26人不明 北海道「浸水」連絡絶え】といったものだ。(その後、海上保安庁は現場周辺で24日午後までに10人を発見、救助したが、全員の死亡が確認された)。
けさは、雨のなか、江南市福祉センターへ。私たちが住む、ここ花霞町の役員選出検討会の全体会議に町評議員(兼3組委員)として出席したためである。協議事項の「これからの花霞町内会役員選出」について討議を重ね、次回5月22日にあらためて討議することで、きょうのところは散会とあいなった。
皆さんの発言を聴いていると、つくづく熱心な方が多いなというのが実感。生前、広報の配布や町会費その他の徴収など〝3組班長〟として過去2回にわたって立派に責務を果たした亡き妻たつ江がこの会合に出ていたなら、一体どんな発言をしたのだろうかと、生前彼女がお世話になった〝あ~チャン〟の的確な発言を聴きながら、私はふとそんなことを思ったりした。
そういう私だが、結局のところ、きょうはひと言も発言することなく、皆さんの意見をただ黙って聴かせて頂いたが、こうした話し合いは大切で、町という存在はおとなり付き合いから発展していくような、そんな気がしたのも事実だ。きょうは以前に町総代を務められた方に教えられ、「評議員さんは町が災害に遭ったときに、被災カ所を確認し見て回るのが任務です」ということも初めて知ったのである。
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ロシアによるウクライナ侵攻の方は、24日で侵攻から二カ月ということもあってか。【ずっと戦争 戻らぬ心の平穏 ウクライナ侵攻2カ月 東部から岐阜に避難の女性】(24日付中日)【ロシア「南部も占領方針」】【露、黒海沿岸支配も視野 軍幹部南部制圧「任務の一つ」】(24日付毎日)といった具合。この先、戦場がどう展開していくか、となると、だ。予断を許さない状況にあることは確かだ。
午後。雨のなか、車を運転。雨も。道路も。街並みも。車も。傘だって、だ。何もかもがおまえの思い出につながる私たちの道、マイロードを前に進む。途中、おまえが情熱と愛情を込め営んでいたリサイクルショップ【ミヌエット】の前を通り過ぎたが、私自身もとても気に入り、店主さんだったクマちゃん人形と共に、おまえのご自慢でもあった【ミヌエット】の横看板が、とうとう撤去され姿を消していた。店舗の新しい借り主が決まったのかもしれない。私は、ひとつひとつ舞のからだが身ぐるみ剝がされていくような、そんな感情に揺さぶられながら思わず、かぶりを振ったのである。
時と人、町は、このようにして流れていくのか。
帰宅すると、シロちゃんが心配顔で私を待っていてくれた。シロ。シロちゃんは、やはり、生前おまえが話していたように。何でも知っているようだ。私は思わずシロに向かって「今、帰ったよ」とかつて、おかあさんに語りかけると同じように声をかけたのである。シロよ、シロシロ。シロちゃん。と、おまえのあの声が耳に大きく迫ってきたのである。
夜。NHKの大河ドラマ「鎌倉殿の13人」。最後に思いがけず出てきた木曽義仲が眠る大津市の義仲寺。義仲をこよなく愛し、そして慕い続け、死後は義仲の傍らで眠ることをただひたすらに願った俳聖松尾芭蕉とのゆかりも深いこの寺を目の前に、かつて大津在任時に舞とふたりで二度、三度とこの寺を訪れた日のことが思い出された。
(4月23日)
土曜日だ。朝早く。NHKラジオ第一から、あの無名塾の仲代達矢さんの声が流れてきた。床に入ったまま耳を傾ける。ロシアのウクライナへの軍事侵攻を頭に語っておいでに違いない。自らも戦争体験者である89歳の名優・仲代さんは「戦争は愚かなことです。絶対にしてはならない。1日も早く戦争が終わり、平和な社会になることを願っています」と語っていた。2021年に役者生活70周年を迎えた仲代さんは全国各地を巡りながらの仲代達矢役者70周年を記念した巡回公演「左の腕」(松本清張原作)を、このコロナ禍の世の中にも拘わらず全て無事終えてのラジオ出演で、その人間愛あふれる一言ひと言には私自身、ジーンときてしまったのである。
特に能登七尾は今から30数年前に、中島町(現七尾市)での無名塾では当時担当した若い支局員小塚泉記者がことのほかお世話になった。それだけに、私自身心底から有難く思っている。
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朝。シロは私の自室デスクの横で、ただ黙って座っている。シロはホントにいつだって、私たち家族のことを思い、毎日懸命に生きている。ありがとう。シロちゃん。おまえが居てくれるおかげで、私たち家族はこうして毎日を過ごしていけるのかもしれない。シロのからだにはいつだって、おかあさんの魂が乗り移って、私たちを守ってくれているのである。
先ほど午前9時のNHKニュース、それに【ニューヨーク時事】発の速報で私は知った。それは国連の事務総長グテレス氏が26日にモスクワを訪問し、ロシアのプーチン大統領と面会することを明らかにした、というのだ。スマホで確認すると、【ニューヨーク時事】は「ウクライナ侵攻後、両者が会談するのは初めてで、和平実現や人道支援強化に向けた方策を話し合うとみられる。ラブロフロシア外相とも会談し昼食を共にするといい、ロシアから実のある回答を引き出せるかが焦点となる。グテレス氏は19日、ロシアの国連代表部を通じて訪問の意向を伝えていた。ウクライナ側とも、ゼレンスキー大統領との個別会談を調整している」とあった。
それにしても朝刊の見出しは、けさも【「地下は大破 多数死傷」 製鉄所籠城部隊が証言 マリウポリ対ロシア抗戦続く 郊外に墓地 虐殺隠避か】(23日付中日)【「マリウポリ制圧」 露、東部支配急ぐ 迫る「戦勝記念日」 集団墓地拡大】【北方領土「露が不法占拠」 外交青書19年ぶり明記】(23日付毎日)と悲惨である。
そして夕刊も【「東・南部 完全支配が目標」 ロシア軍表明 モルドバ侵攻も示唆 2カ所目集団墓地か マリウポリ】(23日付中日夕刊)【露、東部一帯に戦線拡大 マリウポリ砲撃続く 市議会「新たな集団墓地確認」 旗艦沈没死傷者 露国防省認める】(23日付毎日夕刊)と続く。
午後1時13分ごろ、北海道斜里町の知床半島西部沖を航行中の観光船・KAZU I(カズワン)から「船が浸水している」と118番通報。第一管区海上保安本部(小樽市)によると、乗員・乗客は子ども2人を含む計26人。海上保安庁の巡視船艇6隻はじめ航空機4機が現場に向かい捜索を始めたが、午後8時現在、船体は確認できておらず乗員・乗客は見つかっていないという。
(4月22日)
コロナ禍やらウクライナ戦争やら…と。なんだか、この荒みきった地球社会にあって私だけが日々、舞との【こども遊び】に興じているような、そんな気がしてならない。というのは、毎日、彼女の霊前に食事を出し、ままごと遊びのように「これで良いか」「おまえ、ミニトマト。ホントに好きだったよな。これで、いいっか」などと語り合ううち、なぜだか昔のままごとごっこをしているような。そんな気持ちになってしまうからである。でも、そこに生きていくなにがしかの価値があれば、それはそれで良いのだーと。私はそう思って今は達観して亡きたつ江とのマイロードを歩いていかなければ、と思っている。もしかして。こうしたことだって、だ。見えない幸せに通じる道かもしれない。
デ、ここでひと言。そうしたとき、いつも私の支えになってくれているのは、子どもたち、そしてもう一人いる。舞がこよなく愛し続けた愛猫のシロちゃん。すなわち「白」の俳号を生前の舞から与えられた、この世でただ一匹の俳句猫、すなわち白狐(びゃっこ)でもあるオーロラレインボーちゃん、彼女の存在にほかならない。きょうも守口漬けとミニトマトを舞の食卓に出すに当たって、あれやこれやと気遣ってくれ、あな、ありがたきかなと思ったのである。
舞の食事はこれでよいか。いつも親身になって食事の準備を手伝ってくれるシロちゃん
【露「マリウポリ制圧」宣言 抗戦続く中 戦果強調】【G20露へ批判集中 共同声明見送り 財務相会議閉幕】(22日付毎日朝刊)【マリウポリ制圧宣言 プーチン大統領「解放」 ゼレンスキー氏劣勢認める 米が追加軍事支援1000億円】【敵基地攻撃「反撃」に改称 自民調査会 防衛力増強提言へ】【G7環境相会合声明原案 「石炭火力発電を2030年までに廃止」 日本反発、削除求める】【米が追加軍事支援 1000億円】(22日付中日朝刊)とは朝の新聞の見出し。
全くもって読むのが、とても辛い。地球全体が火であぶられてでもいるような、そんな錯覚すら覚える。この美しい星を人間たちが自らの手で傷つけている。舞も、あの空の上で同じことを思っているに違いない。ニンゲンとは、やはり、愚かな存在だと言われたところで、実際にそうなのだから仕方ないだろう。
私はドンパス出身という少女(NHKから)
プーチン大統領は何を言いたいのか(NHKから)
ロシアが奪取をめざすウクライナの東南部地域
(4月21日)
木曜日。秋田、青森などで桜が満開に。函館でも平年より1週間早い開花となり、桜前線がいよいよ北海道に上陸した。この日、函館では7月上旬並みの22・4度を記録。この暖かさで桜の開花が一気に進んだという。
米大リーグ、エンゼルスの大谷翔平は20日、敵地ヒューストンでのアストロズ戦に1番・投手兼指名打者で今シーズン3度目の投打同時出場し、試合は6―0で勝ち、今季初勝利を挙げた。大谷は6回を投げ、1安打無失点で自己最多タイの12三振を奪った。打者では一回に適時二塁打を放つなど4打数2安打2打点だった。
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雨の日。たつ江。舞よ、マイ。私はおまえという明かりが無情にもパッと消えたこの町をきょうもただ黙ってかふしてさまよう如く歩いている。おまえが選んでくれたグリーンの乗用車。そのパッソのハンドルを手に、ここまできた。そして私はおまえが慣れ親しんでいたその大型ショッピングセンター(アピタ江南西店)へと入ってゆくのだ。いまから思えば、おまえの歩く姿はいつだって色彩感にあふれ、まるで絵画のような、絵そのものの存在だった。
泣いても 泣いても 泣きとおしても もはや、離別という垣根はどうにもならない。いまウクライナには、そうしたかわいそうな人たちがいっぱい、いっぱいいる。おまえを亡くした俺なんて、彼らに比べたら、それこそ、チッポケで吹けば飛ぶような存在かもしれない。ウクライナには、そうした人たちが数えきれないほどいるのだ。いやいや、もっともっと悲しい人たちである。
外では強い雨が容赦なく降っている。そうとは知っていながら、涙は一向に止まらない。これをわがままというのだろうか。ところで国連事務総長のグテレスさんが21日から復活祭までウクライナ侵攻に伴う戦争を一時休戦にするよう人道的停戦を呼びかけロシア軍が東部での攻勢を強めるなか、市民の安全な退避や人道物資搬入への協力を求めているという。うまくいけばよいのだが。いずれにせよ、人間たちは狂気に満ちている。一体、だれが。何をそうさせたのか?
そのグテレスさんが言っている。ロシアとウクライナの両国を訪問したい、と。事務総長の報道官が20日、グテレス氏がロシアのプーチン大統領とウクライナのゼレンスキー大統領に対し訪問を受け入れるよう求める書簡を19日に両国の国連代表部を通じて送ったことを明らかにしたという。英紙ガーディアンによると、フェルトマン元国連事務次長(政治局長)をはじめとする国連の元高官ら200人以上が、グテレス氏に紛争解決に向けて積極的な関与に乗り出すよう求める書簡を送り「それこそが国連の存在意義だ」と訴えているというのだ。よいことである。
新聞は相変わらず、ロシア国防省が19日、ウクライナ南東部の港湾都市マリウポリで、製鉄所で籠城するウクライナ内務省の軍事組織「アゾフ連帯」に改めて投降を呼びかけ、この日は同時に製鉄所から市民140人以上が自発的に脱出し、人道回廊で退避したことなどを【マリウポリ投降 再び要求 製鉄所避難の一部市民脱出】といった見出しで報じている(21日付中日朝刊)。
さらに【「製鉄所に地下貫通弾」 マリウポリ 脱出支援要請】(同日付毎日朝刊)となると、マリウポリが危機にさらされている現状は間違いない。記事には「露軍は製鉄所を地下貫通弾(バンカーマスター)で爆撃。立てこもっているウクライナ軍海兵隊司令官は20日にフェイスブックに投降した動画で『敵軍は数が10倍で、全てにおいて優勢だ。我々には数日しか残されていない』と訴え国際社会に脱出への支援を求めた」としている。
一方で、松野博一官房長官は20日の記者会見で、政府が国外追放を決めた在日ロシア大使館の外交官ら8人の日本出国を確認したことを明らかに。日本政府は今月8日、ウクライナの首都キーウ(キエフ)近郊での民間人殺害を非難し、外交官と通商代表部の職員8人の国外退去をロシア側に要求していた。ほかに21日付同紙は【平和願う先生は「裏切り者」 ロシア生徒密告で解雇 学校むしばむ思想統制】の記事も。いやはや、戦争により全ての人々が不幸のどん底に落ち込んでいるのである。
(4月20日)
きょうは穀雨(こくう)。穀雨とは、穀物をうるおす春の雨をさし、この時期に種まきをすると、植物を成長させる雨に恵まれるそうである(二十四節気)。とは言ったところで、たつ江が生きていれば穀雨も情緒があってよく、俳句のひとつも誕生しそうなのだが。彼女のいない世での【穀雨】なぞ、かえって寂しくて悲しいばかりである。春の雨どころか、悲しさの雨とでもいえようか。
新聞、テレビは相も変わらず、どこもかしこもウクライナ、ウクライナ、新型コロナウイルス、新型コロナウイルスのニュースが目立つ。朝刊で【ドンパス掌握へ大規模攻勢 ロシア外相「重要な新局面」 マリウポリ製鉄所攻撃】だった見出しが夕刊では【米、兵器供与追加へ ウクライナ】【マリウポリ投降再び要求 ロシア東部は激しい戦闘続く】(夕刊)となっている。
そのウクライナだが夕刊報道によれば、「岐阜県各務原市は20日、ロシアの軍事侵攻により市内に避難してきたウクライナ人に、一人当たり10万円の支給を決定。東海地方では名古屋市などが既に同様の取り組みを行っているが、岐阜県内では初めてだという。
秋篠宮ご夫妻が20日、三重県伊勢市の伊勢神宮などに参拝するため東京・元赤坂の赤坂御用地にある宮邸を車で出発。秋篠宮さまが皇位継承順一位の皇嗣になられた報告をする行事で三泊四日の日程で三重、奈良、京都の三府県を巡回。宿泊を伴う地方訪問はコロナ禍になって初という。通常は新幹線や特急で向かうが、人の密集を避けるため車で総延長約八百㌔を移動する異例の行程となる。
(4月19日)
火曜日。
名古屋で社友会総会があったので久しぶりに社へ。
上着のポッケには正岡子規が死の2日前まで書き続けた随筆集「病床六尺」(岩波文庫)をしのばせて、である。総会とはいっても、コロナ禍の時代だけに以前みたいな懇親会はなく、卒寿や傘寿を迎えた人に対するお祝い会だけのようなので、私は受付で社友会費だけを払い、きょうのところは辞した。あとは現役時代に社への行き帰りや昼食事によくぶらついた場所が懐かしく、西区の円頓寺商店街や堀川にかかる五條橋周辺を歩いてひと巡りし名駅へ。ここで東海道新幹線の富士山弁当なるものを買って名鉄犬山線と江南駅からは名鉄の定期バスで帰ったが、久しぶりにかなり歩いたので結構疲れたのである。
ただ帰ったら、いつものように愛猫シロちゃんが走って飛んで玄関先まで出迎えてくれたのには目頭が熱くなった。彼女は今やすっかり、家族の一員。いや、亡き妻の代わりそのものを務めてくれている。シロちゃん、きょうも本当にありがとう。
久しぶりに見る名古屋の街並みは以前と何ら変わることなく、落ち着いていた。
堀川と五條橋、西区那古野の街並み
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帰宅して読んだ夕刊は、相変わらずロシアによるウクライナへの軍事侵攻に関するものだった。【露軍、東部へ再攻勢か ウクライナ「戦争の第2段階」】【ドンバスで大規模攻撃開始 ロシア、全面掌握目指す】というもので、NHKもクローズアップ現代で【緊迫の激戦地 マリウポリ 市民は今】を流し、世界の目はウクライナのマリウポリに注がれているような、そんな気がした。
2022年4月18日
月曜日。久しぶりに朝から雨の1日となった。
私は、きょうも悲しさを押し殺してハンドルを握る。涙がウインカーに降り注ぐ大量の雨に負けない勢いでドンドン、ドンドコド、ドンドコドと際限なく流れてくる。涙とは不思議な生きものである。
ところで一体全体、私はどうしてしまった、というのだ。寂しい。辛い。くやしい。かわいそうだ。ごめんな。俺は何をしていたのだ。なぜ、助けられなかったのか。と悔恨の情には際限がない。でも、何の罪もなく、ロシア兵の侵攻に右往左往して逃げまどったあげく、殺されてしまったウクライナの人々の方が、もっともっと比べようがないほどに凄惨で、悲惨で、かわいそうではないのか。自問自答しながら、わが心の中で自重の鐘を鳴らしてみる。
あぁ~。それなのに、だ。今の私には彼女、すなわち舞、可愛かったわが妻たつ江のことばかりが頭に次々と浮かび上がり、思い出となって次から次にとあふれ出てくる。たつ江。舞。たつベえ。たぁ~ちゃん。確かにおまえの生に対する執着は、潔く案外、あっさりしたものだったよな。こうしていても、おまえの生前の声が聞こえてくる。
「あのねえ。あたし。そんなに長くなんか生きていたくなんかない。ないのだから」と。おまえは、私の目を見て、よくそう言ったよね。だとしても、だ。おまえは、なぜ死んでしまったのだ。あれほどまでに、いとも簡単に、だ。俺はそんなおまえのことが、かわいそうで仕方がない。」
きょうの中日夕刊見出しは、相変わらずロシア軍によるウクライナ侵攻が中心で【マリウポリ降伏拒否 ウクライナ「徹底抗戦」】【反ロシア市民あぶり出し】【撃沈旗艦乗組員40人死亡 不明27人 独立系メディアが報道】といったものだった。ロシア軍のウクライナ侵攻は、ほかに文化・芸能面のロバートキャンベルさん(日本文学研究者、早稲田大特命教授)の<社会時評>でも【ウクライナ惨状明るみに やまぬ侵攻 蛮行の限り】と痛烈な内容となっていたのである。
一方で、こうした暗い世の中にあって、救いと言えば【超絶20歳佐々木朗 18歳新人がリード 半端ない「完全」バッテリー 2戦連続走者許さず】といった見出しか。記事の総合リードは以下のようなものだった。
―プロ野球ロッテの二人合わせて三十八歳の若いバッテリーの快進撃が続く。二十歳の佐々木朗希投手が十八歳の新人、松川虎生捕手と組んで十日のオリックス戦で史上最年少の完全試合を達成し、十七日の日本ハム戦でも八回まで一人の走者も許さなかった。0―0の九回に交代し史上初の二試合連続完全試合は逃したが、千葉市のZOZOマリンスタジアムに集まった満員のファンは熱狂した。
2022年4月16日
街路樹の葉が風にサワサワ揺れている/やわらかな、そよぎのなかにおまえは生きているのか/
朝のうち冷たかった風も昼過ぎには気持ちの良いものに変わった/
私は、きょうもおまえを捜して、この街をあるく/
私は何もほしくはない/名誉も。地位も。何もかもだ おまえがいないのでは面白くない/
ただ、おまえが生きたあかしだけはほしい/
そして/私たちは、そのあかしを抱きしめて生きていくのだ
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世の中は、波のあぶくの如く次から次にと変容していく。
大リーグ。エンゼルスの大谷翔平投手が15日(日本時間16日・アーリントン)、敵地でのレンジャーズ戦に「1番・指名打者」で先発出場。開幕8戦、31打席目で待望の今季初本塁打。続く第3打席でも特大の2号2ランを放ち、昨年7月2日いらい287日ぶりの1試合2本塁打を放った。
きのう東京・小笠原諸島に最接近し父島海域で最大瞬間風速46・5㍍を記録、その後は日本の東の海上で温帯低気圧になったことし初の台風1号による影響か。ここ尾張名古屋も朝から結構強い風がふいていた。デ、朝から出たがるシロちゃんを風が少し治まるのを待って外に出した(シロはその後、正午過ぎには帰宅した)。
彼女は出るや、その足で裏庭一角の先代猫のこすも・ここと初代シロの墓に直行。一帯を見回る姿に、私はどこか感動と哀愁に似たものを感じたのである。亡き妻は、いつも愛猫のことを「シロよ。シロ、シロ。シロちゃん」と呼び、決まって「シロちゃんは、何でも知っているのだから。この世でたった一匹の白狐(びゃっこ)よ。あなたのことだって。何でも知っているのだから」と誇らしげに私にそう語り掛けたものである。そのシロがお外に出た。きょうは天空の一体全体、どこいらでおかあさんと会ってくるのか。そんなことを思うと胸がドキドキするのである。
さて。何もかもが暗い世の中だ。では、あるが。けさの中日紙面に私自身、かつて滋賀県に在任中に見たことがある長浜市で開かれている長浜曳山祭が15日、最高潮となる本日(ほんび)を迎え、長浜八幡宮など市内2カ所で呼び物の「子ども歌舞伎」の親善奉納があった、との明るいニュースには久しぶりに、胸のなかを穏やかな風が吹き抜けていったような、そんな思いにかられた。記事の隣には【諏訪大社の御柱祭 里曳きは人力実施】の見出しもあり、それこそ良い紙面でイイナと思う。
ロシアのウクライナ侵攻などといった暗い話よりも、地域社会に溶け込んだ伝統の祭りの方がよほど私たちに夢や希望、勇気を運んでくれる記事なのである。私はこれら記事を読み心底ホッとした。
長浜の子ども歌舞伎を報じた中日新聞
新聞は、きょうもウクライナ侵攻に、なかなか終息しないコロナ禍一色である(いずれも16日付中日新聞から)
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けさの紙面にNHK朝ドラのタイトル「ちむどんどん」は沖縄のことばで「胸がドキドキする」を意味する。「ちむ」は心。「どんどん」と高鳴る様子が伝わる(16日付毎日「余録」より)とあったが、そういえば私とたつ江(伊神舞子)が三重県志摩半島阿児町(現在志摩市)の鵜方で一緒になったのは沖縄が返還(1972年5月15日)された、まさにその年の秋、昭和47年の11月だった。その後。私たちは、舞の提言に従い長崎、沖縄、サイパンの順で夏休みをあて子連れで順々と戦地を巡ったが、不戦の誓いを胸に家族旅行をしたあの日々がつい、きのうのようでもある。
とはいうものの、この世は今、暗黒のただなか、いやいや坂道を転げ行く途中なのか。相も変わらず新聞紙面には【マリウポリ「絶望的」 「近く陥落」観測も ウクライナ外相】【ウクライナ「ミサイル命中」 露旗艦「モスクワ」沈没】【民間死者2万3000人超す ウクライナ側発表 集計 ロシア黒海艦隊旗艦 沈没】【人口64万人減 21年10月 前年比過去最大】……といった活字が躍っている。
(4月15日)
金曜日。妻たつ江(伊神舞子)の祥月命日である。早いもので彼女が逝って、半年がたった。
けさは雨まじりのなか、夜が明け、私はいつものように彼女の仏壇を前に、線香をたき「たつ江。マイ。元気でいるか。俺とおまえは永遠不滅だ。いつまでも一緒、一体なのだから。お互いに助け合って 幸せになろうよな」「シロちゃんも、こどもたちも皆それ相応にナントカ元気でやっているので。心配しなくてよいから」と故人を前に手を合わせた。
午後。いつものように社交ダンスのレッスンで一宮のスポ文(スポーツ文化会館)へ。ここは、かつて私の一宮在任当時に、たつ江が各国の民族衣装に身を包んでフォークダンスを学びに通ったこともある場所だけに、あの当時のことが思い出されてくる。きょうは、ブロンズ級のワルツ、ルンバのレッスンに続き、私にとっては、この世で初めてスロー・ポップス・トロットなるものに挑んだが、最初なので、なれるまでに少し戸惑った。それでも、二度三度、三度四度と先生の指導に従いステップを踏むうち、なんとか感覚らしきものだけはつかみとることが出来た。
ところで、私がなぜ、これほどまでに社交ダンスに執着するのか。それは、たつ江が生前、私がピースボートに乗船する際に「あのねえ。船内で社交ダンスのレッスンだけは、続けてよね。続けるのよ」と私に半ば命令調で言ったから。なぜ、あれほどまでに言ったのか。それは未だに謎である。でも、私の老化を止めるつもりでもいたのだろうか。それとも。もしかして、ゆくゆくは私と一緒にステップを踏みたかったからか。肝心なことを私は聴き忘れている。
いずれにせよ、私はあれ以降、彼女の指示に従ってずっと十年以上の長きにわたって、これまで下手を承知のうえで社交ダンスを続けているのである。
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ところで、このところの地上は全てのニンゲンにとって不幸続きで、それこそ【地獄の1丁目】と言えなくもない。変異が変異を呼んで<新型株>が相次ぎ、一向に感染拡大が終息しない新型コロナウイルスのコロナ禍。そこにきて、だ。このところのロシアによるウクライナへの軍事侵攻、さらには気候変動に起因する酷暑や山火事、度重なる地震、大雨、大雪に伴う自然災害の多発……と、この世の中、本当に暗い。傷だらけである。このままだと、地球そのものがある日突然、炎上してしまうかもしれない。これでは人間にとっての楽しみや幸せなぞ、望みようもないのである。そこへ何の利益があるというのか。やらなくてもよい戦争に血眼になっている。全くもってばかげたことである。
実際、けさの新聞各紙の見出しを拾っただけでも【露、バルト海に核配備示唆 NATO 北欧2国加盟なら】【「報告書、上司が書き換え」…情報機関名乗る手紙 告発次々 露、内部対立か 「日本と紛争準備」想定も】【マリウポリの港掌握か ロシア黒海艦隊旗鑑が大破】【米欧、兵器供与1680億円追加】といった血なまぐさく、おどろおどろしい活字が躍っている。この物騒極まる世界情勢を目の前に、私は「毎度のことながら、ニンゲンとは。なんと愚かな生きものなのだ」とついつい、思ってしまう。私自身も、そのニンゲンのひとりなのに、である。
そして、だ。これが夕刊になると。事態は一変し【ロシア黒海旗艦沈没 地上部隊支援に影響か】の見出しに変わっており「ロシア国防省は十四日、黒海艦隊旗艦のミサイル巡洋艦モスクワが沈没したと明らかにした。タス通信などが伝えた。ウクライナ軍は同艦を巡航ミサイル「ネプチューン」で攻撃したと発表していた。ロシアは近く行う見込みのウクライナ東部の総攻撃を前に主要艦隊の象徴で司令塔でもある旗艦を失い、大きな打撃となった。軍事作戦への影響は必至で、ロシア軍の士気にもマイナスとなりそうだ」と報じている。
ロシア軍の黒海艦隊旗艦「モスクワ」の沈没は各マスコミで報じられた(NHKから)
(4月14日)
【ウクライナ首都近郊プチャ 私の街この世の終わり 生き残った夫婦自宅周辺火の海 ICC(国際刑事裁判所)検察官が訪問】(14日付毎日夕刊)【米欧1680億円追加軍事支援 東部戦闘備えヘリや装甲車 ウクライナ「ロシア艦に打撃」 支援のEU批判 ロシア高官】(14日付中日夕刊)
【ブチャ命もてあそばれた 地下避難市民ら証言 「兵士面白半分に発砲」「若い女性を暴行」】【東部2州に砲撃集中 ロシア、総攻撃へ戦力増強】(14日付中日朝刊)【<ウクライナ侵攻>「戦争犯罪の証拠発見」全欧安保機構 小児科攻撃など】【バイデン氏「大量虐殺」】【円安20年ぶり126円台】(14日付毎日朝刊)【プーチン氏作戦完遂固執 プチャ民間人殺害「フェイク」 東部で激しい戦闘】【コロナ感染 世界5億人】【「プーチン氏が大量虐殺」 バイデン氏明言非難強める】(13日付中日夕刊)【<ウクライナ、侵攻>「マリウポリ死者2万人」 市長 路上に遺体多数 プーチン氏「作戦継続」】(13日付毎日夕刊)……
ことほどさように新聞紙面はきょうも、ウクライナ、ウクライナ、コロナ、コロナ…の大合唱なのである。
きょうは震度7を2度記録。熊本、大分の両県で計276人が犠牲となった2016年4月の熊本地震から6年となり、熊本県庁で追悼式が開かれた。熊本では今もなお95人(3月末時点)が仮設住宅で暮らしている。地震といえば、だ。震度6強を観測した地震で脱線し、一部運休していた東北新幹線が14日、約1カ月ぶりに全線で運転を再開。福島―仙台の運休が解消、秋田新幹線や北海道新幹線が東京と晴れて直通、当面は減速して本数を減らして運行するという。
「春の高山祭」(国重要無形民俗文化財)が14日、岐阜県高山市の中心部で始まった。初日はあいにくの雨となり、十二台の屋台の曳き揃えは見合わせ、各蔵での公開にとどめたという。祭りは15日まで。
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ウクライナでは、きょうも人々が逃げ回っている。なのに。こうしておいしいものを食べていて、それでよいのだろうか。ウクライナを云々する以前に、私ばかりがノホホンと生きていてよいのだろうか、と正直思う。半面で、亡き舞には俺がいま毎日食べているものを食べさせたかった。食事をしながら、そう心から思うのである。
きょうは昼、五条川の川堤へ。いつものコースである大栄橋西と平和橋北界隈を川沿いにひとりで歩いてみたが、つい先日まで満開の桜で春らんまんだったのが、今や緑一色。みごとな新緑に一変していたのには驚くというか、自然の営みの凄さに圧倒された。私は桜堤を歩いた後ドン・キホーテ大口店に入り、ざるラーメンなるものとクリームぜんざいを頼んで食べたが、これがまたおいしかった。思わず私は「たつ江! 俺ばっかり食べて。悪いな」と謝らざるをえなかったのである。おまえと一緒なら、もっともっと楽しいのにとも思う。
新緑に一変した五条川の桜堤
(4月13日)
水曜日。
目の前を一羽の黄色い蝶が舞い、ひらひらと水門川の川面をすれすれに飛んでいった。舞に違いない。舞がこの世を去って以降、私にはこのところ目の前にあるものが次々と消え去っていく。そんな幻覚のようなものにかられている。
きょうは大垣在任時からことのほかよくして頂いている平野学園の学園長平野順一さんと大垣市内の和食の「みよし亭」で一献とあいなった。久しぶりに味わった日本料理の粋には飛騨牛まで登場。さすが中日料理教室名うての講師、名コック長の腕だけのことはあるな、と感心というより、感動。心底からたつ江(舞)がこの料理を食したなら、喜んだに違いない。ふと、そんなことを思ったのである。これも平野先生率いる文化教室の精鋭なればこそだ、と久しぶりに新鮮そのものの海の幸、山の幸を味わい、大垣の銘酒も味わったのである。私たちは、亡きやさしさにあふれた賢夫人・寿江さまにも大変よくして頂いたのである。今となっては感謝のしようもない。合掌。
私が平野学園さまはじめ、大垣共立銀行、イビデン、西濃運輸など各企業の協力で可児の花フェスタの席でオランダ花物語を展開した思い出など大垣在任時のことを話し合ううち、大垣の経済界トップの方に話が及び、私とは新聞社の同期入社でもあり、このたびの私の妻の死で私が心を傷めているに違いない、と心底から心配してくれている、かつての同僚箕浦啓進氏(新聞社の元ヨーロッパ総局長、同経済部長、同メディア局長、岐阜支社長など)の顔を思い出し、その場から横着にもスマホで電話。私と平野先生が交互に、あんなことこんなことを話し合ううち、私のからだにたまっていた悲しさの澱のようなものが不思議と消えていったのである。ミノウラは「おい、イガミ。大丈夫か。心配しとるがや」と言ってくれ、胸にジンときたのである。
そして。平野先生のことは、たつ江がずっと以前から、「〝順ちゃん〟。順一先生は元気でおいでかしら」といつも、なんだか尊敬して拝み見るような感じでいただけに、私も大好きな先生である。と、こんなわけで、15日で舞が旅立ってから、丸半年になる祥月命日を前に食事をということになり、かえってごちそうになってしまったのである。久しぶりに歩く大垣の街は、どこか気品があり、水の音に恵まれた水都そのものであった。かつて芭蕉もなれ親しんだ、奥の細道むすびの地で知られる大垣の水門川のせせらぎは今も健在であった。
久しぶりに歩いた大垣市の中心部を流れる水門川の川堤
2022年4月12日
もう齢なのだから。やることは、1日ひとつだけよ。無理しちゃダメ!
私はいま、たつ江(舞子)が生前、私に課したことばを胸に刻んで生きている。かといって、そんなわけにもいかない。きょうで言えば、午前中、月に一回のメインテナンス治療で歯医者さんへ。帰って、こんどは布袋のピアゴ内美容院を訪れ、伸び放題、ボサボサの(といったところで、若いころのようなふさふさだった髪はスッカリ消え失せているのだが)髪を自然流にヘアーカット。ピアゴで買い物をして帰宅。こうしてデスクに向かっている。
たつ江の言に随うなら「きょうは歯医者さんに行くだけよ。それだけで、い・い・の。あとは、しちゃダメ。ダメだから」となるが、そんなわけにもいかない。とはいうものの、彼女がいつも私のからだのことを思ってくれていたことだけは偽りのない事実であり、ありがたいことだと感謝している。
けさの新聞。【佐々木朗希 完全試合 日本新13連続K 記録ずくめの20歳】という文句ない見出しと並んでトップを占めているのは【「キーウ州 1222人死亡」発表 マリウポリ「今日最後の戦い」】という活字である。それと今ひとつ気になるのは社会面の【オミクロン派生XE 国内初 成田に到着の女性 愛知1198人感染 岐阜は394人】という見出しである。
記事の内容は『厚生労働省は十一日、成田空港に着いた三十代女性が新型コロナウイルスのオミクロン株派生型「XE」に感染しているのを確認したと発表した。XEは従来型「BA・1」と派生型「BA・2」の遺伝情報が交ざっており、BA・2より増えやすい可能性が指摘されている。感染症の確認は国内で初めて。/厚労省によると、女性は三月二十六日に成田空港に到着。米国に滞在歴があり、無症状だった。入国時の検査で感染が確認されたため陽性者用の施設で所定の期間療養し、その後退所した。米ファイザー製ワクチンを二回接種済みだった』というものだった。
2022年4月10日
日曜日だ。夜のニュース。ロッテの佐々木朗希投手(20歳5カ月)がこの日、千葉・ZOZOマリンスタジアムで行われたオリックス戦でプロ野球史上16人目、1994年の槙原寛己(巨人)いらい28年ぶり、21世紀に入ってからは初めて、史上最年少で完全試合を達成した。2年連続首位打者のオリックス3番・吉田正を3打席3三振に仕留めるなど最多13者連続奪三振、一試合タイ19最多三振のプロ野球新記録も樹立しプロ野球ファンをアッ、と驚かせた(試合は6―0でロッテの勝ち)。いいことである。
きのう、きょうと気温がぐんぐん上昇。日中は名古屋、多治見、伊賀……と25度を超す夏日に。春らんまんというより、初夏の陽気である。ついこの間まで寒さに震えていたのに。とても信じられない。ちなみに今現在、10日午後4時過ぎ。スマホで調べたところ、名古屋27度、岐阜27度、三重23度といずれも20度を軽く超えている。地球温暖化による異常高温がもはや珍しくなくなったのか。ウソのような気がするが本当である。
こうしたなか、シロちゃんは晴天の下、何か大いなる目的でもあったのか。昼過ぎお外へと、勇んで出ていった。「くれぐれも、気をつけて」と私。(シロは午後3時過ぎ、私が買い物から帰ると同時に帰宅したが、少し元気がない。彼女はとても敏感なので温かすぎる外気に体調が反応したかもしれない。帰宅後は、そっとさせ体調が戻るのを待った)。
帰宅後、ラインをチェックすると、能登七尾を代表する老舗旅館・さたみや旅館の佐田味さんご夫妻から「昨日、今日と、希望ヶ丘、小丸山公園にお花見に行ってきました。久しぶりに解放された感 何とも幸せな気持ちに― 伊神さん お元気でいてくださいね。」とあの小丸山公園の満開になった写真が【前田利家小丸山城址】の碑と一緒に飛び込んできた。舞が、末っ子かずほを連れて何度も歩いたあの【小丸山公園の桜】には、思わず過ぎし日をおもい出し、涙が溢れ出たのである。私はさっそく「わあっ、なんて美しい。小丸山の桜、たつ江にも見せます。ありがとう」と返信した。小丸山公園といえば、私もよく歩いたばかりか、春には支局全員でのお花見会、夏の七尾港まつりの際には新聞社の事業である〝ちびっこ広場〟開設など何かと思い出がいっぱい、しみついた場所である。
2011年3月11日の東日本大震災発生に伴う東電福島第一原発事故で立ち入り禁止となっていた福島県富岡町夜(よ)の森地区で12年ぶりとなる「花のトンネル」が始まったという。一帯は東北有数の桜の名所として知られていたが原発事故以降は立ち入り禁止に。この春から全長2・2㌔の桜並木の下を通り抜けられるようになった。めでたし、めでたしとは、このことか。
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沖縄では連日1000人超の感染者が出、玉城知事は8日朝、第7波に突入したと明言(NHKから)
米国はプーチン大統領の長女マリヤさんと次女カテリーナさんも資産凍結の対象とした(NHKから)
日曜日。新聞紙面は相変わらず、ウクライナ、ウクライナ、コロナ、コロナ……で埋め尽くされている。このうちウクライナの方は【駅攻撃クラスター弾 ウクライナ死者52人「新たな戦争犯罪」】(10日付中日朝刊)といった見出しが1面に躍っている。その内容はといえば、だ。次のとおりである。
ーリビウ(ウクライナ西部)からの共同電によれば、「ウクライナ東部ドネツク州クラマトルスクの駅で避難民ら50人超が死亡した攻撃について、同国国防省は8日、無差別に殺傷するクラスター(集束)弾を搭載した短距離弾道ミサイルが使用されたと明らかにした。米国防総省高官はロシア軍の攻撃と断定、駅が交通の要衝にあるとして、ウクライナ軍補給路を遮断し、部隊増強を妨害する狙いがあるとの見方を示した。
クラスター弾は非人道性が問題視されており、ウクライナのゼレンスキー大統領は「新たな戦争犯罪だ。誰が命令し、どのように発射されたのか。責任は避けられない」と糾弾する動画をインターネット上に投稿した。
攻撃で少なくとも子ども5人を含む52人が死亡し、109人が負傷。犠牲者は増える恐れがあり、国際社会からのさらなる非難は必死だ。
いずれにせよ、ウクライナではロシアによる東部地区への軍の侵攻破壊が一向に留まるところがなく、戦況がこの先、どんな道をたどるのか。予断を許さない状況下にある。このほか、ウクライナ紙ウクラインスカ・プラウダによれば、8日、キーフ(キエフ)西方約50㌔にあるマカリウで民間人132人の射殺体が見つかるなど凄惨な事実が現実となっているのである。こうしたなか、ジョンソン英首相は9日、キーフを訪問。ゼレンスキー大統領と会談したが、主要7カ国(G7)首脳が同国入りするのはジョンソン首脳が初という。
一方、欧州連合(EU)のフォンデアライエン欧州委員長も前日の8日にキーウを訪問し、ゼレンスキー氏と会談。「欧州はあなたたちの側にある」とウクライナへの連帯を声明で出し、このところロシア包囲網が日に日に高まっている。
(4月9日)
いやはや、あれやこれやとバタバタしている。きのう8日は愛猫シロちゃん(オーロラレインボー)の年に一度の健康診断を兼ねた3種混合ワクチン接種(猫カリシウイルス感染症、猫伝染病性鼻気管炎、猫汎白血球減少症)の日だったため市内の動物病院へ。コロナ禍の時代だけに、3密回避もあって、外の駐車場に車を止めてシロの順番が来るのを長らく待った。幸い、接種は無事終わり、体重も4・44キロと昨年より500グラム減り「肥満は解消されています」とのことで、ホッと安心したのである。とはいえ、やはり、まだ少しは肥えているような気はするのだが。医師が大丈夫と言ってくれたのだから、心配ないだろう。
ちょうど1年ほど前には、舞と一緒にシロを同じ動物病院に連れていって医師から「ちょっと肥満気味ですね。気をつけてください」と言われ、その後はふたりで与える食事の量も出来るだけ控えめにするなどして努めてきただけに、私は「シロちゃん、大丈夫だったから」と手を合わせ、舞の仏前に報告したのである。
シロに接種された3種ワクチンの説明書
私が思うには、シロはこの1年、おかあさんの部屋でオカンのことを心配して彼女が亡くなる直前までベッドで付きっきりで【白猫俳句】の作句の手助けばかりか、ずっと傍らで寄り添ってくれていた。それだけに、おかあさんを心配して肥えている暇などとてもなかった、と。そう思うのである。
だから、舞は人生の最終場面で自ら開設したブログきょうの俳句【白猫の俳句】で♩秋一日絨毯と飛べ我が部屋ごと(minuetto-mi きょうの俳句・白猫の俳句九月二十三日から。この俳句は舞の最終句・挽歌となってしまった)というすばらしい、かつ衝撃的な俳句を詠み続けることが出来たのである。
ほかに、ここ2、3日というものは、私の高校時代の同窓会の件で次年度役員を誰にお願いしたらよいのか。また秋の総会兼懇親会をどうするか。コロナ禍でのまん延防止重点措置が先月21日に全面解除になったところで事前の打ち合わせの開催日をいつにするか、などにつき役員同士で電話とメールで何度も話し合ったり、連絡したりし、結構、慌ただしかった(結局、打ち合わせ会はみなさんの都合もあって17日に開くこととなった)。
それと、これは話がガラリ変わるが、ふつか前には、これまでたつ江にだけしか皮をむいてもらわなかったリンゴを手に甚だ危なっかしい手つき、無手勝流の包丁さばき(包丁さばき、と言えるかどうか?)で自ら皮をむいたのである。包丁で指をスパリと切ってしまうのでは、とヒヤヒヤしながらの難行苦行だったが、せっかくもらった信州リンゴをたつ江にどうしても食べさせたいあまりの決行とあいなったのである。
切られたりんごは嬉しそうで、私も食べてみたが想像以上のおいしさだった。仏前に置かれたリンゴを前に<たあちゃん>(私はたつ江、舞子のことをその時の気分で<たあちゃん>とか<たつ兵衛>とも、よく呼んでいた)は「今ごろ何やっているの。それより、箸上手に持てるようになった?」と笑っているに違いない。
私の手で、ついに切られたりんごっこ
きょうは午前中、ほかに川崎に住む長男夫妻とのオンライン会議にシロちゃんと末っ子と一緒に出るなど、あれやこれやとあった。私からはシロが3種混合ワクチンを無事、終えたことを知らせ、川崎からは長男の嫁が少し高熱こそ出たが、やがて治まり3度目のワクチン接種を無事終了。長男の方は近々、3回目を接種予定だとのことだった。互いにからだを大切に、この時代を乗りこえれば、おかあさんもきっと喜んでくれるに違いない。ということで、オンラインを閉じた。
そういえば、きのう8日に私が、そのテーマ音楽【アルデバラン】を何にも増して気に入っていたNHKの朝ドラ【カムカムエヴリバディ】が終わった。<笑って 笑って 愛しい人……君と君の大切な人が幸せである そのために 祈りながらスイング・ア・ソング……>と歌詞も良く、このところは番組での音楽を聴くたびに舞(たつ江)との日々が思い出され、胸がキュンとなり、それこそ、そのつど心身ともに引き裂かれそうでもあった。舞が生きていたなら、ぜひ見てほしかった朝ドラでもあった。
2022年4月7日
中日新聞の本日7日付夕刊によれば、ロシア軍がウクライナ北部から完全撤退。ドネツク、ルガンスクの東部2州に戦力を集中。新ロシア派の支配地域拡大を狙うためでウクライナのベレシチューク副首相は6日、東部2州の住民に早期避難を呼びかけたという。またバイデン米大統領は6日、ロシアへの新規投資の全面禁止や最大手銀行の資産凍結など米国としての対ロシア追加制裁を発表。ワシントンで演説し大きな戦争犯罪だ、と強調し「同盟国や友好国とともに経済的な負担を科し続け、プーチン大統領の痛みを増し、ロシア経済をさらに孤立させる」と述べたという。これら一連の動きを見る限り、米ソ関係の関係修復はもはや望めないのでは、とすら思われてくる。
夕刊には、ほかに「オバケのQ太郎」や「忍者ハットリくん」などで知られる漫画家藤子不二雄Ⓐさんが、川崎市の自宅で死去したことが7日分かった、とも報じている。藤子さんは富山県の出身。88歳だった。
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きょうは、10度を超える温かい朝だった。
飛行機音にふと上空を望む。空一面に薄い雲がたなびいてはいるが、晴れでさわやかな日だ。「名古屋は24度まで上がり、5月上旬並みのぽかぽか陽気になりそうです」とラジオからは男性アナの声。いよいよ、これから暑くなってくるなと思っていたところ、突然、台所の食器棚がカタカタカタカタと小刻みに音をたて震えた。まもなくすると「午前9時半ごろ。東海地方でやや強い地震がありました。震源地は愛知県東部で震源の深さは約10㌔。地震の規模はマグニチュード4・6と推定され、津波の心配はありません、とのことだ。新城で震度4。豊橋、岡崎、安城……、岐阜県恵那市で震度3」とNHKアナの声が耳に迫った。
令和4年1月から実施されていたまん延防止等重点措置こそ3月21日で全国一斉に解除されたものの一向に収束しないコロナ禍に、このところのウクライナへのロシアによる軍事侵攻と一般市民に対するジェノサイド(大量虐殺)、またガソリン代や電気代、諸物価の高騰……と、このところは何もかもが暗くて、いや~な時代である。個人的には、そのうえ最愛の妻に昨秋、先立たれるという悲しみ、辛さも加わって、なんだか生きていくことそのものが、とてもしんどくて悲しい。そんな暗い世の中だ。半面、それだけに明るく元気でいなければ、とは思うのだが。なかなか、そんなわけにはいかない日々が続いている。
けさも新聞には【戦争犯罪 市民が記録「ロシアが裁かれる日まで」 ハリコフ攻撃の合間】【キーウ北西の町 200人以上死亡か】【安保理改革訴える ゼレンスキー氏「行動を」 ビデオ演説】【<核心>侵攻へ無力 国連機能不全 ロシア拒否権に打つ手なし 停戦の可能性探るが難航】【日米欧、追加制裁へ 露の虐殺疑惑で強化 ウクライナ侵攻】【住民犠牲ブチャ以外も キーウ近郊「400人以上不明」報道】【折り重なる民間人遺体 プチャ 日本人写真家が撮影】【日本「戦争犯罪」明言 資産凍結など対象拡大】など。痛々しい見出しが活字となって並ぶ。人間たちは、コロナ禍はじめ、軍事侵攻、大量虐殺などアレヤコレヤに苦悩しているのである。
(4月6日)
水曜日。東海地方の各地の公立小学校でこの日、入学式があり、新1年生はマスク姿で真新しいランドセルを背負って、胸弾ませ登校した。ウクライナのゼレンスキー大統領が5日、ロシアによる侵攻に関して国連安全保障理事会会合でオンライン演説。首都キーウ(キエフ)近郊のプチャなどで明らかになった民間人の虐殺につき「第二次世界大戦後、最も恐ろしい戦争犯罪だ」とロシアを非難。安保理常任理事国のロシアが拒否権を行使し、有効な対策が打てていないとして「国連はただちに改革されなければならない」とも述べた。
ゼレンスキー大統領はさらにブチャを訪れたと述べ「ロシア軍はウクライナのために働く人々を故意に殺害。大人も子どもも家族全員を殺した」と強調。ロシア軍指導者らを裁判にかけるように、と訴えた。ロシアのウクライナ侵攻後、国連は総会で非難決議などを採択したが、安保理ではロシアが拒否権を持つため、法的拘束力のある対応を打ち出せてはいない。このためゼレンスキー氏は「あなたたちは国連を終わりにするのか。もし答えがノーなら、すぐに行動すべきだ」とも指摘した。
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6日。私は快晴のどこまでも深く、青く澄み渡る空を見上げて、亡き妻がこちらに向かってほほ笑みかけている姿を目の前に男らしくもなく、またしてもしゃくりあげた。見苦しい限りだ。こんどは空に浮かんだおまえのあの笑顔がだんだんと時代がプレイバックするように若く、若くなっていく。と、「元気でいますか」とたつ江、舞の声が空の大気を割って聴こえてきたではないか。
「おまえは、お世辞でなく、きれい。きれいだ。美しいよ」と私は空に浮かぶおまえに向かって、そう声を投げかけた。そして「この地上の桜、見えているか。見えるとよいが。きれいだろ」とも続けたのである。
「見える。見えるわよ。それにあなたも。子どもたちも。シロちゃんだって。見える。見える。見えるわよ」
「それはそうと。おまえは、なんで、なんで。いとも簡単にそんなにも早く死んじゃったのだよ。それでは舟木一夫の【絶唱】の愛おしい山鳩と同じ。♩なぜ死んだ、ああ小雪 の小雪と何ら変わらないじゃないか」
「それでも、おまえは俺と一緒にあの歌をよく聞いたよな。馬鹿のひとつ覚えで、いつもカセットから流れてくる【絶唱】をおまえは助手席で文句のひとつ言うでなく、つい最近まで、ただ黙って聴いていてくれた。…でも。まさか、おまえが小雪そのままに死んでしまうとは。これまで誰よりも苦労してきた分だけ、これからはいっぱい、いっぱい、幸せになってほしかったのに。なんで、そんなに早く死んでしまったのだ。
それと。音楽と言えば、志摩にいたころ、休みになると俺は決まってサニーの新車助手席におまえを乗せビートルズを流しながら車をぶっ飛ばした。真珠の海・英虞湾沿いであったり、黒潮躍る熊野灘沿いだったりしたよな。能登でも珠洲に通じる街道を日本海沿いにおまえを乗せ、ぶっ飛ばしたことが何度かある……」
あとは声にならない。この世は妄想か。
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水曜日。連日、悲しくて辛い新聞の見出しが読者の心をえぐる。
【ブチャ近郊でも虐殺か ウクライナ検察「最多の犠牲者」 ゼレンスキー氏視察】【避難民20人日本到着】【独仏がロシア外交官追放 EUで同様の動き拡大】【米、追加制裁の方針】【ロシア国債ドル支払い禁止 米財務省 デフォルト(債務不履行)可能性も】【ドガの「ロシアの踊り子」→「ウクライナ」に 英美術館が改題】(5日付中日夕刊)【ゼレンスキー氏「戦争犯罪」 多数の遺体発見 ブチャ視察】【半世紀前の名作「ひまわり」20年前の新書 脚光 ウクライナ反戦 映画で本で ベストセラー1位に】【「オルガルヒ」の大型船押収 制裁対象FBI、スペイン停泊中】【安保理「虐殺」討論へ ゼレンスキー氏 演説の予定】【欧州、露外交官追放 遺体多数発見で 独40人・仏35人】【キーウ脱出 息子2人とルーマニアへ ウクライナ侵攻 見知らぬ車で検問突破 「運転手、天使に見えた」】(5日付毎日夕刊)。
そして。これら報道は、けさも続いた。以下のとおりである。
【キーウ郊外さらに多数遺体 ブチャの北西 外相「氷山の一角」】【「最も恐ろしい戦争犯罪」ゼレンスキー氏、安保理で演説】【<核心>ロシアの強弁覆す証言・衛星写真 戦争犯罪の情報続々 軍事行動でプチャ市民殺害か】【上海、都市封鎖を当面継続 2400万人一斉PCR■ドローンで外出監視】【感染対策の中 入学式 「もうコロナに振り回されたくない」 大学こそは膨らむ希望】【リスクには十分注意を 10、20代 感染も未接種も多く】(6日付中日朝刊)
【「露虐殺」安保理討論へ ゼレンスキー氏参加 EU、石炭禁輸】【避難民20人 来日】【排出減「25年までに」 気温上昇 1・5度に抑制 IPCC(国連の「気候変動に関する政府間パネル)】(6日付毎日朝刊)
新聞はむろんラジオ、テレビ、その他、各種ネットなどからも流れ、拡散されていくニュースは、どこもかしこもウクライナ、ウクライナ、コロナ、コロナのオンパレードである。なんだか世の中すべてが暗い何かに閉ざされてしまっているような。そんな気さえするのだ。
ウクライナの悲劇は日本のテレビニュースでも連日、報じられている(NHKから)
(4月5日)
二十四節気によれば、きょうは、すべてが生き生きと清らかに見える【清明(せいめい)】である。
【清明】の気に押されてか。なぜか、思い立って藤の花の名所で後醍醐天皇の御創建で知られる飛保の曼陀羅寺へ、と出向いた。
御醍醐天皇御創建の碑があった
ここの桜がみたくなったためだが、花弁こそ少しちいさく感じたが今が満開で、それは美しかった。5月の連休のころ、藤の花のシーズン中ではないこともあり、見物客はパラパラ。それこそ広い境内に合わせて7、8人いたかどうかだったが、この街では貴重な曼陀羅寺だけに、久しぶりに郷土の文化財にふれた気がした。これまでも年に一度はたつ江と藤の花見物に来ていたのだが。福の三本松葉、浄土宗の曼陀羅寺に伝わる椋の木(ムクノキ)=江南市指定文化財(天然記念物)=には、あらためてその存在の重さといったようなものを感じたのである。
ムクノキと満開の桜
夕刊を開く。ウクライナへのロシアの軍事侵攻に、まだまだ終息には時間がかかりそうなコロナ禍と相変わらず暗い、どこまでも暗い世界。社会。世の中である。
各紙ともウクライナのゼレンスキー大統領がロシア軍から奪還したキーウ(キエフ)州ブチャを視察したことを報じているが、ゼレンスキー大統領は現地で多数の民間人の遺体が見つかったことについて「戦争犯罪であり、ロシアはジェノサイド(大量虐殺)を犯した」と改めて非難。ブチャから北西25㌔のボロディヤンカで最も多くの犠牲者が出ているとの見方を明らかにした、と報じている。
2022年4月3日
雨に濡れ、心なしか赤く妖艶に。ピンクに染まった花びらが宙に浮かぶ。だふやら、おまえのやうだ。人は弱い。だれとて、いつも何かを求めて生きている。歩いていく。何か、とはなにか。私の場合は、わがいとしの妻、たつ江である。元気でいるか。シロの隣で大空に向かって、ふたりできょうも、そう声をかけた。
日曜日。新聞1面には久しぶりに【車山絢爛3年ぶりの勇姿 犬山城 城下にぎわい】と明るい、春ならではの見出しだ。「江戸時代から続く三百八十八回目の犬山祭が二日、愛知県犬山市で始まった。新型コロナウイルスの影響で二年続けて中止になっていた豪華絢爛な車山(やま)の巡行も三年ぶりに復活した。」という記事が何となく久しぶりに心弾ませ、ウキウキする嬉しい内容である。
うれしい話と言えば、開幕早々から負けが込んでいた立浪和義監督率いる中日ドラゴンズが2日の広島戦(バンテリンドームナゴヤ)で延長12回に劇的な逆転サヨナラ勝ちで今シーズン初の連勝を飾った。中日スポーツを手に思わず、こうでなくっちゃあ―と嬉しくなったのである(ドラゴンズは、きょうも広島に1―0で勝ち、3連勝と立浪監督の好きな【氣】をはいた。よしっ、この調子で!)。
犬山祭を報じた3日付中日朝刊
劇的な初連勝で埋め尽くされた3日付の中日スポーツ1面
ところで、わが家のアイドルであるシロちゃんは、思うことがあってか。きょうも午前11時過ぎ、曇り空の外に出た。彼女なりの考えがあってのことだろう。それとも天女のおかあさんに伝えることでもあるのか。(シロはその後、昼過ぎには小雨のなか、無事、帰宅。きょうは休みのお兄ちゃんに家の中に入れてもらったようだ)。
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ロシアのウクライナ侵攻は相変わらずロシア軍の東部への攻勢が続いている。ICRC(赤十字国際委員会)が1日、ロシア側の包囲が続くウクライナ南東部マリウポリの市民を退避させようとしたが、安全が確保できず失敗に終わるなど苦しい状況にある。一方、キーウ(日本の外務省が首都キエフの日本語呼称をウクライナ語「Kyiv」に基づいて、「キーウ」に変更)は一時、激しいミサイル攻撃を受けたが、ロシアが(先の停戦交渉に基づいてか)「作戦縮小」を表明したあと目立った攻撃は止んでいるという。
こうしたなか、米紙ニューヨーク・タイムズは1日、米国が同盟国からウクライナへの戦車供与の支援に踏み切ると報道。ウクライナの東部防衛のため軍が使い方を把握しているソ連製戦車を配備するという。いずれにせよ、けさの新聞の見出し【マリウポリ市民退避難航 ロシア軍 東部へ攻勢鮮明】が戦争の現況を伝えている、といえそうだ。
ウクライナへのロシア侵攻と並んで今ひとつ気になるのが、同じ朝刊見出しに言う【新規感染 44都道府県で増 コロナ前週比 「第7波」に警戒】である。記事には『新型コロナウイルスの直近一週間の新規感染者数が四十四都道府県で前週と比べ増加したことが内閣官房のまとめで分かった。急速な再拡大には至っておらず病床は余裕があるが、感染「第六波」が十分に収まらないまま「第七波」を迎える恐れもあり、専門家が警戒を強めている』とあり、まだまだ油断は大敵である。
(4月2日)
大江川河畔に咲いた桜たち=愛知県一宮市内で
春らんまんの桜を見て、私はつくづく思う。自分がそのひとひら、ひとひらを美しいと思えば、今は亡きたつ江もそう思っているに違いない。と。
そして。俺が食べるということは、だ。おまえが食べるということ。だから。おいしくて栄養のあるものを食べるようにしなければ/俺が笑うということは、おまえが笑うということ。だから楽しくいこう/俺が歩くということはおまえが歩くということ/俺が話すということは、おまえが話しているということ/俺のしていることは、みんなおまえも、そっくりそのまましている/俺とおまえはいつも一緒だ。/俺が生きている、ということは、だ。おまえも一緒に生きている/愛猫シロが大きく伸びをするということは、おまえも大きく伸びをしているということだ。そして一匹文士の俺が書くということはマイ、伊神舞子が書くということである……
――読者諸氏は本当かいな、と思われるかもしれない。でも、私とシロがこうして生きているということは、それぞれの心にたつ江、すなわち伊神舞子の気持ちが宿っていると同じことなのだ。だから、一緒に生きている。……
なんて自分勝手なことを想像したりして私は仏前のおまえ=静汐院美舞立詠大姉(せいせきいんびまいりゅうえんだいし)=に、きょうも、また語りかけているのである。
私たちが、いつも語りかける静汐院美舞立詠大姉
青い空一面に薄らにたなびく無垢の雲を見ながら、私はつくづく、そう思うのである。だから、私は、たつ江に恥じないように生きていきたい、と。そう願っている。俺がこの先を生きていく。ということは、すなわちたつ江、伊神舞子も私と一緒に生きていくのである。
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ところで「脱原発社会をめざす文学者の会」ホームページに月に一回、書いている私の連載【文士刮目】の第11回目【プーチンの「精力善用 自他共栄」とは】がきょうの午後、公開されたので、読者の皆さまにはぜひ読んでほしく思う。プーチンと柔道につき私の思うところを書いておいた。失礼ではあるが、プーチンのような名誉有段者とは違って私はれっきとした日本の講道館の実力3段保有者である(十九歳の時に取得した)。
連載を読んでいただき、柔道が本来めざす人間の姿勢とでもいったものを感じ取って頂けたら、と願う。それにしても日本柔道、すなわち講道館はプーチンの6段位を即刻、はく奪すべきではないのか。【精力善用自他共栄】という日本柔道の神髄に泥が塗られた、といっても過言でない。この意見は強くも何もない。基本を怠った以上、それを見逃してはいけないのである。何だったら私と手合わせをしても良い。受けて立とう。
「脱原発社会をめざす文学者の会」のホームページのアドレスは次のとおり。
https://dgp-bungaku.main.jp
クリックしメニューで連載を開き、読んでください。
ウクライナでの悲劇は依然として留まるところを知らない。本日2日付の夕刊には【マリウポリ市民退避失敗 赤十字、安全確保できず】【米、戦車供与を支援か】【マリウポリ 3000人脱出 赤十字 現地入り断念 ウクライナ】【「侵略阻止へ協力を」 EU大統領、中国に要請】といった活字が躍っている。
(4月1日)
社交ダンスのブロンズ級ワルツとルンバのレッスンを終え、一宮からの帰宅途中。ソメイヨシノの花びらという花びらが満開の大江川の水面に映し出されたかと思うと。今度はふんわりふわりと青い空に舞い、散った。やうな。そのひとひら、ひとひらの中におまえは相も変わらず カクレンボでもするようにいるのか。もう、いつまでも恋人同士ではないのだから。
大江川堤に咲いた見事な桜たち=愛知県一宮市内で
美しく花開いたひとひらひとひらを横目に、おまえが選んでくれたグリーンの車パッソを運転しながら私は思う。「これから家に帰ったところで何になるというのだ。帰ったところで待っていてくれるはずの相棒はいない(でも、その代わりにシロちゃんがいつだって首を長くして待ってくれてはいる)のだ」と。以前のように、言葉少ないおまえが家にいる。ただそれだけで満足する。胸を弾ませ家路を急いだものだ。嬉しく、なんだか浮き浮きしてもいた。
なのに、である。おまえは、どんなに大きな声で叫んでも、もはや、この世には居ない。ところで俺は1日に何度、恥ずかしげもなく、相棒の名を呼んでいるのか。たつ江、たつ江、たつ江と。時には舞、マイとも言いながら、だ。100回は下らないだろう。いや、数百回、1000回近いかもしれぬ。
傍で聴いていたら、それこそ「こやつ頭がへんだ。間違いなく、おかしいじゃない。狂ってるよ」と、そう思われても仕方がない。そうしたことを分かっていながら、私の目には、またしても涙があふれ出てくる。何という恥ずかしいことなのだ。
第一、おまえ、たつ江は、もうこの世に存在しない。やっぱり、あなたは世界でイッチバ~ン、弱っちいひとよね、と。たつ江はあきれ返って、そう言うに違いない。叱られてもよい。その舞が今はどこにも見当たらない。なんということなのだ。
桜が美しい春。4月である。
成人となる年齢を20歳から18歳に引き下げる改正民法がきょう、1日に施行された。明治いらい140年以上続いた大人の定義の大転換で、1日の時点で200万人以上が大人の仲間入りをした。この日は起訴後に18、19歳の実名報道も可能となる改正少年法も施行された。
【大阪桐蔭 4発圧倒V 4年ぶり4度目 貫いたつなぐ意識】【近江・星野 踏ん張れず】とは、本日付中日新聞運動面の見出し。記事には「第94回選抜高校野球の決勝戦が31日、甲子園球場で行われ、大阪桐蔭(大阪)が18-1で近江(滋賀)を下し、2度目の春夏連覇を達成した2018年以来、4年ぶり4度目の優勝を果たした。」とあった。個人的には近江を応援していたのだが。やはり、力の差は歴然としていた。
そしてもうひとつの野球、プロ野球の方も立浪和義新監督率いるドラゴンズがなかなか勝ちを取れず本日付の中日スポーツは一面で【47年ぶりホーム開幕3連敗】【「最悪の滑り出し」 立浪監督】【好機にあと一本出ずゼロ行進 「投手も耐えきれない】とDeNAに1―0で敗れた本拠地・バンデンドリームナゴヤでの昨夜の情けない試合結果を報じている。
きょうはエイプリル・フールなので、この結果を「ウソと信じたい」が、そうではなく紛れなく負け続けているのである。ファンの多くは「立浪は何をやっとるんだ」と思っているに違いない。ここで再起と怒涛の連勝を願いたい。
ところで、なかなか終わりが見えないコロナ禍。そしてウクライナへの一方的なロシア軍侵攻などイヤな世界情勢に傷ついた気持ちを中日ドラゴンズの勝利で少しは癒してくれたら、と。名古屋じゅうのみんなが、そう願っているのに、だ。立浪の敗北は逆にファン一人ひとりの心に火に油を注ぐ形となっている。勝たなアカンのである(幸い、今夜は広島に3―2で勝ってくれ、本拠地初勝利となった)。
さて。そのロシアの侵攻を受けたウクライナだが。けさ1日付の毎日新聞朝刊によれば、ウクライナから他国に逃れた難民がとうとう400万人を超え、このうち半数超の236万人が隣国ポーランドに避難。18~60歳の男性の出国が禁じられたため、難民の9割は女性や子供だという。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は当初、難民の数を最大400万人と想定していたが、2月24日の侵攻開始から5週間でこれを上回ることなった(日本政府はこの日、ウクライナの首都キエフの名称表記について、ウクライナ語の発音に基づくキーウに変更する、と発表した)。
ところで先月21日で「まん延防止等重点措置」が全国一斉に全面解除された新型コロナウイルスの感染のその後はといえば、だ。これが、このところ少しリバウンドの傾向にあり、まだまだホッとは出来ない、といったのが現状のようだ。
【新型コロナウイルスの新規感染者数が全国的に増加傾向に転じている。厚生労働省の専門家会合が「再拡大の兆候の可能性もあり注意が必要」と懸念を示す状況にあり、感染化防止対策をあらためて徹底して再拡大を防ぎたい。/新規感染者数は「まん延防止等重点措置」の全面解除後、緩やかに減少していたが、今週に入って増え始めた。昨年夏の「第五波」よりも多い状況が依然続く。………】とは本日付の中日新聞社説(新型コロナ増加 感染対策を緩めぬよう)の論調で、まだまだ油断は大敵なのである。
安心は出来ないのだ。