一匹文士、伊神権太がゆく人生そぞろ歩き(2023年6月~)

2023年6月30日
 「六月三十日は年のへそ」と言われる。文字通り1年の折り返し点。各地の神社では「夏越の祓」の神事が行われる。「水無月の夏越の祓する人は千歳の命延ぶというなり」。呪文を唱えながら「茅の輪」をくぐれば、無病息災につながるという。(毎日新聞・30日付余録から)

――というわけで、この日がくるとなぜか、わが愛しの母を思い出す。幼きころ。母は決まって私たち兄妹を、わがふるさとである和田(江南市)の神社に連れていき、輪くぐりを一緒にさせられた。その思い出が消えないためである。
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 きょうは金曜日。いつもなら社交ダンスのレッスンの日のため、思い切って以前おまえとも一緒に足を運んだことがある木曽川河畔のフラワーパークへ、とでかけた。まさにその名のとおり、あちこちでらんまんの花が咲き誇る園内を見たあと、適当な散歩道を見つけ、そこで色とりどりの花々を私の観客にワルツとタンゴの一人芝居ならぬ、ひとりレッスンとあいなったのである。

 らんまんの花々が美しい江南市のフラワーパーク
 

 静かな散歩道は社交ダンスのレッスンには何よりである
 

 そういえば、おまえは現在、NHK総合の朝ドラでやっている植物学者牧野富太郎さんの生涯を描いた「らんまん」も知らないのだ。おまえが生きていたなら、きっと喜んで朝の食卓を囲んで一緒に見たに違いないだろうに。なんだか、とても寂しく、残念な気がする。野に咲く花々をことのほか愛していたおまえ(たつ江。伊神舞子)が生きていたなら、きっと喜んで私とそろって毎朝見たに違いないのに-と思うと、返す返すも残念でしかたがない。
 というわけで、私は植物学者牧野さんの偉業は、おまえの分までしっかりと代わりに見ておこう、と。そう思って見ているのである。

 豪雨のあとの暑さからなのか。愛猫シロちゃんが、午前中、食べたばかりの朝食を居間の3カ所に吐いていたので、心配になり全て清掃。幸い、たいしたことはなさそうなのでいつもどおり留守をたのんで自宅近くのナカハラ歯科クリニックへ。月に一度のメインティナンス、クリーニングの日できょうも私を担当してくださっている後藤歯科衛生士に丁寧にしていただいた。帰ると突如、雨が降り出したため、あわててベランダに干して置いた洗濯物を中へ入れるなどバタバタした。

(6月29日)
 木曜日。
 本日付の中日新聞によれば、ベラルーシのルカシェンコ大統領が27日、ロシアで武装反乱を起こした民間軍事会社ワグネルの戦闘員の1部をベラルーシ国内で受け入れる用意がある、と表明。創設者プリゴジン氏が同日、空路、ベラルーシに到着したと明らかにし、安全を約束した-とも述べた。国営ベルタ通信が伝え、ベラルーシの近隣国では安全保障上の脅威になるとの懸念が高まったーと報じた。また米誌ニューヨーク・タイムズは27日、米政府当局者の話としてウクライナ侵攻でロシア軍副司令官を務めるスロビキン航空宇宙軍総司令官が武装反乱の動きを事前に把握していた、とも報じた-という。
 またルカシェンコ大統領は27日の演説でベラルーシに配属される予定のロシアの戦術核兵器の大半が既にベラルーシ領内に搬入されたことを明らかにした。ロシアに利用されているとの見方を否定。「われわれの武器であり、われわれが使う」と述べ、国防省などに核使用の手順を定めるよう指示した、とも述べた。これに対してロシアへのベラルーシへの戦術核配備は譲渡ではなく、ロシア側が運用する-としている。

 宇都宮地裁が2017年、登山講習中の高校山岳部員らが死亡した雪崩事故で犠牲者5人の遺族が県などに損害賠償を求めた訴訟判決で、県と県高等学校体育連盟に約2億9千万円の支払いを命じた。責任者だった教諭ら3人に対する請求は棄却した。

(6月28日)
 午後三時前。おまえたち人間は、俺たち自然には勝てないぞ、と言わんばかりに空が急にいろめきゴロゴロゴロのゴロと騒ぎだし、豪雨がけたたましく降り始めた。私はベランダに干してある洗濯物と、ゴロゴロゴロが大嫌いな留守を預かるシロちゃんのことを思い出し、一目散でアピタ駐車場からマイカーを走らせ、わが家に帰った。
 幸いたまたま「きょうは家でテレワーク」だった息子が、いち早く洗濯物すべてを入れてくれており、やれやれ。暗黒と恐怖のいっときは無事、過ぎ去ったのである。

 雷雨に追い立てながら逃げ惑う人間。やはりニンゲンは自然には勝てないのだ。妙な納得のようなものが体内を走り去っていった。逃げようとしたところで、逃げることが出来ないときは、逃げれっこないのである。

 警視庁捜査1課がきのう27日に自殺ほう助容疑で歌舞伎俳優の市川猿之助(本名・喜熨斗=きのし=孝彦)容疑者、47歳を逮捕。けさの新聞報道によれば、一家心中を図った疑いがあり、警視庁は逃亡や証拠隠滅を考慮して逮捕に踏み切ったという。警視庁では、こんご父親段四郎さん(76)の死亡に関与した疑いで調べを進める。

 ほかにも、奈良市の日本最大の円墳・富雄丸山古墳(古墳時代前期、4世紀後半)で見つかった国内最大の鉄剣「蛇行剣」(長さ2・3㍍、幅6㌢)が27日に奈良県立橿原考古学研究所で初めて報道陣に公開された話をはじめ、【プリゴジン氏ベラルーシ到着 ワグネル戦闘員募集再開】【日韓通貨交換協定再開へ 輸出優遇 来月21日再指定】(中日朝刊見出し)といった話など、ニュースに事欠かない。
 新聞といえば、ほかにけさの尾張版の【小牧・長久手の戦い 家康が登った富士塚 自治体同盟加入の江南市がPR】も関心のあるところか。

 夜。愛猫シロちゃんを傍らに食事をしながら見たNHKのプロフェショナル【1億匹のハチと家族と 春を追って南から北へ 旅する養蜂家の半世紀 花を映す、金色の一滴 61度目の春】には感動した。ハチとともに生きる人生。脱帽以外なにもない。

(6月27日)
 火曜日。
 プーチン政権は市民を巻き込む流血回避を最優先させ、民間軍事会社ワグネル創設者のプリゴジン氏は劣勢を悟ったー。ロシアで起きたワグネルの武装反乱は、わずか一日で収束した。厳罰に処すと強調したプーチン大統領は方針を翻し、プリゴジン氏の国外追放で妥協した。独立系メディアなどの報道で、平和的解決を図った舞台裏が明らかになってきた。--とは、本日付の中日新聞【核心】のリード(前文)部分である。核心の見出しは「厳罰一転追放で妥協 ワグネル反乱収束 プーチン政権民心離反恐れる」というもので、まさにその通りだと思う。

 そして事実、【「流血避けるため撤収」ワグネル創設者(プリゴジン氏)2日ぶり発信 所在は不明 捜査継続とロシア報道】(中日朝刊)【プリゴジン氏消息不明 ワグネル 露、一転「反乱捜査継続」】(毎日朝刊)とけさもロシアで武装反乱を起こしたプリゴジン氏のその後が大きく報道されている。
 さらに夕刊となると、【改めて裏切り糾弾 プーチン氏 反乱収束後初の演説】【流血回避指示と主張 創業者2日ぶり発信】(27日付中日)【「反乱首謀者、国裏切った」 プーチン氏、プリゴジン氏を非難 流血回避は評価】【「政権転覆望まず」プリゴジン氏、反乱正当化】(27日付、夕刊)と続く。しばらくこんごの様子を見守るほかないか。

 東電が26日、福島第一原発処理水の海洋放出に使う全長1030㍍の海底トンネルの工事が完了したことを明らかに。試運転をしたあと、原子力規制委員会の使用前検査を28日から受け、終了すれば放出設備の準備が整う、という。政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会会長の尾身茂氏が「第9波が始まった可能性がある。日本は高齢化が進んでおり、高齢者をどう守るかが大切だ」と記者団に語った。法務省が、裁判官や検察官、弁護士になるための司法試験を2026年の実施から紙に解答する現行の形式をパソコンでの受験に切り替えることに。

(6月26日)
 昼過ぎ、妹のアドバイスもあって滝高の恩師原定夫先生のご自宅へ。【泣かんとこ 伊神舞子俳句短歌遺稿集(人間社刊)】を中島滝学園校長の分も合わせ、2冊贈呈させて頂くと、とても喜んでくださった。そういえば、北上文学館や神奈川近代文学館には贈呈済みなのに地元図書館への贈呈をうっかり忘れていたことに気付き、きょうは午後1番で新装間もない江南市立図書館を訪れ、こちらも2冊寄贈させて頂いた。

 原先生の方へは妹の「原先生にも読んで頂かきゃあ」との突然のアドバイスに従ってお宅を伺い、滝学園の中島校長の分も合わせ、寄贈させて頂いたが、原先生ご夫妻に喜んでいただけ「とても、よかったな」と思っている。さすが、和代の頭は回転がよい。名古屋大の理学部数学科を卒業した異才だけのことはある。

 夕方。文芸中部、大阪文学学校、アジア文化社さんからポストに郵便物が入っていた。取り出すと、文芸中部123号はじめ、大阪文学学校からは全国同人雑誌協会総会大阪大会開催案内と同文校6~7月の公開講座日程、7月16~17日の夏季合宿in志摩などの案内入り公開講座など各種案内、そしてアジア文化社からは7月29日に迫った大阪で行われる第5回全国同人雑誌会議兼第2回全国同人雑誌協会総会の最終パンフレットが送られてきたのである。どれも、やる気と情熱が伝わってくる内容には、あらためて「文芸雑誌から新たな文芸潮流を」(五十嵐勉全国同人雑誌協会代表理事)の意気を感じたのである。

2023年6月25日
 日曜日。何より嬉しいニュースは世界三大バレエコンクールの一つである第12回ジャクソン国際バレエコンクールの授賞式が23日夜(日本時間24日午前)、米南部シシッピー州のジャクソンで開かれ、シニア女性部門の徳彩也子さん(21)=神戸市=、シニア男性部門の佐々木嶺さん(24)=大阪府東大阪市=がいずれも金賞を受賞したことか。日本人ふたりが同時に金賞を受賞するのは初めて。新聞も【ジャクソン国際バレエ 日本人初2人同時金賞 佐々木さんは親子2代】(25日付、中日朝刊)と、その栄誉をたたえている。

 そしてほかに感動したのは、同じ中日新聞生活面のくらしの作文【いつの間にか 樋口早苗(滋賀県彦根市=主婦・49歳)】といえようか。息子が4年間暮らした大阪の下宿先を引き払うにあたり、手続きのために電車で向かった母(樋口さん)の話だが、何でもない日常生活の断面とは言え、読むうち母の愛には涙が零れ落ちたのである。くらしの作文隣りの【家族のこと話そう 元五輪体操代表寺本明日香さん 競技生活支えてくれた母】もとてもよかった。
    ※    ※

 これは私の持論ではあるが、手練手管をくだしたまだまだ青い、若い作家たちの文(全部とは言わない。そうではない優れた作家たちも大勢いる、と付け加えたい)より、このように思うがままストレートに書かれた市井の方々の文の方が、はるかに人々の胸に迫りくるものがあるのである。
 事実をすなおにストレートに書く。私がいつも教本として手にする太宰治がそうである。嘘がなく、書いた文そのものが読む人の胸元をえぐってくる。第一、どの文にも愛がある。そうした文こそがスゴくて、うまいと言えるのではなかろうか。私自身も現在、まだまだ修行中の身ではあるが、書くに当たってはいつもそのように務めている。何よりも正直に心を込めて書く。この文も、である。

 さてさて。話は飛んでしまったが、ロシアの民間軍事会社ワグネルが24日までに南部ロストフ州にある軍の南部軍管区司令部を制圧し、首都モスクワに向けて北上を始め、首都南方リベツク州まで迫ったとのニュースには驚いた。この行動は、明らかにワグネル創設者ブリゴジン氏のプーチン大統領への武装反乱と見えなくもないが、その後ブリゴジン氏はベラルーシ大統領による仲介を受け入れ、モスクワへの進軍を止めた、とのニュースも伝わってきた。無用な戦争により、またまた犠牲者が増えるのかと心配していたが、やれやれである。つまらぬいさかいごとは止めるべきだと思う。

 ワグネルの武装反乱は各紙でも大きく報道された
 

 

 夜。NHK総合でNHKスペシャル【戦いそして死んでいく沖縄戦・米兵の肉声が新発掘・30時間の録音戦場・生と死のリアル】を見る。1万2500人の米軍死者に、死者が20万人以上に及んだ沖縄県民と日本兵。もう二度と戦争などという過ちは起こすべきでない。

2023年6月24日
 けさの中日新聞。7面の【風来語(かぜきたりてかたる) 万葉学者と地球 主筆小出宣昭】が、とてもいい。出だしは以下の通りである。
-万葉集の権威で「令和」の生みの親でもある中西進さんが、最近はやりの「持続可能性」なる言葉に痛烈なパンチをくらわしている(潮・五月号)。/地球は人間の生活に役立つ資源であり、どこまで、どのように利用・開発したらよいかを考える持続可能性。勝手に地球を壊すよりはいいが、今すでに痛ましい傷だらけの惑星になった地球に、持続可能性などと、いつまでも資源をむしばむことを当然だと思うことがおかしい。/「その欲望自体を恥じるべきなのに、人間は人類を自滅に追いやる欲望を捨てようとはしない」と断じ、いま必要なのは、欲望が生み出す膨大なムダを地球上からなくすことではないかと問い掛ける。電力のムダ、食料のムダ、衣類のムダ、身近なところから再考し、人間は人間らしく、他の生物とひとしい生態を取り戻そうという。/同感である。かつての日本はムダのなさでは優等生だった。……

 全くもってその通りだ、と思う。やはり小出さんならでは、だなと思った。

(6月23日)
 金曜日。沖縄慰霊の日だ。
 きょうは本来なら社交ダンスのレッスンの日であるが、いまなお若き、永遠のダンス教師〝ワカさん〟が膝の手術をされた関係でしばらくは残念ながら、手取り足取り? の高度なレッスンはお休みだ。というわけで、私は久しぶりに愛知県江南市自慢でもあるスイトピアタワーが立つ木曽川河畔へ。ここで清流を眼下に適当な場所を探し、ただひとり全身を大気に浸し動きながら〝アン、ドゥーッ、トゥアッ〟とイメージトレーニングに励んできた。時折、頬に気持ちよく吹いてくるかぜたち。そして木曽の流れを目の前にしてのレッスンだけに、力が入った。たつ江、舞がここに一緒に居てくれたのなら。もっと楽しいはす゜なのに。
 
 ただひとりイメージトレーニングに励んだ木曽川河畔。舞の好きな山野草が大空に向かってスックと立ち、私を応援してくれていた
 

 イメージトレーニングをしてみて。ワルツ、タンゴとも、これまで我ながら素人の私としては常日ごろ、いかに高度かつ優雅で複雑なダンスに挑んできたか、を思い知った。これも、ワカさんの温かい指導があればこそ、に違いない。歩みはのろくとも、後退だけはすることがないよう頑張ろうと改めて心に誓ったのである。きょうは、イメージトレーニングに先がけ、スイトピアタワー1階レストラン「翠江亭」に入り、〝ころきし(冷たいきしめん)〟なるものを食べたが、それはそれはおいしかった。エントランスホールに早々と七夕飾りが飾られていたので、私も【せかいがへいわになりますように いがみまいこ.ごんた】と書いた短冊を飾らせて頂いた。

 舞と一緒に短冊に世界平和の願いを込めさせていただいた
  

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 冒頭にも書いたが、きょうは沖縄慰霊の日である。この日がくると、わが妻たつ江、平和な世界の実現を、ただひたすらに願い続けた今は亡き伊神舞子の、あの笑顔を思い出す。千羽鶴を手にしてのヒロシマ行などあんなにも純粋に平和な社会実現にチャレンジし続けたおまえ、たつ江は一体今はどこにいるのか。どこへいっちまったのだ、と。沖縄慰霊の日だけに、木曽川河畔に居ても、そのことばかりを思う。

 そして今。私のデスク横のソファでは愛猫シロが黙って静かに座り、全てを知り尽くした表情で、亡きおかあさん、舞と一緒にラジオから流れ出てくる沖縄全戦没者追悼式での私立つくば開成国際高校(那覇市)3年平安名秋(へいあんなあき)さんの平和の詩「今、平和は問いかける」に静かに耳を傾けている。そう。おかあさんが生前いつも言っていた。「あのねえ。シロ、シロちゃんはね。何でも知っているのだから。平和の尊さもよ」と。あの舞のノドで鈴を鳴らしたような声までが聴こえてくるのである。

 おまえが生きていたころ。俺とおまえはまだまだ幼かったわが子を伴い、夏休みなどに沖縄糸満市の摩文仁の丘の【平和の礎(いしじ)】はじめ、玉砕のあったサイパン、広島同様、原爆を投下された長崎にも行った。〝ニッポン、ばんざい〟〝おかあさん さようなら〟と叫びながら断崖絶壁から大海原に飛び込んでいった多くの日本兵の痕跡が残るサイパンのバンザイ岬。あの時の胸をしめつけられるような気持ちは今なお忘れられない。最近では、おまえ自らが営むリサイクルショップ「ミヌエット」のお客さんたちにも協力をお願いして用意した千羽鶴を手に、ふたりで広島にも行ったりしたよな。

 あ~、それなのに、だ。おまえがこの世を去ったあとになり、思ってもいなかったウクライナへのロシアの侵攻が始まり、人間たちは今もスーダンなど世界中で愚かなる戦争を続けている。そして。おまえは、そのウクライナとロシアの戦争を知らない。なんだか、悲しい話になってしまったが。この世から戦争がなくなることを、シロも含め、みんなで祈ろう。「シロ。シロちゃんはねえ。何でも知っているよ」のおまえ、舞の言葉どおり、彼女はホントに何でも知っている。そして。私はいま、こうしてシロを傍らに亡き妻たつ江、舞と共にあらためて戦争のない平和な世界を願うのである。おそらく世界中で大半の人々が同じように平和な社会実現を願い続けているに違いない。

 毎日新聞の朝刊小説【青嵐の旅人(天童荒太)】と【兎は薄氷に駆ける(貴志祐介)】がとても読みごたえがある。何よりも取材がしっかりしており、物語の展開に客観性があり、わかりやすい。また、これら新聞小説とは別に、【生成AI使い試験 不適切 文科省原案小中高向け指針】(23日付毎日朝刊)【生成AI 試験使用ダメ 討論に参考利用は有効 文科省学校指針原案】(23日付中日朝刊)の見出しには私自身も納得した。
 ほかにも【認知症不明者10年で倍増 22年まとめ最多更新1万8709人】【認知症新薬の承認 日本9月末見込み ユーザイ開発「レカネマブ」】【日本人男女2人入賞 米ジャクソン国際バレエ】【草むらに6歳児遺体 祖母監禁容疑、家族4人逮捕 神戸】(23日付中日朝刊)【「マイナ信頼一日も早く回復」 総務相 自治体支援へ会合朝刊】(23日付毎日)など。毎日毎日、この世はよいことや悪いことが次々と起きる。いやいや、悪いことばかりか。

(6月22日)
 きのうとは打って変わり、朝から雨、雨、雨の1日(でも、午後には止んだ)。というわけで、さすがのシロも午前中は私の部屋で傍らのソファに座ったまま。何だかつまらなさそうにしてはいたが、午後には思うところがあってか、家屋内をノッシノッシと、ライオン歩きであるき回る。彼女は、何を思って歩いているのかと思うと、何やらなぞめいて面白い。いや、気になる。
 
 シロはきょうも何かを考え生きている
 

 元経済同友会代表幹事だったウシオ電機創業者の牛尾治朗(うしお・じろう)さんが13日午前2時55分、誤嚥性肺炎のため死去。92歳だった。兵庫県出身。葬儀、告別式は近親者のみですませ、後日お別れの会を行う予定だという。牛尾さんに限らず、この世は、みんな生まれて去ってゆく。寂しく残念ではあるが。仕方ないとはこのことか。
 それはそうと、報道によれば、1912年に大西洋で沈没した英豪華客船タイタニック号の残骸を見る観光ツアー中、行方不明になった潜水艇の捜索で米沿岸警備隊の幹部が21日に記者会見。カナダの哨戒機が前日に続き21日も海中の音を感知。海中探査機を投入しているが音の正体は不明だ、としている。
 潜水艇内の酸素が切れるとみられる22日朝(日本時間22日夕)が迫っており、現地では航空機と船舶による創作活動続いているという。沿岸警備隊幹部によれば、酸素切れ以外にも「考慮すべき多くの要素がある」としており、救出活動の中断を検討する段階ではない、と強調。ただ記者会見に同席した海洋学者は、感知された音に関して「人為的に聞こえても、他の生物が出した音の可能性がある」としているという。

 ほかに22日付中日夕刊には【中国で飲食店爆発 31人死亡、7人けが】【パリで爆発 37人が負傷 ガス漏れか】の見出し。いろいろある。

(6月21日)
 障害者手帳のひも付けミスやカード自体を別人に交付してしまう-など。マイナンバーを巡るトラブルが相次いでいる。こうしたなか、テニスの全仏オープン車いすの部男子シングルスで4大大会史上最年少優勝を果たした愛知県一宮市出身の小田凱人選手(17)=東海理化=が20日帰国、東京都内で記者会見に臨み「世界ランキング1位の小田です」と切り出したのは、まことにうれしく痛快であった。こんごの奮闘努力栄光に期待したい。

 午後零時40分過ぎ。いつもなら正午過ぎに帰宅するはずのシロちゃんが、まだ帰ってこない。心配である。時間になればキチッと帰ってくるはずの彼女の身に何かあったのだろうか。大丈夫なら、よいのだが。一体全体、どこへ行ってしまったのか。ここは、しばらく待つしかあるまい。
 1時間に及ぶ大捜索の結果、家の周囲にいた彼女、シロちゃんを無事、発見。私にとって、もはやシロがいない人生はありえないことを痛感。ハラハラドキドキのいっときは、こうして無事終わった。それにしても、シロのいない人生は「たつ江がいない」のと同じで、もはや考えられないことを痛いほど知ったのである。シロちゃん。帰ってきてくれてありがとう。
 買い物から帰った時はシロ、家の中にいたけれど。外の工事の大驚音が気になるのか、それからしばらくすると彼女は、またしても室内から姿を消し、居なくなってしまった。部屋のあちこち、心当たりを探して歩くも午後4時現在、シロの居場所は不明のままである。シロが居なければ、もはや生きていても仕方あるまい。
 彼女はその後、私が入浴を終えたところで、2階から階下にトントントンと足音を立てて何食わぬ顔で下りてきたのである。それにしても、一体全体どこに姿をくらましていたのか。それは不明である。

 この先、シロを妖怪ふんがもちゃん、と呼ぶことにしよう。

(6月20日)
 世界難民の日。
 だからなのだろう。【難民のために、難民とともに WithYou 活動報告・ニュースレター在中】なるものが国連UNHCR協会から私あてに届いた。中身を開くと、▽特集ポーランド視察レポート ウクライナからの難民に聞く「戦争が始まったなんて、信じられませんでした」▽報告トルコ・シリア大地震 UNHCRの緊急対応――という内容だった。

 国連UNHCR協会から私あてに届いた活動報告のニュースレター
 

 火曜日。今日も暑い1日である。
 午前中、眼医者さんへ。帰宅したところへ、これより先に散歩に出ていたシロも帰宅。それにしても暑い1日だ。朝。久しぶりに知人女性・よな船女さんからスマホにラインが届く。開くと。朝日新聞購読されているなら、お読み下さい、とあるではないか。一体全体何ごとか、と目を走らせると「文化欄で息子の担当記事の連載が始まりました。私の自慢話と取らないで、朝日新聞の宣伝も兼ねて。--」とあった。
 そこで。古くからの朝日の購読者である舞のお兄さんに電話したら彼曰く「あぁ、いいですよ」と。というわけで、紙面をわが家のポストに入れて下さって、その記事をしばらくの間、読ませて頂くことにしたのである。それにしても、母のわが子を思う気持ち、母の愛には凄まじいものがあるな、とあらためて感動した次第。
 そして。メールには、こうも書かれていたのである。
「伊神さん、本当に息子の取材記事から、橋爪功さんがその様に浮き彫りになって描かれていれば、橋爪さんも息子も嬉しいことと思います。 井上昭子」と。なんと素晴らしい母親。おかあさんなのであろう。

 中国の習近平国家主席が19日、プリンケン米国務長官と北京で会談。米中の緊張が高まるなか、衝突回避に向けた対話ルートの構築について意見交換した。プリンケン氏は習氏との首脳会談に意欲的なバイデン大統領の意向も伝えたが、緊張緩和に向けた一歩になれば良いのだが。

2023年6月19日
 きょうは、作家太宰治の命日。桜桃忌(おうとうき)。愛人の山崎富江と玉川上水に入水した彼の遺体が発見された日である。私は朝、かわいく美しかった妻たつ江(伊神舞子)の遺影に手を合わせ、山形県産の〝ちいさな恋人〟サクランボを食膳に供え、ともに何と言うでもなく、ただ黙って〝ちいさな恋人〟たちを、ひと粒ひと粒、味わうように食したのである。
 ひと粒づつ口に含むうち昨日の酔いが瞬時にして覚めていく、そんなおいしさであった。彼女も、このさわやかなおいしさには満足しているに違いない。

 舞とふたりで食したサクランボ。彼女は、私と同じでサクランボが大好きであった
 

    ※    ※

    ☆    ☆ 
 18日正午ごろ、北海道の八雲町野田生の国道5号で乗客15人を乗せた札幌発函館行きの高速バスとトラックが正面衝突。この事故でバスに乗っていた乗客3人(男性1人、女性2人)と双方の運転手2人の計5人が死亡。残る乗客12人も病院に運ばれ、うち11人が軽いけがをしたという。
 八雲といえば、尾張徳川家の藩士たちが北海道に出向いて開拓した町で知られる。名古屋の尾張徳川家の橋渡しで愛知県小牧市の児童との小学生交流が続いていた北の町である。この小学生交流は、確か私が小牧通信局在任時に始まったと記憶している。
 私自身、かつて通信局在職中に【トコタン冬物語】の作曲者であるふるさと音楽家牧すすむさん(現在は、琴伝流大正琴弦洲会の会主。詩人でウエブ文学同人誌「熱砂」同人)と、北海道にまで渡り、牧さんの奏でるギターの調べに合わせて現地八雲小の児童たちと【トコタン冬物語】を一緒に歌ってきたことがある思い出の町でもある。その町で高速バスとトラックの衝突事故が起きた。胸が痛い。

 インドネシアを訪問中の天皇陛下は18日、日本の支援で整備されたジャカルタ都市高速道(MRT)の車両基地を視察された。皇后さまは19日にある歓迎行事などに向けて体調を整えるため同行を見送られた。小説「御宿(おんやど)かわせみ」シリーズやテレビドラマ「肝っ玉かあさん」の脚本などで知られ、文化勲章受章作家でも知られる作家で脚本家の平岩弓枝さんが9日午前4時ころ、間質性肺炎のため都内の病院で死去。91歳だった。

 米大リーグエンゼルスの大谷が敵地(カンザスシティー)でのロイヤルズ戦に「2番・指名打者」で出場。メジャー通算150本塁打となる23号ソロを放つなど4打数1安打2打点だった。トップに立つア・リーグの本塁打王争いで2位のジャッジ(ヤンキース)に4本差をつけ、今季56打点は両リーグで1位タイ。連続試合安打を14に伸ばした(チームは9-10でサヨナラ負け)。ヤンキースなどで活躍した松井秀喜さんは17日、メジャーで日本選手初の本塁打王に向けてトップに立つ大谷について「もはや、大谷選手が何をしても誰も驚かなくなった。それが彼の存在だ」と称賛。打撃だけでなく、投手との「二刀流」で活躍する大谷を「自分たちの時代にはありえない。想像できないくらいすごいことをしている」とも述べた。

(6月18日)
 日曜日。
 きょうは、東京での日本ペンクラブ本年度総会と懇親会の方の出席を止めて地元の江南市内の滝教育研究所と和食の店「むさし家」であった母校(滝高校)の【クラス会「二石会」と滝学園の思い出の集い】に出席。懐かしいクラスメート、そして恩師と再会し、旧交を温めた。ただ、すぐに調子に乗るオッチョコチョイの性格が災いして久しぶりに、少しのみ過ぎて疲れたことも事実である。

 滝教育研究所では最初に滝学園の中島政彦学園長から2026年に創立100周年を迎える学園の現況と将来、ことし8月に完成予定であるICTホール付き「100周年記念館」の内容、さらには探求学習として【滝学】なるユニークな試みも定着させたいーなどといった講話があり、皆真剣な表情で聴き入った。引き続き、研究所の施設を見学がてら、近くの和食店「むさし家」へ。ここに場所を移し、恩師である原定夫先生(86)も囲んでの懇親の集いとなったのである(ただし高校時代の担任二村先生と石田先生は既に他界。「二石会」の名は、二村先生と石田先生の頭文字を取って、こうなったいきさつがある)。

「むさし家」では「二石会」の須賀藤隆会長のあいさつに続き、前任会長で「二石会」顧問の私が【かつて樹齢千五百年を超す根尾の淡墨桜の保存に情熱を注いだ作家の宇野千代さんから言われたことがあります。「いがみさん。あのね。人も自然も老いれば老いるほど美しくなってゆくのよ。まだお若いあなたには、まだわからないかもしれないけれど。きっとわかる日がきます」と。それで今になってやっと彼女のおっしゃられたあの時のことばが分かる気がするのです。皆さん! これからますます美しくなりましょう。そして滝学園、二石会は、永遠なりです。みなさんの健康としあわせを願ってカンパーイ】と乾杯の音頭を取り、懇親に入った。懇親の宴では、最初に恩師のひとり、原先生から在職当時の教壇秘話などを聞き、続いてかつてのクラスメート、すなわち、あのころ若かった<高校三年生>が次々と登壇、互いに思い出を語るなどして旧交を温めたのである。
 懇親の合間には、そつのない田島正廣副会長の好リードで、私も含め、リレー方式の思い出話の披露が続いた。「二石会」会員が高校三年生の時は、地元一宮出身歌手の舟木一夫さんの<高校三年生>が大ヒット。当時、校内で行われていた「高校三年生」の映画ロケを黒帯の柔道着姿で見ていた話(私の場合)など、思い思いにあの日あの時の懐かしい風景が蘇り、思い出話しがポンポン飛び出し、座は大いになごみ、盛り上がった。
 私は笑顔に弾けるクラスメートを目の前に、時がたつに従い、あのころ青春時代の顔と顔が大きく目の前に浮かび上がり、ドキリとしたりしたのであった。最後にみんなで高校三年生と校歌を歌い、楽しいひとときはあっという間に過ぎ去ったのである。

 以下は二石会による滝学園思い出のつどいの写真特集

 中島政彦校長(学園長)の話しにみんなで耳を傾けた
  

 まるで授業を受けてるみたい
 

 みんな若くなった。まだまだ魅力いっぱいである

 久しぶりの教え子を前に、当時を回想する原先生

 教え子に囲まれ満面笑みの〝原先生〟
 

 中島先生の話にフムフムと聴き入る須賀「二石会」会長(右から2人目)ら

 会場は、かつてのホームルームのような空気に包まれた(「むさし家」にて)
 

2023年6月17日
 土曜日。右腕の投手としてプロ野球中日ドラゴンズの初優勝と日本一に貢献した【フォークボールの神さま】、すなわち杉下茂(すぎした・しげる)さんが12日、間質性肺炎で都内の病院で死去。東京都出身。97歳だった。杉下さんは太平洋戦争から復員後、明治大から1949年に中日ドラゴンズに入団。1年目に8勝、翌年には27勝するなどエースとして活躍。1954年には当時、日本では誰も投げていなかったフォークボールを武器に32勝12敗。球団初のセ・リーグ優勝の原動力に。西鉄(現西武)との日本シリーズでは3勝(1救援)してチームを日本一に導き、最高殊勲選手(現最優秀選手=MVP)にも選ばれた。1955年には川崎球場での国鉄(現ヤクルト)戦で、無安打無得点試合を達成。プロ通算215勝123敗。防御率2・23で沢村賞を3度獲得。1985年には野球殿堂入りしている。偉大な投手とは、まさに杉下さんのことを言うといってよいだろう。私自身、杉下さんとはかつて、ドラゴンズの沖縄春季キャンプで臨時コーチを務められていた際、当時、ドラゴンズ公式ファンクラブの会報編集担当としてお話ししたことが数回あるが、いつお話しをしても、どこまでも温かみのある、やさしさのにじみ出た人柄には私自身、多くを学ばせて頂いた。

 往年の杉下投手の悲報を報じた中日スポーツなど
 
 
 そして。今月16日には、もうひとりの勇者といっていいプロ野球広島のエースとして黄金期を築き、通算213勝を挙げた北別府学(きたべっぷ・まなぶ)さんも広島市内の病院で死去。65歳だった。鹿児島県出身。北別府さんは1979年にチーム最多の17勝を挙げ、球団初の日本一に貢献。82年には20勝で最多勝と沢村賞に輝き、この年の開幕戦からの11連勝は2020年に菅野智之(巨人)に破られるまでセ・リーグ記録。1986年にも最多勝と最優秀防御率で2度目の沢村賞と初のリーグ最優秀選手に選ばれた。2012年に野球殿堂入り。通算515試合登板で213勝141敗5セーブ。防御率は3・67だった。

(6月16日)
 金曜日である。午後。週に一回の社交ダンスのレッスンでいつものように一宮スポーツ文化センターへ。現在、教えて頂いているタンゴとワルツのレッスンに仲間と共に励んだ。若原先生は、ひざの手術でこの先しばらくは休みとなる。それだけに誰もがその分、熱心に励んだ。
 私が社交ダンスと出会ったのは、10年ほど前。地球一周のピースボートに乗船した時で彼女は、そのピースボート船内の先生同様、教え方がとても丁寧で上手なのでここまで続けてこられたのかもしれない。それと、今は亡き妻たつ江(伊神舞子)の「社交ダンスだけは、いつまでも続けてよね」の貴重な言葉があったからかもしれない。これからしばらく先生が退院されるまでは、あまり無理することなく木曽川河畔かどこか、気に入った場所に出向いてのイメージトレーニングなどで技能が落ちることのないように、と思っている。せっかく、ここまできただけに、この先も上達しなければ-とわたくしは思っている。

 このところ執筆を続けてきた文士刮目の26回目を「脱原発社会をめざす文学者の会」の編集担当者あてに出稿。来月上旬には公開される。今回は、テーマを過去の事件に絞り込んだためもあってか。少し書くのに手間取り、ここ数日というものは連日、書き直し、書き直しの難行苦行の執筆が深夜未明にまで及んだ。

(6月15日)
 きょうは、たつ江、すなわち伊神舞子の月命日だ。
 三重県熊野市の中田重顕さんから『「泣かんとこ」ご恵送いただき有り難うございました。奥様、伊神舞子さまがどれだけ素晴らしい方か俳句短歌で十分認識されます。写真の風貌も知性がにじみでていて、美しい。そして、素晴らしい夫婦愛。羨ましくも思います。早世されたことは痛恨でしょうが、深い愛に結ばれているのにはかわりないでしょう。反戦平和への思いもつよく、立派な文学に昇華されている詩歌だと思います。有り難うございました。』といった温かさに満ちた返信メールが送られてきた。メールの内容は、さっそく舞の仏前に報告。中田さん、本当にありがとうございました。これからも、舞ともども、くれぐれもよろしくお願いいたします。
    ※    ※

    ☆    ☆
 発がん性が指摘される有機フッ素化合物(PFAS)による水の汚染が全国で相次ぐ。人の血液からも検出され、住民の不安は切実だ。国や自治体は汚染源特定や拡散防止策を急がねばならない。/PFASは数千種類の化合物の総称で、調理用品や半導体製造などに幅広く利用されてきた。長期間分解されず「永遠の化学物質」とも呼ばれる。人体に蓄積した場合、がんや子どもの発育阻害などとの関連が指摘されている。/国際条約による規制が始まった二〇〇九年以降、日本でも製造廃止や在庫の監視が進むが、それ以前に土壌や地下水を通じて汚染が広がっていたと考えられる。………
 上記のような文が本日付の中日新聞社説【PFAS汚染 住民の不安に応えよ】に書かれていた。この社説を読み、心した読者が多くいたに違いない。

 そして。それから。けさの紙面はやはり、【陸自で発砲2人死亡 18歳自衛官候補生逮捕 訓練中叱られ教官狙う? 殺人未遂容疑 岐阜の射撃場1人負傷】(中日)といったものだった。ほかには、【トランプ氏出廷 無罪主張 機密持ち出しなど37件】【生成AⅠ明示義務づけ 欧州議会規制法案を採択】(毎日)といったものだった。

2023年6月14日
 けさは、不燃物処理場の立ち番。わが妻たつ江(伊神舞子)が健在のころは、ずっと彼女に任せていた地域社会での責務で、彼女がこの世に存在しなくなってからは当然ながら私、わたくしが地域奉仕の一端として立っている。きょうは、たつ江が大変お世話になった80歳を超える荒木さん(詳しい年齢は、知らない)との名コンビだったが「いがみさん。あなたの奥さん。まいこさん。俳句、本当にようがんばりゃあたな。お店(リサイクルショップ「ミヌエット」=今は姿もない)にもよう行ったよ。それはそうと。あんた、いがみさん。ちょっと肥えたんじゃないの」と言われ、その声と入れ替わるように「荒木さん。言わんといて、ね。この人、なんでもだけれど。すぐに、もの凄く気にするひとなの。ナルシストも甚だしい人なのだから」と傍らで何度もダメ、ダメ、ダメだってば-と手を振るあのたつ江の甘ったるい声が聴こえてきたのである。

「あんた。そうだわな。奥さん、いりゃ~あたころ。もっと頬が細身でかっこくて精悍だったもの。やっぱあ、あのころは奥さんの看病で大変だったんだよね。いまは、よう肥えてりゃあ~すな」と荒木さんは、幻のたつ江の静止など意にも止めず、ずけずけと容赦がない。私の気持ちなどには関係なく「ところで。あんた。このごろ、よお肥えやあ~たよ。いいじゃないの瘠せとるよりは。奥さんも喜びゃ~すよ」と続けたのてある。そうは言っても、荒木さんご自身は美人でとってもいいお方である。

 住民の住民の手による住民のための不燃物処理場。江南市は環境面での分別がなかなか徹底
 してきた
 

 立ち番の当番から帰ると、シロちゃんが、それこそ心配そうな顔をして玄関先まで飛び出てきてくれたのである。私は荒木さんに家に寄ってもらい、息子が父の日の贈り物として私にいち早く送ってきてくれたお菓子をおすそ分けして、別れたのである。そして。私は互いに「お疲れさん」と言いながら、舞のことが思い出され、らしくもなく、思わず、涙ぐんだ。舞が横にいたら、こういうに違いない。「あのねえ。何を、いつまでも泣いとるの。あなたは、ほんとに弱っちい人なのだから。あなたは昔から弱い人よね。そんなことで。よく新聞記者やってこれたわね」と。さらにこう付け加えるかもしれない。
「それでは生きていけないわよ。これから生きていけるの。しっかりしてよ」と。

 岐阜市の陸上自衛隊・日野基本射撃場で本日午前9時15分ごろ、自動小銃が乱射され、男性自衛隊員3人のうち2人が死亡。殺人未遂の疑いで18歳の自衛隊員が逮捕された。日野基本射撃場は陸上自衛隊第10師団が管理しており、敷地面積は約66000平方㍍に及んでいる。

(6月13日)
 1948年6月13日。きょうは私が愛する太宰治が遺書を残し、山崎富江と雨の玉川上水に入水自殺した、まさにその日である。遺体が発見された19日は桜桃忌であるが、私もつい先日、舞が好きだったサクランボを彼女の遺影の前に供え、一緒に食べた。生前の舞は、サクランボが本当に好きだった。それと、わたくしには、この日が訪れると決まって故人太田静子さん(歌人)のことがなぜか深く偲ばれて仕方がないのである。
 舞は生前、太宰治と聞けば、静子さんのことに執着、歌人でもあった彼女のことをとても好きなやうであった。そんな舞とは、もっともっと話をしておけば良かったのに、と。今になって後悔している私である。後の祭りとは、このことかもしれない。これでは、世紀の遺書をおまえに残して死ぬわけにもいかない。いっそ、空にでも、遺書を残して死のうか。

 毎日新聞朝刊の連載小説【青嵐の旅人】(天童荒太)と【兎は薄氷に駆ける】(貴志祐介)は、迫力ある展開でとてもよい。日々の取材、そして構想と展開、歴史観、着眼点がしっかりしており、文の基本が出来ているためで、私自身とても参考になっている。第一、読者にわかりやすく、かつ読みやすい。
 それから。新聞と言えば、だ。6月11日付中日新聞のサンデー版大図解NO1615に目を通す。今回は【生誕100年 司馬遼太郎さんの世界】でなかなか読みごたえのある紙面だった。次回は【子どもの貧困はいま】で、世界的課題だけに、どんな紙面展開となるのか。今から楽しみだ。サンデー版は、かつて現役時代に特報面とともに両方のデスク長もしていただけに、どうしても気になる紙面ではある。
 それはそうと私が在任時に社に提唱して始まり多くの読書から親しまれてきた【300文字小説】が、最近紙面から消えてしまったことは、少し残念だ。300字に思いを託して書く。とても良いことだ、と私は今でもそう思っている。読者の間でも評判の<良い紙面>だった。のに、である。時の流れとともに全ては無情にも消えゆく運命にあるのか。

 それはそうと、先日、「悪名の女」(『文宴』137号)で第36回中部ペンクラブの文学賞に輝いた中田重顕さん(三重県熊野市)。彼にお願いしておいた【私の好きな女性】(バク書房)が最新の著書【熊野びとの戦記】(バク書房)と一緒に昨日送られてきたので、さっそく本日、宅急便のヤマト運輸に行き、お礼に【泣かんとこ 伊神舞子俳句短歌遺稿集】2冊を送らせて頂いた。中田さんから届いた本2冊には手紙が添えられ、「お代はいりません。」とあったが、わたくしから所望した本でもあり「そんなわけにはいかない」からである。重顕さん、心からありがとうございました――と本紙「一匹文士」紙上であらためて礼を言いたい。

 中田さんから届いた「私の好きな女性」と「熊野びとの戦記」
 

    ※    ※

    ☆    ☆
 元自民党参議院議員会長だった青木幹雄(あおき・みきお)さんが11日、老衰のため死去。89歳だった。お別れの会は後日、島根県内で予定しているという。青木さんは、小渕第2次改造内閣や第一次森内閣の官房長官を務めたことがある。

(6月12日)
 わけあって、太宰治の文庫本【斜陽】(角川文庫)をデスク傍らに置いて書いている。

 「斜陽」はことあるごとに開いている
 

 きょうは、先日あった中部ペンクラブの総会の席で久しぶりにお会いした三重県熊野市在住の作家中田重顕さんにお願いしておいた「私の好きな女性」が届き、執筆の合間にさっそく読み始めた。なかでも連合赤軍の永田洋子となると、あさま山荘で逮捕され、長野中央署に鬼の形相でしょっ引かれてきた、その瞬間をこの目で直接見ていただけに、彼女のことがどう書かれているのか。大いに気になるところである。

 けさは新聞休刊日で新聞がこないので少し物足りない日ではあったが、夕刊を開き、【戦禍の記憶89歳映像紡ぐ 四日市空襲18日で78年 アマチュア制作家「同じ思いしないように」】【<特報>折り鶴「世界の記憶」へ祈り 佐々木禎子さん兄ら申請準備 戦後80年の登録目指す】(12日付中日夕刊)の見出しには、不思議なもので、なぜか安心したのである。
 そして。それとは別にきょうは、わが身の定期検査で名鉄金山駅近くの金山ペインクリニックへ。久しぶりに血液採取(右手)もして頂いたが、帰りに金山駅構内の飲食店でアユの塩焼きを食べたが、これがまた、とても美味しかった。

2023年6月11日
 日曜日。
 核を含む国防機密の違法所持など米連邦大陪審が起訴したトランプ氏の罪状37件はじめ、車いすテニスの4大大会で17歳の小田凱人(おだときと。東海理化、愛知県一宮市出身)が全仏オープンのシングルス決勝で世界ランキング1位のアルフィー・ヒューエット(英国)を破り、同種目の4大大会史上最年少の優勝を果たすなど。きょうの新聞紙面もアレコレとにぎやかである。
 なかでも中日新聞社説の【週のはじめに考える「狂気の再来」101歳の警鐘 自由奪った治安維持法 最後の生き証人として】と【老雄グスマン氏、再び こう見る 東ティモールの新首相 論説委員小野木昌弘】は、どちらも読み応えがあり、とてもよかった。体験に基づいた生きた記事とは、こういうものを言うのだろう。

 それから。ほかに世界のニュースといえばだ。 
 英国のジョンソン元首相が9日、下院議員を辞職。元首相は、首相官邸で新型コロナウイルス規制違反のパーティーが繰り返された問題で議会に虚偽の答弁をした疑いで調査を受けており、近く議員停職の厳しい勧告が出る見通しだったという。
 そして。いまひとつは、コロンビア南部のアマゾンのジャングルで5月1日に小型飛行機が墜落、行方不明となっていた子ども4人が9日、約40日ぶりに発見された。現地メディアによれば、無事、生還した子どもは13歳、9歳、4歳、ひとつのきょうだい。小型機には他に操縦士や4人の子の母親(33)ら大人3人も乗っていたが、5月16日に死亡が確認されている。事故発生当時、操縦士はエンジンが故障したとして管制塔に緊急事態を伝えていた。アマゾンに40日間いた子ども4人を発見した時の軍の報告は「奇跡、奇跡、奇跡だ」というものでペトロ大統領も「国にとっての喜びだ」とツイッターに投稿したという。
    ☆    ☆

    ※    ※
 きょうは朝から雨模様である。デ、シロちゃん、オーロラレインボーは、朝から室内でずっと私と一緒である。彼女は、座ったままでいるが何を考えているのだろうか。やはり、たつ江すなわち、おかあさんのことに違いない。と思っていたら、長男夫妻から早々と「おとうさん ありがとう」と書かれた名菓が送られてきた。わが子たちとはいえ、有難き幸せとは、このことか。そういえば、こんどの日曜日は〝父の日〟である。

(6月10日)
 時の記念日。日曜日。この日がくると、舞のお店でゴーン、ゴーンと時を刻んでいたあの柱時計が目の前に浮かぶ。舞が営んでいたリサイクルショップ「ミヌエット」の店内には、いつだって、風流な格式ある柱時計が掲げられていた。毎日、一度はちいさな椅子を足台代わりに背伸びをして柱時計のネジを回すのが彼女の務めだったが、ネジを巻く舞の表情は、とても生き生きと楽しそうで満足そうだった。時には危なっかしくて見かねた私が代わりにネジ巻きをしたこともあったが、なぜかふたりが交替で〝ままごと遊び〟でもしているようで、本当に楽しかった。
 あのときの舞の笑顔は忘れられない。ほんとに、いつまでたっても可愛かった。

 高校時代のクラスメートで同窓会「二石会」会長である須賀藤隆くんと今月18日に迫った『二石会と滝学園思い出の集い』(場所は滝教育研究所、寿司と和食の「むさし家」)の進め方につき、電話であれやこれやと話し合う。
    ※    ※

    ☆    ☆
 日本将棋連盟が9日開いた棋士総会と理事会で佐藤康光会長(53)の後任に羽生善治九段(52)を選出。任期は2年。羽生新会長は記者会見で「諸先輩が約100年の歴史を紡いでこられた。その伝統を次の世代につなげていけるように力を尽くしたい。最近、藤井聡太さん(名人)の活躍もあり、将棋界に注目が集まっている。若い世代に将棋の奥深さなどを伝えていけたらいいなと思う」などと語った。同連盟は来年創立100周年を迎え、東京都渋谷区のJR千駄ヶ谷駅前と大阪府高槻市の2カ所に将棋会館を移転・新設するという。

 外国人の収容・送還のルールを見直す改正入管難民法が9日、参院本会議で自民、公明、日本維新の会、国民民主各党などの賛成多数で可決、成立。難民申請中の強制送還停止を原則2回に制限する。米国の連邦大陪審がトランプ前米大統領が大量の機密文書を持ち出していた問題でスパイ防止法違反などの罪でトランプ氏を起訴、連邦法違反で大統領経験者が起訴されるのは初めて。

(6月9日)
 昨夜の雨もあがり、気持ち良い朝。シロはいつものように、お外へ。わが家のちいさな裏庭でまず、先代猫ちゃんたち(てまり、こすも・ここ、神猫シロ)三匹の猫塚へ。ここでクンクンとやってお参りをしたあと、安心したようにいずこかに、と出かけ姿をくらまし昼過ぎ、定時にはいつもどおり帰ってきた。
 
 先輩猫の猫塚周辺を見て回るシロちゃん、オーロラレインボー
 

 【軽井沢・バス転落 運航会社社長ら実刑 長野地裁「事故予見できた」 「運転手の経験不足認識」】【「反省したのか」疑問晴れず 秋葉原殺傷15年 重症負った男性語る】【池田小事件22年で追悼 教訓語り継ぎ 安全な社会に】【同性婚認めず「違憲状態」 福岡地裁判決 国会に不利益解消促す】(いずれも中日新聞9日付見出し)など。この世の中は、毎日毎日が過去の事件を振り返っての日々でもある。

 そんななか、天皇、皇后両陛下が本日6月9日で結婚30年を迎えられた、との話題は私たち国民にとっても、とてもうれしい話だといってよい。両陛下は「今後とも国民の幸せを願い、ふたりで協力し務めを果たしていきたい」と各マスコミを通じて語っておられるが、おふたりにはこれからも「お健やかに」と願う。きょうは、滝高クラスメートで現「二石会」会長の須賀藤隆くんから18日に迫った【二石会と滝学園の思い出の集い(場所は、滝教育研究所と和食料理の「むさし家)】の件で電話が入る。

 ほかにお風呂を沸かしたり、友や知人らから届いたメールに返信するなど午前中は、相も変わらずバタバタしたが、午後はいつものようにシロちゃん(オーロラレインボー)に留守を頼み一宮スポーツ文化センターへ。社交ダンスのレッスンのためで、いつものように「これでもか」とタンゴ、ワルツの順にレッスンに打ち込んだ。

(6月8日)
 本日付の日本経済新聞夕刊1面の【生成AI知財保護シール 文書や画像違反事例を明示 政府方針 適正活用促す】【NY(ニューヨーク)赤くかすむ空 カナダ山火事の煙流入】【ダム決壊調査委を提案 トルコ大統領 ロシア・ウクライナに】は、どれも今世界が抱える重要案件ばかりだ。それだけに、おろそかにするわけにはいかない。なかでもカナダ東部で続く森林火災の影響で米国の東部ニューヨーク市などが深刻な大気汚染に見舞われている-とのニュースには驚かされた。

 将棋の第三十四期女流王位戦五番勝負(中日新聞社など主催)の第四局が7日、徳島市のJRホテル「クレメント徳島」で指され、午後6時52分、先手番の里見香奈女流王位(31)=白玲、清麗、女流王座、倉敷藤花=が百二十一手で伊藤沙恵女流四段(29)を破り、対戦成績三勝一敗で5連覇を達成、通算9期目の女流王位を獲得。河野太郎デジタル相が7日、記者会見。マイナンバーと公的給付金の受取口座をひも付ける際、本人ではなく家族や同居人らの名義の口座を登録したとみられるケースが約13万件あったとの点検結果を発表。全くの他人の口座がご登録された可能性が高い事案も748件確認された、という。何と言うことか、と啞然としてしまう。「安心して公金受取口座の登録をしてもらい、迅速かつ確実な給付ができるよう信頼の確保に取り組む」というが、だ。それにしても【マイナに家族口座13万件 他人ご登録は748件】とは、お粗末である。

 ウクライナ南部へルソン州にあるカホフカ水力発電所のダムが今月6日に決壊した問題で、国連安全保障理事会が6日(日本時間7日午前)、緊急会合を開催。ロシアとウクライナ双方が相手側の攻撃だと主張するなか、国連人道問題担当のグリフィス事務次長は、今回決壊につき「ロシアのウクライナ侵攻が始まって以降、民間インフラの最も重大な被害のひとつだ」とし、下流地域で暮らす少なくとも1万6000人に飲料水や医療などの緊急支援が必要だ-と述べた。いやはや、日本も世界もあれやこれやと事故、事件が多発している。

(6月7日)
 晴れ。シロ、すなわち全身、真っ白なオーロラレインボーちゃん。生前のお母さんにつけてもらったハートつき青い首輪姿で、主人である私とユーチューブでお母さんが好きだった【エーデルワイス】と【みかんの花咲く丘】を聴いたあと、午前10時前、快晴の空の下、お外に出かけた。きょうは何を思って出かけたのだろう。くれぐれも気をつけて、ね。おかあさんに会ったら「みんな元気でいるから。心配しないでよネ」と言っておいてね(シロは、その後、定時どおり午後零時過ぎに無事、帰ってきた)。

 けさも新聞を開くと、【新マイナーカード26年にも トラブル多発「万全の対策」 政府重点計画案 記載情報見直し検討】【家族口座登録2月に把握 デジタル庁情報共有せず】に始まり、【露占領下のダム爆破 ウクライナ発表 原発に冷却水供給】(いずれも毎日見出しから)…とマイナーカード、ウクライナに関する情報が多い。それにしてもマイナーカードのトラブル続発を受け、政府のデジタル社会推進会議はセキュリティー機能を高めた新しいマイナンバーカードを2026年にも導入する-というが、本当に大丈夫か。信用してよいものか、と心配になってくる。

2023年6月5日
 月曜日。昨夜は、久しぶりに名古屋に出かけ、帰ってからもあれこれと思案熟考しつつ、遅く、いや未明から朝にかけ本欄【一匹文士】の執筆を続けたので少し疲れた。昔は、疲れなどということ自体をあまり感じることはなかった。のに、である。このところは出かけたりすると、やはり疲れる。老いとは。歳とは、このことを言うのか。

 それでも午前中は新聞を開き、活字を一文字ずつ読んでいく。
【藤井七冠ベトナム入り 初海外、きょう棋聖戦第1局】【「復興の努力に深く敬意」 岩手 両陛下、4年ぶり植樹祭】【ガーシー元参院議員逮捕 UAE(アラブ首長国連邦)から帰国 芸能人ら脅迫容疑】(いずれも5日付中日朝刊)。
 こんなわけで、世の中は、きょうもまた動き続けているのである。

 少し寝不足ではあったが午後、所用で外出して帰り、シロのすこやかな寝顔(いつもは玄関先までひと声、ニャア~の声を上げ飛び出してくるのだが。きょうは昨夜から未明にかけ、私の帰りを待ちくたびれたあげく私にずっと付き合っていたためなのか。まだ寝ほうけているみたい。その顔が可愛いのである)をみて少し体調が戻る。まだまだ、やらねばならぬことは山ほどあるのである。

(6月4日)
 名古屋市千種区のルブラ王山で開かれた中部ペンクラブの令和5年度第38回総会と公開文学講演会(講演講師は辻真先さん。演題は「栄町の古本屋で育ちました」)、引き続いてあった第36回中部ペンクラブ文学賞の受賞と出版を祝う会に出席。久しぶりに今から30年前、「長良文学」同人だったころからの文学仲間、椿井愛一郎さんら当地方の文学を愛する仲間たちとも再会出来、談笑する機会に恵まれた。そして。この日はかつて、この中ペンの会で随分とお世話になった文芸同人誌「きなり」代表だった石川好子さんも講演会を聞きに顔を出されうれしく、かつ懐かしく思った。
 石川さん曰く「いがみさん。(奥さまを亡くして、その後)げんきでいますか。あなたは愛が深すぎるのだから。(しっかりしないと)」とご自身のご主人のことをさておいてそう、おっしゃられたひと言が胸にズシンと響いてきたのである。

 この日は【悪名の女】で第36回中部ペンクラブ文学賞に輝いた中田重顕さん(三重県熊野市)はじめ、ことし7月29日に大阪で初めて実現する第5回全国同人雑誌会議・第2回全国同人雑誌協会総会=中部ペンクラブ共催。中日新聞・東京新聞など後援。場所はリーガロイヤルホテル大阪=を前に東京と前橋から駆け付けた全国同人雑誌協会代表理事の五十嵐勉さん(文芸思潮編集長)、同理事の和田伸一郎さん(「クレーン」主宰)、同協会顧問で前中部ペンクラブ会長三田村博さんらにもお会い出来、うれしく思った。中ペン文学賞の表彰式では激務のなかを駆け付けた中日新聞の平岩勇司文化芸能部長から中田さんに栄えある賞状が手渡され、中田さんは満面笑みに包まれた。

 「ボクは満州生まれ(昭和17年に中国東北部で出生)。大阪文学学校校長の細見和之さんに【悪名の女】を読んでいただいたところ『これは、すごい。これまでの作品で1番よい』と言われたので、思い切って八十歳を過ぎて応募しました。戦争がいかに人々を。特に女性を傷つけるのか、を書きたかった」と受賞の喜びを語った中田重顕さん

 

 席上、「活字文化が廃れる一方のなか、日本文化が生き延びるためにも。その生命線とも言える、いい文学をどんどん生み出してほしい」と呼びかける五十嵐勉全国同人雑誌協会代表理事(「文芸思潮編集長)。左が中村賢三中部ペンクラブ会長

 

    ※    ※
 文学賞の表彰式に続き、この1年に本を出版した会員が胸にリボンをつけ、登壇。写真撮影でお祝いされるというなごやかなひとコマもあり、「泣かんとこ 伊神舞子俳句短歌遺稿集」(人間社)を出版した私もステージに。引き続きマイクを持たせられたが、私はポケットにしのばせたハモニカをふこうかどうしようか一瞬、迷ったが、やはり恥ずかしくて簡単なお礼を言うにとどめた。帰宅して反省しているが、舞の病床でいつもふいてきかせた【赤とんぼ】や【夕やけ小やけ】のうち1曲でもふけば、これまでの感謝の気持ちを伝えられてよかったのにと帰宅してから深く反省している次第。これも後の祭りに違いない。また、別の機会でも、と思っている。
♪赤とんぼすいと曲がりて曲がりけり、か。ごめんね、舞よ マイ。

 引き続き歓談に移ったが、厳しく辛かったコロナ禍を抜けての久しぶりの再会だけに、みな笑顔、笑顔の集まりに。来賓あいさつなどが続く。登壇者のなかには、熱心さのあまり少し長話になる方もおいでだったが、これも文化芸術をこよなく愛するがゆえの愛あふれる挨拶だったに違いない。あとの雑談で「ちょっと、長すぎるね」とご本人に思ったことをそのまま言ってしまい、悪かったナ、と思った私(わたくし)【いがみの権太】である。中部ペンクラブ会員のなかには中村賢三会長の御子息のように受付でのボランティア奉仕を自ら買って出てくださった若者まで出現。ドラマと化した名ステージは、こうして終わったのである。

2023年6月3日
 土曜日である。昨日午後、日本文藝家協会(林真理子理事長)から思ってもいない丁重なる書状が私あてに届いた。ここに、わたくしの記録として全文残しておこう。文面は次のとおりである。

――謹啓 薄暑の候、伊神権太様におかれましては益々ご清祥のこととお慶び申し上げます。日本文藝家協会は、本年、喜寿を迎えられた伊神権太様を長寿会員として心よりお祝い申し上げます。/当協会もこれまで以上に会員の皆様のため、文芸文化全般の発展に努めて参ります。/本日は協会よりささやかな記念としてボールペンをお届けいたします。どうぞご笑納ください。/梅雨を迎え、天候の不順な日が続きます。くれぐれもご自愛の上、お過ごしください。 
 謹白 令和五年六月吉日 

 私はまだまだ、これから亡き舞とともに大空高く羽ばたこうと思っている。のに、だ。それにしても、私が喜寿だなんて。とても信じられない。実際、そうだから。仕方ないか。とりあえず、心からありがとうとお礼を言っておこう。        
    ※    ※

    ☆    ☆
 きのうは、ここ尾張名古屋も含めて、和歌山、三重、三河、静岡、東京…と全国的に凄い雨が1日中、降り続いた。わたくしは、こうした雨が降るたびに傘をさすことを執拗に嫌い、ささないままこの大気の中を歩き、そのつど私を大いに困らせた今は亡きたつ江(伊神舞子)を思い出すのである。
 というわけで、【愛知や三重 線状降水帯 田原444㍉豊橋418㍉史上最多 東京―名古屋新幹線取りやめ 河川氾濫、土砂崩れ各地で被害相次ぐ】【ラニーニャ エルニーニョ47年ぶり連続か 強い台風多発の恐れ】とは、本日付中日新聞の軟派(社会面)の見出しである。この線状降水帯による豪雨の危険はNHKでも再三にわたって報道し注意を喚起していたが、このことは良いことだと思う。

 豪雨被害への注意を避難世帯数の表を示しながら呼びかけるNHKニュース(2日夜)
 

 

 そして。第2社会面は【出生率過去最低1.26 少子化対策 お金が中心?】【「チャットGPT」に懸念 政府、米企業を指導 情報無断取得恐れ】など。今の時代を反映した内容が目立つ。ほかに【「頑張れとのメッセージもらった」 名大・堀勝特任教授=名古屋大低温プラズマ科学研究センター。「低温プラズマ科学の先駆的研究」=ら 中日文化賞贈呈式】は学術や芸術の分野で優れた業績を上げた4氏に賞状と正賞の時計、賞金が贈られたもので、社会を明るくするホットな話題だといえよう。(表彰者は、このほか▽落語家の立川志の輔さん(69)=「卓越した話芸と落語文化普及への貢献」▽名古屋大統括副学長・門松健治さん(65)=「糖鎖を基盤とする生命科学の革新への貢献」▽新国立劇場バレエ団プリンシパル・米沢唯氏(36)=「バレエ界における傑出した活躍)

(6月2日)
 藤井七冠達成を報じた新聞各紙
 

 新聞1面は、やはり【藤井七冠 最年少20歳10カ月名人奪取 「めいじんに」6歳の夢高速実現 プロ入り6年 全冠へ残るは王座】(中日)といったものだった。きょうは朝から、雨、雨、雨。というわけで久しぶりに息子を車で江南駅まで送る。

 昼過ぎ。息子から「雨風すごいのでくれぐれも気をつけて行ってください 念のためダンス今日やるか確認した方がいいかもしれません」のメールが珍しく入る。きょうのような強い雨を目の前にすると、私は決まって、どしゃ降りの雨のなかを傘もささずに強引に歩く生前の舞を思い出す。彼女は傘をさして歩くことが嫌いな女性で、雨が降るつど、私を心配させたものだ。その息子が私のことを心配してメールしてきたので、私は舞がいつも手にしていたハート入りピンクのおしゃれな傘=彼女は愛用の傘をいつも手にはしていたが、なぜかさすことはなかった。日よけに使っていたようだ=を手に、近くの古知野食堂へ。ここで食事をして今度はずっと以前に、舞が選んでくれた愛車で一宮スポーツ文化センターへ、と向かった。きょうは社交ダンスのレッスンの日だからである。

(6月1日)
 木曜日である。涙が出る。
 きょうは、わたくしも含めた私たち兄妹とその家族を、父と一緒に最大の愛をもって育ててくれた亡き母、伊神千代子の誕生日だ。生きていれば満103歳になったというのにである。なんだか、とても惜しく、かつ残念な気がするのである(母は私たち兄妹だけでなく、義姉や義弟も、とても大切にしてくれた)。

 そればかりか、生前の母は、元々が着物づくりの達人だったばかりか、カラフルな草履を編むことときたら100歳を超えてなお、お手のもの。ほかに、盆踊りもノドも達者で、天に飛び立つ間際までピアノを弾いていた。私たちこどもにとって、とても美しくかれんな自慢の母だったのである。
 その母が、誕生日がくるとは、いつも話していたのが「おかあちゃんが生まれた、その日に和田(現在の愛知県江南市古知野町和田)に、初めてランプの明かりがポッと、ついたのだってよ」と。母は、まさにその明かりとともに大正、昭和、平成、令和をたくましく生き抜いたステキな女性だった(母が愛用した和田のピアノは死後、兄夫妻の配慮もあって母が晩年、ことのほかお世話になった愛知県日進市の老健施設「愛泉館」に寄贈された)。

 夜に入り、スマホがピコピコとけたたましく鳴り出す。追い立てられるように画面を開くと、そこには【藤井聡太竜王が最年少名人&史上2人目の七冠達成 渡辺明名人に4勝1敗 20歳10カ月でダブル快挙/将棋・名人戦7番勝負】と簡潔なニュースが浮かび上がった。 
 藤井聡太とは、まさに大変な人物である。

▲きょうは「気象記念日」。西日本各地が梅雨入りし、台風2号が沖縄に近づく。(毎日・余録から)。そして。電波の日でもある。新聞には、けさも【原発60年超運転可能に GX電源法=正しくはGX(グリーントランスフォーメーション)脱炭素電源法=成立 経産相が延長認可】【北朝鮮「衛星」発射失敗 エンジン異常 黄海落下 「早期に再打ち上げ」】(いずれも1日付毎日朝刊)といった活字が躍った。

 そして。何より明るい話題といえば、だ。
 中日新聞スポーツ面の【霧馬山改め 霧島 大関昇進 師匠のしこ名背負い さらに上へ】【竜5位浮上 <球心>満塁一層ブライト輝く 連日2番「自分で決める」】【涌井2勝目 7回1失点】【千賀気迫の5勝目 最長7回無失点)】といったところか。なかでも新大関の霧島には期待したい。やってくれそうな予感がするのである。