詩「戦場の真実」

重量の空ろな機関銃を
号令と迷走で汚れた
両膝におき
兵士は思索する

眼差しは沈黙し
頬は薄い

兵士は頬杖をつき
微動だにしない
そこは隠れ家

みえるのは
世界が亡い戦闘者の群れと
賞味期限切れの手榴弾

きこえるのは
覚悟を超えた靴底の音と
爆撃の不協和音

兵士の耳に届いた河の囁き
木の葉から溢れた雫の輝き
世界は瞬きで変わる

出口のないジャングル
荒れた草木が覆い茂る
極彩色の紅い嘴の鳥が鳴く
遠い故郷の匂いがよぎる
獣の雄叫びが呼応する

見上げれば果てなき空
解き放たれた自由な青
澄んだ風が頬を撫でる
胸が穏やかに満たされる

やがて兵士は機関銃を捨て
頷くままにまどろんでいる