詩二編/「山蟻」、「一生懸命」

    詩「山蟻」
      自宅へ向かう坂道で
    木々を囲む低いコンクリートに腰下し
    丸くなって煙草を吹かしていた
    何気なく路上に眼をやると
    一匹の山蟻がいた
    弱々しい足取りに
    苦しさが看てとれた
    踏んで楽にしてあげようと
    しばし躊躇した
    すると頭に声が響いた
    「お前に俺が殺せるか?…」
    山蟻は弱った身を引きずり前進していた
    すると自動車がやって来て
    あっという間に踏みつぶされた
    私はあまりの突然さに茫然自失…
    ある夏の昼下がりのことだった

    
     詩「一生懸命」
      一生懸命にガンバってみよう
    どんどん自分の能力を広げよう

    人はそれぞれに住む世界があり
    価値観もいろいろさまざまである
    けれど一生懸命は人類に共感を呼ぶ

    生きるのは登り道ばかりだ
    けれど…
    一生懸命から愛が生まれ
    一生懸命から力が与えられ
    一生懸命が世界を変える

    そして…
    一生懸命さに
    人は感銘を受ける