詩「母さんのふるさと」

ナツメロを見つけました 古いテープの中に
ヘルスセンターの舞台で唄っていた
かわいい女の子のために作った歌だ
まだ覚えていたメロディーが
私の唇を動かす
   (一)
 母さんのふるさとは
 段々畑の 山の村
 リンゴの木 地蔵さん 峠に続く細い道
 教えてもらった 草笛を
 そっと鳴らして 背伸びすりゃ
 子供の頃の母さんが
 歩いて来るよな 気がするの
   (二)
 母さんのふるさとは
 汽笛が聞こえる 山の村
 茜雲 丸木橋 一番星が写る川
 かわいい野菊の 花添えて
 そっと浮かべた 笹舟は
 おさげの頃の 母さんが
 流した小舟に 逢うかしら

昭和が元気だった頃の歌
こんな光景はもう無いだろうか
いや あってほしい
日本のどこかにあってほしい
こっそりと昭和が生きていてほしい
私のために あの子のために (了)