童話詩二編/「ペンタ君 雲にのる」、「なかよし」

「ペンタ君 雲にのる」

今日は ペンタ君 空をとぶ
お誕生日の お祝いに
ペンギン パパが 操縦する
ヘリコプターで ルンルン気分
買ってもらった 双眼鏡で
あちらをキョロキョロ こちらをキョロキョロ
すごいぞ すごいぞ 東京タワーだ
おもわず 手拍子 そのいきおいで
スッテン コロリン ヘリから 落ちた

コロリ コロコロ ドッスンコ
落ちたら 白い 雲の うえ
フンワリ フワフワ 雲の おふとん
うれしくなって ビヨーン ビヨーン
青い 空しか 見えません
このまま 眠ってしまおうか
背伸びをしていた ペンタ君
うえから 落ちた 双眼鏡が
あたまに 当たって ゴッツンコ
バランス 間違えて 雲から 落ちた

ヒュルリ ヒュルヒュル ドッコイショ
落ちたら 真っ赤な 時計台
はるか下には 賑やかな 街なみ
北風 ビュウ ビュウ 吹いてます
さむくて ペンギンの ペンタ君
ハクション ハクション くしゃみ でた
これでは ペンギン つとまらぬ
いきなり 時計が 午後3時
ゴン ゴン ゴンと 鐘が鳴って
時計台が ゆれて 足がすべって
ズルズルズルと 屋根から 落ちた

スルスル スルスル ペッタンコ
落ちたら ひさしを つき抜けて
ケーキ屋さんの 店の まえ
店の おじさん ニコニコ顔で
今日はお祝い これプレゼント
イチゴのケーキだ うれしいな
「ペンタ君 ほんとに よかったね」
そばで 買い物していた ペンギンのママ
ニッコリ 笑って おうちに 帰ろう
嬉しくなって ペンタ君
大空たかく
ジャンプ ジャンプだ

「 なかよし」

今日も 二人で お散歩だ
たのしく なかよく お散歩だ

話は もどって
ウサギのサキちゃん ママのお手伝い
ニンジン ピーマン 牛肉 チーズ
重いバッグを 両手に持って
人の波をかき分けて
商店街を ヨイショ コラショと
ホラ 横断歩道が 黄色になった
ああ 急がしいな でも今のうちに
駆け出した サキちゃんに
大きなトラック 迫って来る

学校から帰る コアラの コア君
今日も サキちゃんと ケンカして
もう知らないって 別れたよ
抱えた鞄に 重い足取りで
たどり着いた 駅前の街角
車の轟音に ふと 眼を向けると
サキちゃんが トラックに 衝突寸前
そらと 全力疾走 体当たり
バッグが飛んで 急ブレーキ

今日も コア君 お散歩だ
なかよし サキちゃんと 一緒だね

「あの日は 本当に ありがとう」
「いいよ いいよ これくらい」

サキちゃんが 押してくれる 車椅子
乗っている コア君は 上機嫌で
片足のギブスも へいちゃら だ

「今日は どこまで 出てみたい?」
「まっすぐ まっすぐ どこまでも」
「コア君 ほんとに やさしいね」
「サキちゃんこそ ありがとう」

赤い枯葉が散る 秋の 並木道を
どこまでも つづいている 並木道を
揺れる 二人の 後ろ姿が
やがて 小さく なっていく