詩「まっすぐ」
雨のふるふる朝の道
表通りはしぶきをあげる車の往来
傘をさして曲がり角を裏通り
びしょびしょ道のど真ん中
なにやら地べたで動くもの
おそるおそる近づくと
でんでんむしむしかたつむり
薄茶色の胴体が
のびてちぢんで
のびてちぢんで
目玉のツノがせわしない
雨つぶに
たたかれっ放しで
進む進むどんどん進む
びしょ濡れ道を横切るでなく
まっすぐ
まっすぐ
ただ
まっすぐ
車が通る道と知ってか知らずか
放っておけず
生け垣下へでもと手を伸ばす
どきり
殻の渦巻き意思がありあり
おもわず腕をひっこめる
気配に動じず
のびてちぢんで
気配を無視して
のびてちぢんで
まっすぐ
まっすぐ
ああ
まっすぐ