詩「夏の終わり」
重い雲
粘い空気
雨は昨日去ったのに
広い空地の水たまり
丸い形にひょうたん形
光る水面には
鼠色のまだら雲
足を伸ばせば青い世界
右も左も囁きざわめき
これ見よがしに若稲穂
皆それぞれに天を向き
迷うことなく上へ上へ
水辺あたりは行ったり来たり
迷い翅の麦わらトンボ
惹かれてウロウロ塩辛トンボ
セセリ蝶は慌て飛び
追いかけ蝶は命がけ
ああ
夏が終わろうとしているのだ
川に沿って一間道
名も知らぬ爪先ほどの黄色い花
続いて 続いて
続き飽きると白い花
名は互いに違えども
我美しきと花びらに
誰もいない草深い公園
真ん中に浮き上がる
色鮮やかな回転ジム
駆け回った印しの窪みには
ドーナッツ状の水たまり
声も映らぬ水たまり
ああ
夏が終わろうとしているのだ