2010/09/09
われらウエブ文学同人誌「熱砂」に、また新たな一ページが刻まれました。作家の名は、真伏善人(まぶせよしと)。文章の切れ、どきどきする展開、音のない世界までも表現する感性の冴え…。
どれをとっても新しいエースの誕生です。
=伊神権太
(本文から抜粋)
何かがいる。
やはり自分の近くに何かがいる。
獣か、人か。
釣りどころではなくなった。
(中略)
平井は立ち止まった。
釣り人ならば、いずれ追いついてくるはずだが。
いっこうに姿は、見えてこない。
人間の後ろをつけてくる獣、
まさかオオカミがいる はずもない。……
陽射しを閉ざす厚い雲が、ゆるゆると空を覆いだ
した。
ーさあ、これから、どうなる。思わず、読者を引きづり込んでいく真伏の文体。「熱砂」に誇る書き手・片山浩治ならでは、生まれ変わった新たな“真伏ワールド”です。ぜひ、お楽しみください。