一匹文士、伊神権太がゆく人生そぞろ歩き(2022年9月~)
2022年9月30日
金曜日。
甲府地方気象台がこの日、富士山で初冠雪を観測した、と発表。平年より2日早く、昨年より4日遅いという。気象台職員が早朝出勤後、薄く積雪しているのを目視で確認したという。この日は隣の富士吉田市も初雪化粧を宣言。
午後、おふろの追い炊きをして外出しようとした矢先に、浴室入り口部分の液晶パネルが燃焼異常を知らせる【902】を刻んでバカバカと点灯。追い炊きしたあと、どこかおかしいのでノーリツのコンタクトセンターに電話すると「902表示は給湯器か何かの故障の表示なので、あすの朝、業者から電話させ、派遣します」とのこと。デ、おふろは入ってもいいのですかと聞くと、大丈夫です、とのことだったが、やはり安全を期し、きょうのところは入浴はやめることにした。いずれにせよ、パカパカ表示は機械にめっぽう疎くて弱い私には気になるので「火災の心配は」と聞くと、「ないです」とのことだったので少し安心した。こんなとき、舞が横にいてくれたら、パッパッパッと判断して的確な対応をしてくれるのに-と思うと自分自身が情けなくなってくる。
舞は科学者の母だけに、こうしたとき沈着冷静で任せておけばよかった。のに、である。彼女はもはやしないのである。
ロシアのプーチン大統領が30日、クレムリンで開かれた大規模な式典で同国が占領したウクライナ4州を併合する条約に調印。ずいぶん手荒な行いである。なんだか野蛮人のような気がする。柔道をやっていて、こんなことではいけない。何度も言う。講道館は彼の黒帯を今すぐにでもはく奪すべきだ。
(9月29日)
今は亡き舞の生前の俳句、短歌、詩(1行詩含む)を一冊にまとめた「泣かんとこ 伊神舞子俳句短歌遺稿集」(人間社)がとうとう出来上がり、午前10時にわが家に届いた。私はさっそく、その一冊を舞の仏前に供えたが、ぺらぺらと頁をめくるにつれ、彼女の笑顔が目の前に大きく浮かび、思わず涙したのである。
何よりも先に、と舞のおかげで育った息子たちに「おかあさんの本が出来、きょうわが家に届いたよ」とメールで順々に知らせる。次いで長男夫妻と同じく俳句の選定にあたってくれた私の兄夫妻にも報告。梱包をほどいたところで舞が、かつてよく利用した郵便局に行き、身に余る【惜別の辞】を書いて下さった作家太田治子さん、そして太田さん同様、舞を最後の最後まで励まし続けて下さった石川県能登半島七尾市在住の短歌雑誌「澪」代表で歌人の山崎国枝子さんにも、それぞれ2冊づつ、ひとことお礼の言葉を添えて送らせて頂いた。
【「日中 安定的な関係に」 岸田首相 国交正常化50年で式典】(29日付中日夕刊)。日本と中国が国交を正常化して、きょうで丸50年になる。
(9月28日)
舞の一周忌(10月2日に永正寺)が近づいたので、布袋のスーパー「ピアゴ」に買い物に行ったついでに店内理容店でさっぱり、かつ自然流に頭をカットしていただく。けさの朝刊。やはり【国葬世論二分のまま 安倍元首相追悼4183人参列 各地で抗議デモ/弔意込め黙とう 「分断」中部も】(中日28日付)【安倍元首相国葬に4200人 献花にデモ 賛否割れる中 首相は説明尽くしたか 政治部長中田卓二】(毎日28日付)といった活字が躍っていた。
そうしたなかで「死者五十八人、行方不明者五人の犠牲が出た二〇一四年の御嶽山(長野、岐阜県境、三〇六七㍍)の噴火災害から八年となった二十七日、麓の長野県王滝村の松原スポーツ公園で追悼式が開かれた。……」の記事も。名古屋競馬場(愛知県弥富市)では27日、全国最高齢の現役競走馬ヒカルアヤノヒメが18歳5カ月17日でレースに挑み、国内の最高齢出走記録を塗り替えたという。
夕刊は、【親ロ派「編入賛成多数」主張 ウクライナ4州 ロシア 併合手続きへ】【「他国領土盗み国連憲章違反」ゼレンスキー氏非難】【後輩会社「受け皿」に 元理事側へ数百万円 五輪汚職 大広から賄賂一部か】(中日28日付)といったところか。どれも深刻な話である。
夕方。2階ベランダから、まだまだ青い空を仰ぐ。と、一本の白線がスッと上空に現れているではないか。舞、たつ江が引いた白線流しのような。そんな気がしてならなかったのである。それとも私に何かを知らせようとしているのか。どこまで行っても。私にとっては天下一、かわいく愛しい舞なのだ。
卒業式でもないのに。舞が引いたか白線流し 大空にくっきりと光線を放った
(9月27日)
安倍晋三元首相の国葬がこの日午後、東京・日本武道館で行われた。政府発表によれば、国内外から4183人が参列し、吉田茂首相いらい55年ぶりの国葬には、法的根拠がなく、すべきではないと多くの国民が反対する中での強行となった。概算16億円超もの国費を費やしての国葬強行が日本の歴史に汚点を残した、ともいえそうだ。ただ故人に哀悼の御霊を捧げることは、それはそれで良いと。私は判断する。もっと、質素にやれば安倍さんの株は死の底にきて高まったかもしれない。言い過ぎだろうか。ともかくも、安倍さんの不幸な死により、日本の政治の一区切りがついたことだけは確かだ。
日本武道館で開かれた安倍さんの国葬(いずれもNHKから)
何思う昭恵夫人
友人代表で追悼のことばを述べる菅前首相
(9月26日)
27日午後に予定される安倍晋三元首相の国葬を前に、報道の中には【森友追及の市議「国民試されている」 国葬政権の居直り再び】【自民最大派閥「冬の時代」へ 安倍派分裂の足音 後継者不在/岸田政権不安定要因にも】(26日付毎日夕刊)【安倍首相に迫った核廃絶 19年被爆者代表山脇さん 亡くなる4日前まで発信】(26日付中日夕刊)といったさまざまな論調とニュースが目立っている。
こうしたなか、政府は26日、新型コロナウイルス感染症の全数把握を全国一律で簡略化。発生届が必要な対象者は高齢者らリスクの高い人に限定し、感染者の8割を占めるとされる若い軽症者は届け出が不要になり医療機関の事務負担の軽減が期待される。一方で届け出対象外の人の容体が自宅療養中に急変した場合に対応が遅れる心配もあり、政府は各都道府県に新たに設置した支援施設への登録を呼びかけているという。
午後。不動産業を営み、私の社交ダンス仲間で信頼のおける、そのお方と土地の件で一宮の登記所に。
※ ※
このところ気になるのは、イラン女性が着用するスカーフ問題だ。というのは、イランでは頭髪を覆うスカーフを適切に突けていなかったとして警察に拘束された女性が死亡したことを受け20日、首都テヘランなどで5夜連続となる抗議デモが実施され、女性たちがデモの先頭に立ってスカーフを燃やすなど抗議は激しさを増しているという。
テヘラン北の都市サリでは女性たちがスカーフに火をつけ、大群衆が大声を張り上げ抗議する深刻な事態にまで発展。抗議デモはいくつかの都市や町にも広がり、既に40人以上が死亡した、と伝えられる。イランでは、それこそ安倍元首相の国葬是か非かの問題どころか、国民そのものの存続にかかった抗議活動が連日、女性たちの手で繰り返されているのである。一体全体、どういうことなのか。
スカーフなどしたければすればよい、というのが国際社会の論調には違いないが、宗教上の伝統からそうはいかないのが、イランの悲しい現実のようだ。それにしても「スカーフを適切に着けていない」というだけで、取り締まれたのではたまったものでない。ケルマン市内広場で20日夜に撮影された動画では女性がスカーフを外し、自らの髪の毛を切り、群衆が口々に「独裁者に死を」と叫んでいるという。日本の国葬云々の比ではない現実がイランでは、きょうも女性たちの手により、血みどろになって繰り返されているのである。
2022年9月25日
日曜日。朝。起き、いつものように朝刊各紙を【くらしの作文】【女の気持ち(男の気持ち)】【新聞小説】【1面コラム】【漫画】【地方版】その他の順で読み進める。なかでも読者からの投稿欄でいつだって市民の偽りなき情愛がすなおにペンで描き出されている【くらしの作文】【女の気持ち(男の気持ち)】欄は、この世でただひとり・一匹文士(いっぴきぶんし)を名乗る私には毎朝、とても新鮮かつ感動を与えてくれるのである。
時として出来が今イチである、そこいらの新聞小説などとても、その比とは言えないだろう。(むろん、当然のことながら、この夏まで掲載されていた中日新聞の朝刊連載【かたばみ】のように史実に基づいた迫力迫る苦難の物語を展開した優れた作品もあるにはある)。
その新聞小説だが。このところは、あれこれ知恵を絞って迷路に入ってしまった感のある、表現力も加え、ともすれば出来の悪い独りよがりな作品が夕刊小説などにちらほら散見される。作家たるもの、土俵の相手はあくまで名もなき一般読者たちだ。何より、分かりやすく、全ての人の心にすんなり、ストンと入ってくるものでなくてはならない。
ひとりよがりはおろか、経験不足のうえ文章の基本【は、が、の、を、に】と【ぞ、なむ、や、か、こそ】=主語につける強調の格助詞など=さえ、わかっていない、そんな気さえする〝ひよっこ〟が明らかに手練手管をつかい、未熟な経験で思索をこねくりまわしたあげく、ひとり悦に入ったとしても、それが愚の骨頂であることは明白だ。優秀な読者には、見透かされているのである。これは文そのものをチェックするデスクの側にも問題がある。せっかく、たまたまにはせよ、一度は開いた若き才能なのだから。もっと、もっと厳しくあるべきではないか。自分ひとりだけがいいつもりでいてはいけないのである。文は魔物といっていい。
なんだか少し王道を外れ横道に入ってしまったが。要は、誰にでも分かりやすい文。そしてポンポンと物語の世界に引き込んでいく筆力。そうしたものがなければ、読む人の心を打たない。まだまだの作家たちには、この点をよく自省してほしく思う。よほどの努力と経験、現場取材をしない限り、名もなく、清く貧しく、美しい一般市民からあふれ出る【くらしの作文】には、かないっこないのである。この点では、オルハン・パムクの「雪」にせよ、スベトラーナ・アレクシエービッチの「チェルノブイリの祈り」にせよ、カズオ・イシグロの「日の名残り」=いずれもノーベル文学賞受賞作品で私は全て完読済み=にせよ、どの作品も独りよがりではない、人々の気持ちと生活、時代に寄り添った文章なのである。何よりも声なき声を、社会という舞台に引きづり出している。書くことに命をかける方々には、自戒の念もこめて年齢の差はどうあれ、この際あえて苦言をしておきたく思う。
私自身、そうした思いで日々、執筆。これは真剣勝負なのである。
※ ※
【静岡で記録的大雨3人死亡 台風15号 鉄路倒れ12万戸停電】【浜松で発生住民証言 土砂崩れ「起点に盛り土」】【国葬「最高警備」態勢 あすから都心一部規制】【事前避難対象57万人 南海トラフ津波想定の139市町村】」(25日付中日朝刊)……。朝刊の見出しを追ううち、NHK総合の番組欄で「日曜討論 脱炭素社会実現への道筋は▽環境と経済成長どう両立?」に気付き、「音楽の泉」に引き続き、チャンネルをそのままとしラジオを聴く。
大相撲秋場所千秋楽が25日、東京・両国国技館で行われ、東前頭3枚目の玉鷲(37)=モンゴル出身。片男波部屋=が西前頭4枚目の高安(32)を押し出し、13勝2敗で2019年初場所いらい21場所ぶり2度目の優勝を果たした。37歳10カ月での優勝は旭天鵬の37歳8カ月を上回り、年6場所制となった1958年以降の最年長記録。優勝インタビューに望んだ玉鷲は「みなさんの応援のおかげです。何がなんでも自分の相撲を取ろうと思いました。(勝った瞬間は)やったぞ、と思いました」と語った。
写真はインタビューに応じる玉鷲関
最年長記録 玉鷲優勝を報じた新聞
プロ野球のヤクルトが25日、東京・神宮球場で行われた2位DeNA戦で1-0で、サヨナラ勝ち。2年連続9度目のセ・リーグ優勝を決めた。連覇は1992、1993年いらいで2度目。2年連続最下位からの2連覇はプロ野球史上、初。あいにく主砲である村上宗隆の56号本塁打は持ち越しとなったが、優勝インタビューに応えた若き四番打者は「天まで飛ばしてやろうかな」と思いました、と。その意気や、よしである。
(9月24日)
窓をあける。と。一陣の涼しい風が、室内に入ってきた。まぎれなき秋の風である。空を見る。【秋空に未来永劫と書いてみし】【曼殊沙華人恋ふごとに朱(あけ)深く】。舞が詠んだ俳句が頭に浮かんだ。かわいい犯人は、天空にいるはずの私の妻たつ江、伊神舞子だった。
土曜日。きのうの、あの猛り狂った豪雨が噓のように一転。上空に生前の舞がこよなく愛した秋空がどこまでも広がった。朝食後、外に出たがるシロを出す。彼女は一瞬、ためらいながらも大喜びで外に飛び出していった。「レインボー、オーロラちゃん(シロの本名は、オーロラレインボー)。くれぐれも気をつけて。無事に帰ってくるのだよ」と私。彼女とて、狭い部屋のなかばかりでは窮屈で息がきれてしまう。第一、美容と健康によくない。そう思って、たとえ僅かの間でも、と少しでも多く外に出すようにしているのである(シロは私との約束どおり、昼過ぎには帰ってきた)。
午後、執筆の合間を縫って永正寺さんへ。私も属する尾張芸術文化懇話会の月に一度の定期会合に久しぶりに出席するためだ。席上、現在、本堂の新築工事が進む永正寺のこけら落とし(2024年9月15日の予定)を機に、出来れば江南市民オペラの公演を実現させることで全員、意見の一致をみた。
※ ※
きょうの新聞。中日新聞朝刊の主筆小出宣昭さんの【風来語 かぜきたりてかたる】と毎日新聞朝刊の【余録】がとても良いので、ここに紹介させていただく。既に読んだ方々も大勢いるに違いだろうが、もしもまだの読者がいたとしたのなら、ぜひ読んでほしい。心が洗われる文章とは。こうしたものを言うのだろう。
私は<風来語>を読みながら、開かれた王室の大切さを。<余録>を読んで、この12月に90歳を迎える俳優仲代達矢さんの能登演劇堂での無名塾の舞台「いのちぼうにふろう物語」公演に思いをはせ、〝白秋〟ならぬ〝赤秋〟の大切さを読み取ったのである。
小出主筆の【風来語】
毎日新聞の24日付【余禄】
きょうはほかに、九州新幹線の長崎ルート(西九州新幹線)が23日に武雄温泉(佐賀県武雄市)―長崎(長崎市)で開業、午前6時17分に満員の乗客を乗せた新幹線「かもめ」の一番列車が長崎駅を出発したこと。ほかにトヨタ自動車が23日、ロシアでの生産事業を終了することを発表したことが主なニュースといえようか。このうちトヨタ自動車は、ロシアのウクライナ侵攻の影響で3月に稼働を停止したロシア・サンクトペテルブルク工場の再開を断念。侵攻が長期化し、事業の継続は困難だと判断。ロシアには複数の日系自動車メーカーが拠点を置いているが、今回のような生産撤退が明らかになるのは初めてだという。
(9月23日)
秋分の日。昼と夜の長さがほぼ同じ日だ(実際には昼が少し長く、暑さがおさまり次第に秋に移っていくころだ、とされる)。
☆ ☆
午後、台風15号接近に伴うそれこそ、土砂降りの雨のなかを、それでも愛車を運転して亡き妻との約束でもある週に一度の社交ダンスのレッスンで一宮のスポ文(スポーツ文化センター)へ。レッスンの前に、スポ文とは隣の真清田神社楼門内で開かれている【祝・芸能生活60周年 舟木一夫さん展示会】の会場に顔を出したが、いかんせん豪雨直後でたまったままの境内の水が至る所くるぶしまであり、これでは会場封鎖も同然。すぐそばなのに。スポ文駐車場から会場までたどり着くのに両足ともずぶ濡れになりながら歩を進めるという、思ってもいなかった難敵に遭い、会場まで〝進軍〟するのにひと苦労とあいなった。天を仰ぎ「誰も悪くはない。でも、自然には勝てないナ」と思った次第だ。
おかげさまで当然のように靴は靴下もろとも両足共びしょ濡れに。それでも何とかスポ文駐車場の愛車のところまでいったん帰り、ここで両足とも素足となって社交ダンス用のシューズに履き替え、こんどはレッスンとあいなったのである。いやはや、真清田神社の境内があれほどまでに水がたまるところだったとは。かつて現役時代に何度も当時の宮司を訪ねて伺ったことがあるだけに。境内が水であふれる、とは。知らなかった。
ともあれ、私は実際に、びしょ濡れになった革靴を両方とも靴下ごと車内で脱ぎ素足のままダンスシューズに履き替えてのレッスンとあいなった。むろん、こんなことは初体験だが、不思議なことにその分、レッスンに身が入ったことも事実だ。私は女教師〝若さん〟の教えに従い、蟹歩きの多いタンゴのステップに繰り返し挑戦。三歩で閉じるクローズドプロムナードと蟹の横歩きレッスンに繰り返し、繰り返しいどんだのである。やれやれ、だった。人生、いくつになっても思わぬことが起きるものである。
夜。この日のバンテリンドーム(旧ナゴヤドーム)には、かつて勇名をはせたドラゴンズの福留孝介選手の引退試合、巨人-中日戦をひと目見ようと、実に三万五千人以上の観客が詰めかけ、試合の模様はNHKラジオでも中継された(福留の現役最終打席二飛凡退にも大きな拍手。試合の方は9―3で巨人の勝ち)。プロ野球の世界も絶えず選手、監督ともに新陳代謝。時代は全てにおいて日々、変わりゆくのである。
政府、日銀がきのう22日に急激な円安進行を阻止するため、とうとう円を買ってドルを売る為替介入を実施。円買い介入は1998年6月17日いらい、24年3カ月ぶり。円高是正を狙った円売り介入を含めても2011年11月4日いらいの実施となった。FRB(米連邦準備制度理事会)が21日(日本時間22日未明)に0・75%の大幅利上げを決定し日銀が22日、大規模な金融緩和の維持を決めたことを受け、外国為替市場で円相場が一時1㌦=145円台後半まで急落。このため介入に踏み切ったという。
介入後、円相場は一時1㌦=140円台前半まで急騰。鈴木俊一財務相は記者会見し「投機による過度な相場の変動を見過ごすことはできない」と述べ、介入実施を明らかにした。日本単独で実施したか、他国と強調したかについては明言しなかった。
これは私の私見でもあるが日銀の黒田東彦総裁のやることは、いつまでも総裁の座に居座り続けて自己中心的、独断専行でもあり、これまで危なっかしくて見ておれなかった。でも、さすがは日本国だ。そういえば鈴木財務相という的確な判断に長けた英知がいた。こんごの成り行きを見てみたい。
おそらく鈴木総務相が「このままでは日本経済が沈没しかねない」と。そう判断し政府介入の舵を切ったに違いない。これを機に、国民のひとりとして<自分本位>があまりにも目立ち過ぎ、日銀総裁という権力にしがみつき、かつ結果的には役立たずと言われても仕方ない黒田総裁にはこの際、辞職してほしく思う。国民の多くがそう願っているに違いない。
それとは別に日本政府と日銀には、この危機を何としても乗り切ってほしく願う。そのためにも日銀総裁も国民的視野に立つ優秀な人材に即刻、この際、替えるべきだと思うのである。
☆ ☆
※ ※
▲プーチン露大統領が30万人規模の予備役の動員を命じた。ウクライナ軍の反撃で劣勢に立たされた戦局の転換が狙いとみられている。しかし、ロシア国内では抗議活動が広がり、出国便の航空券の売り切れも続出しているという▲いくら戦意を鼓舞しても限界はある。大義なき戦いには国民もついて行けなくなるのが世の常だ。戦場の兵士の士気も落ちている。核で脅し、非合法な住民投票を強行するより停戦交渉の条件整備に動くことが上策であることは明白である。
――とは、けさの毎日新聞【余録】の一部である。このとおりだと思う。
事実、ロシア本土各地では部分動員令発表を受けての21日からの招集令状発送開始とともにロシアのウクライナ侵攻や動員令に抗議するデモが広がり、21日現在で40都市で記者9人を含む約1400人が治安部隊に拘束されたという。何たることよ、と思うのは私だけでもなかろう。何より、ロシア国民の多くが、この暗黒政治にからだを張って異議を唱えているのである。
これはプーチンがロシア国民により雁字搦めに追い立てられていく、まさに始まりかもしれない。そのうちにモスクワで暴動が起き、プーチンがロシア国民によって粛清されたとしても何の不思議もない。既に、その兆候が現れ出ているのである。プーチンよ! 今からでも遅くはない。目を早く覚ませ。ただちに戦争をやめるよう、提言したい。講道館柔道の嘉納治五郎の教えである【精力善用 自他共栄】の精神は、一体どこに飛んでいってしまったのか。同じ柔道を嗜む者の一人としてあなたの存在は嘆かわしい、のひと言に尽きる。
このまま悪の手を染めウクライナへの侵攻を続けるべきではない。でなければ、あなたは、やがて善良な市民の手によって抹殺されても決して不思議でない。それが、なぜわからないのか。柔道を嗜んだ人間とは思えない所業である。それとも、私と一試合やってみようか。
(2022年9月22日)
午前中、来月2日に迫った亡き妻たつ江(伊神舞子)の一周忌を前に、納骨のための諸手続きで臨済宗妙心寺派永正寺(水谷大定住職)へ。中村建岳副住職が対応してくださり、あとは一周忌当日の納骨を待つだけ、となった。この1年、初七日法要に始まり、49日、100日法要といろいろあったが、たつ江の霊も、これでやっと浮かばれることになった。
遺稿集も近く刊行予定で、たつ江も彼女なりに新天地での新しい生活に入れそうだ。永正寺では改築中の新しい寺社群もだいぶ、その威容を現しつつあり、久しぶりに訪れ、新時代の威光の如きものを感じたのである。ひと足先に彼岸に飛び立った舞、たつ江には新たなる場所で大いに羽ばたいてほしい。
(9月21日)
世の中の動きは、【住宅地31年ぶり上昇 基準地価 大都市中心に回復 「名古屋圏」上昇幅拡大 岐阜・三重下落傾向続く】【コロナ禍の地価 明暗くっきり 名古屋都心部上昇続く 地方移住ブーム乗れず】【ロシア併合4州投票へ 23日からウクライナ東・南部】【8月消費者物価2・8%上昇 31年ぶり伸び率 10月にも3%現実味】【新ワクチン接種開始 職場は来月下旬の方針 愛知1708人感染 岐阜は569人】【大相撲秋場所 玉鷲秋の主役へ 37年ぶり 平幕で横綱大関に全勝】【旧統一教会と国会議員接点 自民 追加報告分公表へ】【解散命令は「現状困難」 文化庁、旧統一教会問題で】(いずれも21日付中日朝刊)といったところか。
2022年9月20日
火曜日。【英女王国葬 世界が別れ 2000人参列 敬意と追悼の祈り】(20日付、中日朝刊)【「母」へ最後の別れ 英エリザベス女王国葬2000人参列】(20日付、毎日朝刊)……と新聞、テレビは台風14号の進路以外には英国のエリザベス女王の国葬を報じるニュース一色である。昨夜、NHKで現地中継されたテレビ画面と朝刊を前に、「国葬とは、こうあるべきで、その国の文化度がわかる」とつくづく思ったのは、私だけではないに違いない。
20日。彼岸の入りである。午前中。自宅近く歯医者さんへ。先日、抜歯して頂いたが、依然として左耳たぶ局所部分に指先が触れると、電流のような不気味な痛みが走る左上奥歯のその後の経過診療と月に一度の定期メンテナンスのためだった。痛む部位については、しばらく様子を診てみましょう、ということになった。それはさておき。昨日午後、島根県出雲市付近に再上陸した台風14号。こちらは、その後、列島を縦断し、20日朝には三陸沖で温帯低気圧に。幸い、西日本の大雨被害は最小限に留まったものの、なお各地とも豪雨への警戒が求められるという。残念ながら、ニンゲンは自然の威力には、ただひれ伏すしかない。
新聞は【「母」へ最後の別れ】、【英女王国葬 世界が別れ】などと報じた。これが、国葬なのである
英国女王の国葬を中継するNHK
(9月19日)
大型で非常に強い台風14号は昨日、鹿児島市に上陸。九州のほぼ全域と愛媛、高知県の一部を巻き込みながら北上、きょう19日の午後4時半には島根県出雲市付近に再び上陸。速度を速めながら日本海沿いに能登半島から北日本方面に向かっている。当然ながら、ここ尾張名古屋も強い雨混じりの風が終日、窓をたたく1日となった。
わが家の愛猫シロちゃんも心配そうな顔で椅子に座っていたが、風雨が強くなるに従い、いつのまにか姿がないので、1、2階と、あちこち室内を探して回ると、亡き舞、すなわちお母さんが使っていた愛用の机の上で心配そうな表情で座っていたのには驚かされた。時ならぬ風雨に、たあ~ちゃん(おかあさん)を守らなければ、とずっとその場で座っていたと思うと、なんだか、そのやさしさと思いやりの深さに泣けてきてしまったのである。
デスクに座り、おかあさんのことを思うシロちゃん、オーロラレインボー。シロはおかあさんのことなら、何でも知っている
午前中は、来月2日に迫ったおかあさんの一周忌について相変わらず痛む歯と窓をたたく外界の風や雨音を気にしつつ、息子に愛猫シロもまじえ、あれこれ話し合う(シロが姿を隠したのは、このオンライン家族会議のあとに、である)。そして午後は舞の遺稿集にあわせ、少し遅れはするが近々、出版予定である私の小説集の校正に窓を打つ風の音を気にしながら丸1日、挑んだ。きょうは中部ペンクラブの理事会の日でもあるが、台風通過と私の仕事の関係もあって、出席は控えさせて頂く。文芸思潮の五十嵐勉編集長(全国同人雑誌協会代表理事)から電話をいただく。五十嵐さんは、ほんとに熱血漢かつ情熱あふれるお方だ。
NHK総合がエリザベス女王の国葬の模様を、ロンドンから生中継。▽世界中に愛された96年の生涯とは▽国葬現地・世界の受け止めは? の視点からの放映だったが、大変参考になった。同時に国葬とは、これすなわち、その国の文化だな、との思いを率直に感じた。どこかの国で現在、賛否が取りざたされているそれとは文化的な意義からもかなりの差があるな、とつくづく実感もしたのである。罪を憎んで人を憎まず、以前の文化的教養と気品がなければならない。エリザベス女王は、まさに国葬に値する人物なのである。
(9月18日)
日曜日。午後。一方的なピコピコの音にスマホを開くと。画面に【緊急】宮崎県で線状降水帯による大雨、災害発生に厳重警戒、の文字。そういえば、台風14号が近づいており、きょう午後には鹿児島県に最も接近する恐れがある、とニュースで報じていた。今夜からあすにかけ、どんな進路を辿るのか。日本中が注意して見守っていることだけは、確かだ。
国葬は世界各国の場合、どのように行われるのか。本日付中日新聞の<核心>で【国葬 世界の事情は】の見出しで紹介されていた。【ニュートンら功労者も■英国 慣例で元大統領ら対象■米国 歌手など少数基準なく■フランス 11年に国家葬へ統合■韓国】といった具合。何はともあれ、お国変われば、それぞれに違うのだナ、との思いを新たにした次第。気になるのは、やはり1面の【コロナ薬なお制約多く 現状9種「入院必要」「他と併用不可」】【「広く利用できる体制を」専門家提言】と【十字架林立「大量虐殺」 ウクライナ集団埋葬地イジュム】の記事か。
そして。何よりも久しぶりに目を奪われ、私の関心をさそった記事は尾張版の【舟木一夫さんグッズ3000点 故郷一宮で来月2日まで展示】である。展示会が行われているのは、一宮市の真清田神社楼門内で記事には『会場には舟木さんの曲が流れ、続々と訪れた人が口ずさみながら資料を眺めていた。代表の玉田美代子さん(71)は「舟木さんからは自然とパワーをもらえる。舟木さんにも展示を見に来てほしい」と話す』などと書かれていた。
ちなみに舟木さんは同市萩原の出身。1963年に<高校三年生>でデビュー。1965年には真清田神社境内にある服織(はとり)神社に大鈴を奉納。青春映画【高校三年生】のロケは、わが母校滝高校で、それも私たちが高校三年生の時に行われ、私は柔道着姿でその模様を見ていたことを今も克明に思い出すのである。時間を見つけてグッズ展を見てこなければ、と思っている。
新聞といえば、けさ18日付毎日新聞の【わたしのふるさと便 岡山県わたしの穴場「高梁市・備中松山城」 天空ぶらり猫城主】の猫城主「さんじゅーろー」がとても可愛くて風格があり、なかなか良い。さっそくわが家の猫城主オーロラレインボーちゃんに見せてやった。彼女はフムフムとうなづいていた。
天空ぶらり猫城主の記事(18日付毎日朝刊)
夜。文學界10月号で【エセー 没後三十年の熊野大学 中上紀】を読む。
(9月17日)
若山牧水忌。土曜日。
大型で強い台風14号(ナンマドル)が北西に進み、日本に近づいている。あす18日にも九州の鹿児島県に接近、上陸。その後は列島を縦断する恐れがあり、19日にも東海地方に最接近する見通しだという。気象庁によれば、伊勢湾台風並みの勢力で各地とも警戒が必要だ、としている。天皇皇后両陛下が17日、政府専用機でエリザベス女王の国葬に参列するためイギリスに向け出発された。
厚生労働省が16日、全国の百歳以上の高齢者が「敬老の日」を控えた15日時点で9万526人に上り、初めて9万人を超えた、と発表。住民基本台帳に基づく集計で、昨年より4016人多く、52年連続で過去最多を更新。女性が8万161人と88・6%を占めたという。
日朝首脳会談から17日で20年。拉致問題は今も解決にはいたらず、02年当時のうねるような世論の盛り上がりもなくなったように見える。会談をきっかけに24年ぶりに故郷の土を踏んだ新潟県柏崎市の蓮池薫さん(64)は、こうした現状に危機感を抱く。-とは本日17日付毎日新聞。同紙の見出しは【日米首脳会談20年 拉致家族の再会実現を 蓮池薫さん 募る危機感】というものだった。また、この日は中日本紙1面でも【日朝首脳会談から20年 拉致被害者の一時帰国拒否 14~15年ごろ 北提案の2人】【「胃の痛くなる年月」早紀江さん】と報道、拉致問題が解決に至らない現状を訴えている。岸田首相はあらゆる外交ルートを駆使してでも北朝鮮の金正恩総書記との会談を実現させるべきだ、と思うのだが。やはり、力不足と言うか。その点での努力不足が指摘されても仕方あるまい。
夜。時間が空いたところで、先日、知人から送られてきた北國文華2022年秋第93号を開き、【追悼青木新門さん あらゆるものが輝く世界へ<再掲>納棺夫が見た死の実相 青木新門】を読む。
追悼青木新門さんを掲載した北國文華秋第93号
(9月16日)
金曜日。抜歯後のあとの痛みがなかなか消えないので、自宅近く歯医者さんへ。消毒をしてもらい、なくなっていた痛み止めと化膿止め薬をいただいて帰る。このまま、よくなれば良いのだが。それでも、午後は一宮スポーツ文化センターへ。社交ダンスのタンゴの特訓に挑む。社交ダンスのレッスンは亡き妻との約束だけに、これだけは続けなければ、と思っている。きょうもタンゴを徹底的に学んだ。
人間国宝の芭蕉布(ばしょうふ)職人、平良敏子(たいら・としこ)さんが13日までに死去していたことを本日付の中日新聞訃報欄で知った。101歳。平良さんは、琉球王朝時代から盛んに生産され、太平洋戦争後にほぼ途絶えていた芭蕉布の伝統を復活させた。制作や伝承者の育成に取り組み2000年に人間国宝に選ばれたという。自宅は沖縄県大宜見村嘉如嘉。
講談社本田靖春ノンフィクション賞の贈呈式が15日、東京都内であり本年度受賞作「冤罪をほどく-〝供述弱者〟とは誰か」の著者で中日新聞元編集委員の秦融さん(60)ら受賞者に野間省伸社長から表彰状が贈られた。本日付の中日朝刊によれば、中日新聞編集局と秦さんによる同書は、2020年に再審無罪が確定した元看護助手西山美香さん(42)=滋賀県彦根市=の冤罪事件が題材。デスクとして大津支局の記者らの取材班を指揮した秦さんが、かかわってもいない事件を自白してしまう「供述弱者」に着目した本紙報道の取材過程や司法の問題点などを一冊の本にまとめた。贈呈式の席上、秦さんは「あまり日の当たらない冤罪報道を顕彰していただき感謝申し上げたい」と述べたという。心から、おめでとう。みんな、よくやったなと拍手を送りたい。
レスリングの世界選手権第5日目が14日、ベオグラードであり、女子50㌔級で東京五輪覇者の須崎優衣(キッツ)が決勝でモンゴル選手にフォール勝ちして優勝。全試合を無失点のフォールとテクニカルフォールで圧勝、2018年いらい3度目の頂点に立った。
ロシアのプーチン大統領と中国の習近平国家主席が15日、上海協力機構(SCO)の首脳会議に合わせ中央アジア・ウズベキスタンのサマルカンドで会談。プーチン氏は「ウクライナ危機に対し、中国はバランスの取れた立場を保っている」と評価。台湾情勢を巡る米国の対応については「挑発行為だ」と非難し「ロシアは『一つの中国』の原則を支持する」と強調。これに対して習氏は「刻々と変化する世界を安定的に発展させるため、わが国は、ロシアとともに主導的な役割を果たす準備がある」と応じたという。
立憲民主党は15日開いた臨時執行役員会で27日に予定される安倍晋三元首相の国葬には執行役員全員が欠席する方針を決定。公明党はこの日(15日)、任期満了に伴う代表選を告示したが、山口那津男代表(70)以外に届け出がなく、山口氏の無投票代表が決定。任期は2年。山口氏は8選目となる。
(9月15日)
木曜日。早朝から【赤い空 わかれ】の文面にまだ気になるところがあり、手直しを加え、昨夜の間に出稿した原稿を全差し(全部差し替え)で出版社に送る(ちなみに私が主宰するウエブ文学同人誌「熱砂」では初稿は既に公開済みである。この物語を書籍化するに当たっての差し替えである)。
東京地検特捜部がきのう14日、東京五輪・パラリンピックを巡る汚職事件で大会スポンサーの選定で有利な取り計らいを受けた謝礼などとして大会組織委員会元理事高橋治之容疑者(78)=受託収賄容疑で再逮捕済み=側に約6900万円の賄賂を提供した、として出版大手KADOKAの会長角川歴彦容疑者(79)=東京都新宿区=を逮捕。こうした贈収賄は、一体全体いつになったらなくなるのか。嘆かわしい限りだ。
そして。【「角川会長案件」絶大か 贈賄容疑逮捕 末端社員まで影響】との見出しが躍る一方で、本日付の中日朝刊には【熱中症 中学生19人搬送 名古屋の3校体育大会練習中 真夏日の運動場訴え次々】【最高気温34度 残暑厳しく】の活字も躍った。いやはや、秋の入り口とは言え、ナンダカンダとある。
(9月14日)
既に「熱砂」では公開済みである私の小説【赤い空 わかれ】の差し替えに丸一日、時間を費やす。この【赤い空 わかれ】は、亡き妻・舞の遺稿集に続いて出版予定である私の新しい小説集の中の一遍だけに、これまで気が付いたつど、書き改めてきたもので、どうにか脱稿することが出来たのである。
水曜日。けさの朝刊で目立つニュースは、何と言ってもヤクルトの村上宗隆内野手が13日に神宮球場で行われた巨人24回戦で1964年の王貞治(巨人)に並ぶ日本選手シーズン最多の55号本塁打を放ったことだろう。村上内野手は四回の54号ソロに続き、九回に大勢投手から左中間に3ランを放った。55号到達は史上5人目。22歳7カ月での達成は64年に王がつくった24歳4カ月の最年少記録をも更新。また1試合複数本塁打は今季12度目で年間最多記録を上回ったという。
なお、シーズン最多本塁打は2013年のバレンタイン(ヤクルト)の60本。歴代2位となる55本は王のほか、01年のローズ(近鉄)02年のカブレラ(西武)が記録している。いやはや、村上内野手はプロ野球界のニューヒーロー間違いなし、である。今後どこまで記録を伸ばすか。楽しみな逸材が出てきたものである。日本中のプロ野球ファンが期待していると言っていい。
【一九六〇年公開の代表作「勝手にしやがれ」でフランス映画界にヌーベルバーグ(新しい波)を起こし、長年にわたり革命児であり続けた映画監督ジャンリュック・ゴダールさんが十三日、スイス西部の自宅で死去した。九十一歳だった。フランス紙リベラシオンによると、スイスで認められている、死を選んだ人が医師処方の薬物を自ら使用する「自殺ほう助」により亡くなった。関係者は「病気ではなく、疲れ切っていた」と説明した。】とは、中日新聞朝刊紙面に掲載されたパリ=共同発の記事。
日本国内最高齢の男性だった奈良市在住の上田幹蔵(うえだ・みきぞう)さんが9日、死去。112歳だった。京都市出身。葬儀・告別式は既に済ませたという。上田さんは1910年(明治43年)5月11日生まれ。旧日本海軍に召集され、広島の原爆を目撃。その時の模様について「いくつもの山の向こうからきのこ雲が見えた。爆音と爆風は今でも思い出す」などと語っていたという。
(9月13日)
秋が、舞(たつ江)の足音とともに近づいている。朝一番で不燃ごみを出し、外に出たがるシロとふたりでおかあさん(たつ江)が大好きだった♩エーデルワイス、と♩みかんの花咲く丘の2曲をユーチューブでいつものように、共に聴き、このあとシロを外に出してやる。彼女は、大喜びでおかあさんが【秋空に未来永劫と書いてみし】と詠んだ、その世界に飛び出していったのである。「気をつけるのだよ」と私。
本日付の朝刊で目を引いたのは、【英女王の棺 エディンバラ到着 13日首都へ】【「米国民を守る戦い」強調 9・11テロ21年各地で追悼 バイデン氏中間選挙へアピール】【オミクロン対応 新ワクチン承認】【沖縄知事に玉城氏再選 辺野古反対訴え 自公系破る】(いずれも中日新聞)といったところか。
(9月12日)
このところ、ずっと歯が痛む。こめかみがヒリヒリするので、いつもお世話になっている自宅近く歯科クリニックさんへ。思い切って左上の奥歯を抜歯して頂いた。この部分は元々、虫歯だったとはいえ、これまで私の人生とともに長年、共に歩いてきた歯がとうとう私の口から消え去ってしまったのである。前々から、いつかはたつ江とも相談して抜歯してもらう覚悟ではいたのだけれど。このところは、あまりに痛むので思い切って決断(悲しいことに。たつ江は既に居やしないのだけれど)。〝志願〟して抜いてもらった。抜歯は、それこそ数分のドラマで、あっけないものではあったが、なぜか、この世の無情、はかなさを感じた。
私がなぜ、きょうと言う日に。それも突然、歯を抜いてもらう気になったのか。実は昨秋の10月15日に、大空高く旅立ったわが愛するたつ江、すなわち伊神舞子がちょうど1年前のあす、9月13日に当時、自宅療養中だった自らのベッドで【秋一日絨毯と飛べ我が部屋ごと】の辞世の句をひそかに残していたことが、その後になって分かったから。どうせ抜いてしまうものなら愛する舞と少しでも歩調をあわせよう、と決めたからである。
きょうは、ほかにもすべきことがアレヤコレヤとあり、めまぐるしい1日となった。歯を抜かれてしまったのだから少しは豪勢に、と昼食はいつもの「あみもとの里」でお寿司を食べたが、舞が傍らに居てくれ、一緒に食べたなら、どんなにか美味しく彼女もまた喜んだことだろう、と。そんなことを思う私であった。俺ばかりが、こんなにおいしいものを食べていていいのだろうか。そんな自責の念にもかられてしまう。舞にはおいしいものを、もっともっと食べさせたかった。のに、というのにだ。残念無念である。
※ ※
私が会長を務める滝高卒のクラスメート「二石会」の総会兼懇親会の案内状がわが家にも届く。届いたと思ったら、私の携帯に心当たりのない電話が。折り返すと、奥村哲雄くんの奥さんからで「夫は、ことし8月に肺炎で亡くなりました」とのこと。「それは、それは。何と申して良いのか。ご愁傷さまでした。総会の冒頭、クラスメート全員で黙とうをさせてもらいます。奥さま、辛く悲しいでしょうが。どうか気を落とさないでください」と私。実はそういう私自身も昨秋、愛する妻に先立たれており、なんだか因縁のような、そんな気がしたのである。いつまでも若いつもりでいたのに。気がついたら、私たちはもはや、70代も後半で互いにそういう年齢になったのだな、と思った次第。
2022年9月11日
日本時間の11日午前8時46分ごろ、パプアニューギニアのニューギニアを震源とする地震が発生。震源の深さは61㌔、マグニチュードは7・6と推定される、とのこと。気象庁によれば、幸い日本への津波の影響はない、という。
任期満了に伴う沖縄県知事選は11日、投開票が行われ、アメリカ軍普天間基地の名護市辺野古への移設反対などを訴えた現職の玉城デニー氏=立憲民主党、れいわ新選組、社民党、共産党、沖縄社会大衆党推薦=が2回目の当選を果たした。
日曜日。朝。【米同時テロきょう21年 記憶ない世代増え 偽情報横行 事実継承を ロシア侵攻でも課題/生の証言重要】とは、本日付中日新聞朝刊<核心>の見出しである。
前文には『米中枢同時テロから十一日で二十一年。米国ではテロ発生時の記憶がない若い世代が増え、根拠のない陰謀論などが横行する。ニューヨークの世界貿易センタービル跡地にある「国立9・11記念博物館」はそうした陰謀論に対抗する教育に力を入れており、クリフォード・チャニン副館長(六八)は「偽情報にどう向き合うかはロシアのウクライナ侵攻でも課題だ」と警鐘を鳴らす。』とあった。そういえば、この1年前、すなわち22年前のこの日は東海豪雨があり、7万棟が水没などの被害に遭った。
一方、本日付の通風筒には、三重県志摩市阿児町で国重要無形民俗文化財「安乗人形芝居」が10日夜、安乗神社境内で3年ぶりに地元「安乗人形芝居保存会」や地元中学生らにより披露された、とのニュースが掲載されていた。安乗文楽といえば、だ。かつて志摩通信部の地方記者時代に安乗灯台を間近に、海風に吹かれながら取材したあの懐かしい日々が舞への郷愁とともに脳裏に浮かび、懐かしかったのである。
そして。ほかに目に留まった記事はといえば、だ。読書欄の【読む人 記者の1冊 『天狼(てんろう)の爪牙(そうが) 倉橋寛著』か。中日スポーツと東京中日スポーツの四こま漫画「おれたちゃドラゴンズ」=私はこの漫画の愛読者であり、中日スポーツがわが家に届くと、中日新聞の【くらしの作文】と同じように、どの欄よりも先に、この漫画を読むのが朝の日課だ。ドラが負けた日には、この四コマ漫画しか読まない=で知られる〝くらはしかんさん〟は得難い作家でも知られる。「日本書紀を読み込んで、壬申の乱の後日談を想像力豊かに描く、上代三部作の完結編。「漫画家の余技」などでは決してない雄大な物語世界をお楽しみあれ。」とあったが、その通りだと思っている。その努力を本欄にて称えておきたい。
(9月10日)
きょうは、中秋の名月。舞の大好きだった月。一緒にいつも二人で見たその月が見られたら、よいのだが。
土曜日。いつものようにブラタモリ(恐山へ あの世体感? 霊場体験▽地獄めぐりに極楽浜▽死者の名を呼ぶ湖へ タモリ知るイタコ真実)を見たあと、わが家のベランダへ。夜空のかなたには白い豪華絢爛なる雲の合間を縫って顔を出す美しい月の姿があった。わたしはその月に向かって「たつ江。舞。げんきでいるか。こっちは皆、心配ないから。俺ばかりが生きていて。おいしいものまで食べてゴメン。許せ」と思わず呼びかけていた。
そして。けさのNHKラジオ。石丸謙二郎の山カフェ。こちらは、北ア槍穂高連峰の特集で、かつて舞とも足を運んだことがある上高地はじめ、明神池、横尾山荘、涸沢などが思い出され、懐かしさでいっぱいとなった。その昔、私は新聞社の松本支局のサツ回り記者として冬には遭難取材に備えて上高地・木村小屋に常駐、遭難取材に明け暮れた日々を体験、亡き上高地の大将・木村殖さんのあの髭面が目の前に大きく迫ったのである。
わが家の上空に顔を出した中秋の名月
※ ※
午後。兄と妹、私の3人で妹の事務所に集まった。兄は名古屋の自宅から車で出向いてくれ、3人で母の死にともなう遺産分割協議書を作成(とはいっても有り難いことに兄と妹が、ほとんど大半をやってくれた)。印鑑ひとつ押すにしても、かなり煩雑な事務手続きではあったが、兄と妹は、弁護士と税理士で仕事上もこうしたことはお手のものだけに、作業は順調に進み、おんぶにだっこ同然の私は兄と妹のテキパキした事務作業をただオロオロとして見守るだけ。そのつど、はんこを押し、住所と氏名を書く繰り返しとなった。
というわけで、印鑑を指定の書類に何度も押すことを繰り返し、協議書づくりはなんとか無事、終わった。それにしても、ひとりの人間が亡くなったあとの遺産相続の書類の作成が、いかに大変であるかを、私なりに実感として思い知ったのである。さすがは兄貴と妹だ。手慣れた的確な作業手順には驚いたり、感心したり。母が大切に保存していた戦後まもないころの実家の貴重な資料まで見せられたりして。それこそ、家族の歴史が一見してわかるドラマ、ドラマ、またドラマの連続となったのである。これも私たちの母がしっかりした遺言書と各種記録を残しておいてくれたおかげであることはむろん、あらためて兄と妹の存在を誇らしく思う1日となったのである。それにしても、人が生きていくためには、こうした諸手続きが必要なのである。勉強になった。
(9月9日)
英国のエリザベス女王が死去。英王室が滞在先のスコットランド・バルモラル城で死去した、と発表。96歳だった。オーストラリアのアルバニージー首相は女王の死去に声明を発表。「世界中が喪に服す時だ。慰めは、女王自身の『悲しみは愛の対価だ』という言葉に見出すことができる」と哀悼の意を表明。ニュージーランドのアーダン首相も「女王は愛され、尊敬された君主だった。在位期間70年の記録は、その証しであり、我々への献身を示すものだ。傑出していた」との声明を出した。
エリザベス女王の死を報じた新聞各紙
金曜日。午後、一宮スポーツ文化センターへ。ワルツに始まり、ルンバ、タンゴときょうは途中の休憩なし。ぶっ通しのかなりハードな内容のレッスンとなった。でも、がんばらなきゃあ、と。自らに言い聞かせてのステップに私なりの社交ダンスの感触が膨らんだことも確かだ。こんなとき、舞と一緒にステップを踏めたなら、と思うと、また涙の滴が零れ落ちた。帰りは、平和堂で買い物をして帰る。
(9月8日)
午後、帰宅するとたつ江(伊神舞子)が生前、所属しお世話になっていた草樹俳句会から俳句誌「草樹」101号がポストに入っていた。
―【前略「草樹」101号に伊神舞子様の訃報を掲載いたしましたのでお送りさせていただきます。ご冥福を心よりお祈りいたします。どうぞお身体をお大事になさってください 早々 令和四年九月 杉浦圭祐】とあった。杉浦さま。そして草樹俳句会の皆さま。本当にありがとうございました。伊神舞子はきっと喜んでいます。草樹俳句会のみなさまのますますの発展をお祈りいたします。
私はさっそく「草樹」101号を舞の仏前に供えさせて頂いた。「草樹」のみなさまには感謝のしようもない。
※ ※
☆ ☆
スマホ画面を手に【ふくしま原発作業員日誌 イチエフの真実、9年間の記録】の著者で、あくなき原発取材に挑み続ける東京新聞(中日新聞)の片山夏子記者から届いたフェイスブックに気付く。こんな内容である。本欄読者にも、ぜひ読んでほしく思う。以下のとおりだった。
【「原発事故の時も、検査のこともまだ小さかったので何が起きているのかわからず、覚えていることはほとんどありません。自分の考え方や性格、将来の夢もまだはっきりしないうちに、全てが変わってしまいました」
昨日、東京地裁で3・11子ども甲状腺がんの第2回口頭弁論がありました。意見陳述したのは、原発事故当時6歳で、福島の高校三年生の17歳の女子生徒。中学で手術し、「もう大丈夫」と思ったら、高校で再発して再手術。つらい闘病生活を送ってきました。
法廷でパーテーションで囲まれた証言台で、彼女は小さい声で、時折抑えきれない涙が声に混ざったり、声を震わせたりしながら、最後まで15分間、自分の思いを読み通しました。傍聴席で彼女の声を聞くのに全身を集中させながら、胸をえぐられるように感じました。
17歳。通常なら、高校生生活を楽しむときです。部活に夢中になったり、友達と遊んだり、時には勉強しながら恋をしたり…。でも中学1年の検査に引っかかり、のちに甲状腺がんと診断されてから彼女の人生は「全て変わってしまった」と言います。将来の夢をはっきり描けないうちに「13歳でがんになり、17歳で2度目の手術をし…」。つらい治療や検査に耐えてきた。だから「将来自分が何をしたいのかよく分かりません。ただ(将来への不安が強く)経済的に安定した生活を送れる公務員になりたいと考えています」と続きます。そして「恋愛も、結婚も、出産も私とは縁のないものだと思っています」。高校生活についても「青春を楽しむというよりは、安定した将来のため、大学進学のために学校推薦をもらうための場です。~中略~それでも時々、勉強に対するプレッシャーや、将来の不安で、眠れないことがあります」。】
私自身、この文を読ませて頂き、原発事故がいかに薄情であり、かつ無慈悲なものか、をあらためて思い知ったのである。
☆ ☆
昨日(7日)付中日新聞の夕刊に【没後30年「熊野大学」で読み解く中上健次 あらゆる暴力に異を唱えること それこそが人間(宮崎正嗣)】の記事。さっそく読む。
一夜明けて。8日付中日スポーツ1面トップに【きょう会見 福留引退 キャリア24年現役最年長45歳】【327本塁打、2450安打 日米で金字塔】の見出し。総合リードは以下のような内容だった。
―球界最年長の中日・福留孝介外野手(45)が7日、現役引退する考えを固めた。1999年に入団し、2008年に米メジャー挑戦。阪神をへて、昨季14年ぶりに竜に復帰した。昨季はスタメンに代打の切り札として頼られたが、今季は22試合出場で23打数1安打、打率4分3厘。心の声を聞き、球団と話し合い、プロ24年のキャリアに終止符を打つと決めた。8日に予定されている会見で思いを打ち明ける。
福留はドラゴンズでは頼りがいのある選手として長年、活躍してきた。それだけに、なんだか寂しい気がするのも事実だ。いい選手だった。
(9月7日)
水曜日。きょうはバタバタした。歯医者さんで痛む部分を消毒して頂き、患部のレントゲン撮影をしてもらい、帰ったところへお世話になっている不動産屋さんから電話が入り、昼食もそこそこ、亡き母の遺産分割の書類作成の件で印鑑と免許証を手に地元・江南市役所へ。その場から兄と妹に電話する。
取って返し、現在、編集を進め最終局面にある亡き妻・伊神舞子俳句短歌遺稿集【泣かんとこ】に続き、同時進行ながら、ひと足遅れで出版予定である私の小説作品集=【ドサ回り】【ぽとぽとはらはら】【パリよ、ビンラディンあなたは今どこに】【赤い空 わかれ】の四編を収録=の読み直しに入る。当然、合間には朝、夕刊のチェックも怠りない。夜に入って、やっと一息できる、とパソコンを開いたところで、舞の遺稿集の最終直しがパソコンに届いていたことに気付き、折り返し人間社の大幡正義さんに電話し、写真や文の一部差し替えを確認させていただく。
写真の配置など当初とはガラリと変わった編集内容につき、あれこれ話し合う。確かによくなっている。ただ舞が最期の最後に力を振り絞って開店二十周年を祝って開いた七夕祭であいさつをしている写真が抜けているのでこの点を指摘。文、写真とも差し替えなどで慌ただしい時間が過ぎ去っていったのである。
富山市在住作家の山口馨さんから「北國文華 2022年秋 第93号 鏡花文学賞に育てられた金沢」がわが家に届き、ありがたく拝受。「お問い合せのありました青木新門氏につき、お答えのできぬまま時が過ぎ添付のような次第となりました」と丁寧な添え書きつきで先に他界した青木新門さんの新聞記事までが同封されていた。新聞記事は地元紙のもので【「納棺夫日記」青木さん死去 納棺師・作家「おくりびと」原点 作品通じ仕事学んだ 父を納棺 長男・新太郎さん(2022年8月9日付)】【重み増す「生死一如」の教え 青木新門さん(富山)を悼む 俳優 本木雅弘 「納棺夫日記」がつないだ縁(同8月29日付)】といった内容だった。山口さん! 本当にありがとうございました。人の心というか。その人物の人間性は、こうした時にわかるものだな、とつくづく実感した次第。
写真は同封されていた青木新門さん死去を報じた新聞記事
2022年9月6日
火曜日。日本海を北北東に進んでいる台風11号の影響(6日夜には沿海州付近の日本海で温帯低気圧に変わる見込みだという)でか。この地方、尾張名古屋も朝から風が強く、家のあちこちの戸や板を風が叩き、そのつどドアや窓がめしめし、ギィーギィと音をたててしなうのが、よく分かる。
なのに。シロちゃんは目の前の<かぜ>を前に「きょうは、どうしてもお外に出たい」と言い張るので嵐の中を、これも将来ある彼女にとっては良い経験になるだろう、と思い切って外に出す。嵐の中でおかあさんに会ってくると。そんな顔をしていたからだ。そういえば、生前の舞も何かにつけてこういう嵐の中に飛び込んでいくことが好きな女性だった。
ちょっと迷いながらも風の中をおかあさんに会いに出たシロ
舞の仏壇には毎日、お参りをする
※ ※
☆ ☆
英国のジョンソン首相の後任を選ぶ与党保守党党首選で党本部は5日、エリザべス(リズ)・トラス外相(47)が新党首に選出されたと発表。約17万人の党員投票でトラス氏は有効投票の57・4%を獲得し、リシ・スナク前財務相(42)に勝利。6日にエリザベス女王から新しい首相に任命され、英国ではサッチャー元首相、メイ前首相に続く史上三人目の女性首相が誕生することになった。
なぜ気づかぬ。静岡の幼稚園で、通園バス内に長時間取り残された3歳園児が死亡。去年は福岡の保育園でも。◇やるせない思い。富山沖で見つかった子どもの遺体、行方不明の2歳男児と確認。
―とは、本日付け毎日夕刊の【近事片々】氏の中の一節。次代の宝でもある子どもは、みんなで守らなければ。こんなことでは、大人の資格がないと言っていい。
将棋の藤井聡太王位(20)=愛知県瀬戸市=が六日、静岡県牧之原市の平田寺で指し継がれていた「お~いお茶杯第六十三期王位戦」(中日新聞社など主催、伊藤園特別協賛)で豊島将之九段(32)=愛知県一宮市=に午後7時15分、百二十八手(後手番)で勝ち、対戦成績四勝一敗で防衛、三連覇を達成した。
藤井は、これで竜王・叡王・王将・棋聖・王位と五冠を堅持し、タイトル通算獲得数を連続十期とした。二十歳一カ月での十期獲得は、羽生善治九段(51)の二十三歳四カ月を上回り最年少記録を更新。藤井は「自信のない将棋だったが、崩れずに指すことができた」と話している。
エンゼルスの大谷が5日、アナハイムでのタイガース戦に「3番・指名打者」でフル出場。2本塁打を含む5打数3安打3打点の活躍でメジャー通算500安打に到達。ヤクルトの村上も阪神戦で2戦連発で本塁打を放ち、52号ソロ。かつてチームを率いた野村元監督に並んだ。「偉大な野村克也さんと並ぶことが出来、光栄です」。本塁を踏んだ村上は天を見上げ、両手を合わせた。藤井、大谷、村上と何とすばらしい若武者たちばかりか。ニッポンは捨てたものじゃない。若者たちがいい。
希望にあふれている。
(9月5日)
ニュースによれば、4日午前9時25分ごろ、富山県氷見市の日本海沖合で人のようなものが浮いているのをプレージャーボートの男性が発見し118番通報。伏木海上保安部が、氷見漁港の北東約4・7㌔地点で引き上げ、死亡を確認した。遺体は小柄で子どもとみられ、先月20日から行方不明となっている高岡市の保育園児高嶋怜音ちゃん(ふたつ)の可能性があり富山県警で身元の確認を急いでいるという(富山県警高岡署は、その後、遺体は高嶋怜音ちゃんと確認した、と発表)。
それにしても、はやい。アッというまである。きょうは9月5日だ。たつ江が旅立ち、来月がこれば早や1年がたつ。どうしようもなく。悲しくて、悲しくって。なんだか、泣けてきてしまう。子どもたちとて同じだろう。やりきれない、とはこのことか。涙には果てがない。
このところは、大阪文学学校に関する原稿はじめ、脱原発社会をめざす文学者の会ホームページへの月に一度の連載「文士刮目」=第16回 みんな幸せで、みんな楽しく。世界は運命共同体だからこそ=の執筆、ほかに舞の遺稿集出版に先だつ最終校正など正直言ってあれやこれやと追われ、休むまもない毎日だった。でも、気が付けば9月も初旬。いまは、もう秋なのである。というわけで、私は久しぶりに晴れ上がった空を見上げ、舞が生前詠んだ俳句【秋空に未来永劫と書いてみし】と、空に向かって口ずさんでみる。
そして秋の空に指で一字ずつ書きなぞってみた。愛猫シロもいまは外。おそらく台所横の縁側で例によって何かを思い、秋空の下に身を起き、いつものようにおかあさんとの思い出に耽っているに違いない(シロは、その後午後零時過ぎには無事、帰宅した)。
このところ、何かの弾みで左上の歯がチクチク痛む。なんだか、たつ江(伊神舞子)が「早く、はやく」と私を呼びにかかって、天国に引っ張っているような。そんな気がする。かといって、舞の過去の足跡を書籍化するなど、しっかりやり終えるまではやすやすと枕を並べるわけにもいくまい。というわけデ、歯磨きをしっかりしたが、さて効果はありやなしや。舞には以前、「そうしたときはペインクリニックに行くといいよ。一緒に行こうよ。連れてってあげるから」と本当に連れていってくれ、まもなくしたらよくなったことが思い出される。今回の痛み、感覚的には大丈夫だ、とおもっている。たいしたことはない、と思う。気のせいだ。
おそらく犯人は、以前から歯医者さんから指摘されている左上奥の虫歯のような気がする(甘いものを少し食べ過ぎていやしないか)。デ、こんご歯磨きやうがいを徹底しよう。息子が以前私に買ってくれ、腰痛などにも効き目があった薬剤(ラックル)をのめばよくなるだろう。それでもよくならなければ歯医者さんに行けばよい。しばらく様子を見てみよう。そのうちに治る気がするのである。これまた、こんな時に舞が横に居てくれたら良いのに。と、つくづくそんなことまで思ってしまう。彼女は、ほんとに頼りになった。
東京・歌舞伎座の9月公演「秀山祭九月大歌舞伎」が4日、初日を迎え松本白鴎さん(80)が昨年11月に亡くなった弟・二代目中村吉右衛門さんゆかりの演目「松浦の太鼓」を初役で上演。「弟が他界してもう1年近くがたちます。月日のたつのは早いもの。弟は苦労に苦労を重ね、初代吉右衛門の芸を後世に伝えるため秀山祭を続けてきた。そのような弟を兄として、まことに誇りに思うと同時に、たった一人の弟ゆえに別れはいつも悲しい、わびしいもの……」と惜別の思いを語ると、劇場は温かい拍手に包まれたという。
カナダ中部サスカチワン州の先住民居住区など複数の場所で4日、刃物を手にした2人の男が住民を次々と襲い、10人が死亡、15人が病院に搬送されたという。犯人は車で移動しながら屋内に押し入るなどし、次々と犯行を重ねていったという。何たることだ。人間社会の犯罪は、なくならないものなのか。
台風11号が東シナ海を北東に進んでいる。今夜には九州北部に接近する見通しだという。
(9月4日)
くしの日だそうだ。
日本三大盆おどりのひとつ、岐阜県郡上市八幡町の「郡上おどり」が3日夜、7月上旬から2カ月にわたった日程を終え、閉幕。昨夜は大勢のファンが一曲ずつをかみしめるように踊り、名残を惜しんだという。大型で強い台風11号が沖縄県の先島諸島に接近、周囲を暴風域に巻き込みながら北上。こんご5日にかけ進路を東寄りに変え、6日にも九州へ近づく見通しだという。
昨夜はNHKでいつものようにブラタモリ(島根へ。石見銀山なぜ世界遺産)を見たあと、何げなく民放のチャンネルに替えると新潟の長岡花火を映し出していた。花火といえば、かつて北陸在任時に現地キャップとして長年、携わった和倉温泉の三尺玉花火やスターマイン、芸術花火の数々が思い出され、おもわず見入ってしまった。今は亡きたつ江(舞)と一緒によくみた、芸術花火【蝶の舞い】など、あの和倉花火のシーンが溢れるよう次から次に思い出され「やはり、花火はいいなあ~」と思ったのである。
久しぶりに民法テレビで見た長岡花火。花火には中越地震での被災地復興の願いが込められている
☆ ☆
けさの朝刊は【全数把握改善手探り 中部の自治体対応割れる 三重・福井 届け出対象限定 愛知・岐阜 入力項目を削減 長野・滋賀 現時点変更せず】【「前例ないため混乱」 全国一律導入 現場の医師指摘】(中日4日付)といった具合。ほかに【KADOKAWAが7000万円 組織委元理事知人の会社に 五輪スポンサーに選定後】(いずれも中日4日付)という見出しも目立つ。
伊神舞子俳句短歌遺稿集の件で最終校正を出版社に出す。いよいよ完成が近づいてきている。
(9月3日)
コオロギやスズムシの声が聴こえてくる秋である。傍に、たつ江が居たらよいのに。虫の声を耳にすれば、きっと喜ぶに違いない。そのように心から思う。そういえば、志摩にいたころ新聞社後援で【鈴虫りんりん会】という変わった催しがお寺の境内で毎年あり、ふたりで良く取材を兼ねて出向いたものである。
午前中、地元花霞町内会役員選出の件で町内へ。町内の喫茶で次期役員の件につき3組としてどうするか-などにつき話し合う。この地域のリーダーで元町内会長でもあった、大江さんら役員で心当たりの家を共に訪ね、協力要請をしてあるく。
※ ※
☆ ☆
9月も早や3日。「二日の外国為替市場で円安が加速し、一時一㌦=一四〇円七〇銭台まで下落した。日本がバブル崩壊後の金融危機だった一九九八年八月以来、約二十四年ぶりの円安ドル高水準を更新した。円は今年に入ってドルに対し二五円程度下落しており、日米の金融政策の違いによる金利差拡大を意識した円安が止まらない。」とは、本日付中日新聞1面の記事。見出しは【円安加速 年明けから25円下落 一時140円台後半】とあった。
台風11号が石垣島の南海上をゆっくりと北上しており、不気味でもある。
(9月2日)
プロ野球ヤクルトの村上宗隆内野手(22)が2日、中日戦(神宮)の3回裏に今季50号となる3点本塁打を放った。シーズン50本塁打到達は2013年にプロ野球記録の60本塁打をマークしたバレンティン(ヤクルト)いらいでプロ野球史上10人目。日本人選手では2002年の松井秀喜(巨人)いらいの快挙となった。試合は5-0でヤクルトが中日に勝った。
金曜日。小牧時代の演劇青年で元劇団「小牧はらから」の主宰者小畠辰彦さんがひょっこり、わが家へ。名古屋の大須演芸場で22、23日に開かれる演劇会開催について、であった。「ぜひ見てほしい」と。雑談を重ねるうち小畠さん曰く。「私はね。ドラゴンズはむろんのこと、月間ドラゴンズのファンなのですよ。なかでも木村愛子さんの記事が大好きです」と。昔、ドーム観戦でいつも連れて行ったお孫さんは、ナゴヤドーム内、大幸横丁の知多海でバイトしています、とも。いつもドラゴンズとともに歩く人生には、それこそ感心したのである。
舞の俳句短歌集の再校正を人間社の大幡正義さんあてにメールで出す。本のタイトルは【泣かんとこ】か【泣かんとき】か。<こ>か<き>か、迷いに迷ったが、最終的には家族の思いに従って【泣かんとこ】にする。
午後、舞との約束でもある社交ダンスのレッスンで一宮へ。若さんの指導の下、「これでもか」と、タンゴを繰り返し学んだ。最近は三重県桑名市からレッスンに訪れる男性までいて、その分、私のレッスンにも力か入っている。
(9月1日)
防災の日。
政府が南海トラフ巨大地震の発生を想定した総合防災訓練を実施。この日は、新型コロナウイルスの感染を防ぐため会議に参加する人数を絞るなどの対策を講じたという。来年は関東大震災の発生から百年の年でもあり、千葉市では首都直下地震などを想定した九都県市合同防災訓練も実施。岸田首相自らヘリコプターに乗り現地へ。自衛隊や消防による救助活動の様子を視察した。
米大リーグ、エンゼルスの大谷翔平(28)が8月31日、アナハイムで行われたヤンキース戦で今季30号3ランを放ち、メジャーの日本選手として初めて2年連続30本塁打を達成。大谷はア・リーグ最優秀選手に輝いた昨季は46本塁打をマーク、松井秀喜がヤンキース時代の2004年に記録した日本選手最多の31本を大幅に更新。ちなみにメジャー通算本塁打の1位は松井秀の175本で2位大谷は123本。
舞の俳句短歌遺稿集の再校をする。
買い物に、と車で外出した直後、猛然と雨が降り出し、たまたまシロちゃんも外に出した直後だったので心配したが、彼女はどこも濡れることなく私が帰宅すると同時に何もなかった、という顔をして帰ってきた。やはりシロはすごい。亡き妻、たつ江(伊神舞子)が言っていたとおり、何でも知っている猫だ。おそらく雷がくることも。そして、しばらくしたら止むことも知っていて、どこかに隠れていたのだろう。いすれにせよ、濡れないでよかったね。