詩「誕生」

空から墜ちた一粒の種
恵みの雨が惜しみなく
母なる大地を癒しては
種がこっそり芽生え始める

微笑み浮かべたお日様が
明るく優しく見守って
伸びよ伸びよと
励まして

芽生えは喜び幹となり
地下に揺るがぬ根を広げ
自らを鍛えるように
強い風に立ち向かう

幹はまるで凶器のように
鋭い枝を四方に広げ
停まった毛虫を窺いながら
じっと息を潜めている

枝には緑の葉が多い茂り
自然は内なる生命を育てる
その力が樹を樹となして
雄大な宇宙に姿を誇る

慕うように生きものが集い
讃えるように小鳥が囀り
すべてを抱擁するように
大きな翼を広げている