詩「ひとつぶの種」

ひとつぶの小さな種
風に舞うほこりほどに
小さな小さな
ひとつぶの種
土に触れ水を吸い
緑の葉を広げ花を咲かす
時という名の出合いを
重ねながら
やがて草原となり 
深い森となる

しかし
草原は驕らない
森は忘れてはいない
かつてそこが
小さなひとつぶから
始まったことを

草は身を震わせ 
木は太陽に叫び
今日も小さな命を
風に任せて旅立たせる
いつかまた何処かで
その小さなひとつぶから
始まる
緑のドラマを夢見て